第五話 準備
―数十分前―
「おい!こっちにもいたぞ!」
「なに!?捕まえろ!」
ハーハーハーハーハー。
どうして…どうして私は、人間に…追いかけられなくちゃ…。
「うわ!」
ドサ…
「へっへっへッ。ずいぶんと手間を取らせてくれたな、このメス犬が…。」
人間の大男が私のことを見下ろしている。
「や…やめて…。痛いこと、しないで…。」
「ヘヘ…。痛いことしないでだ?その泣き顔…、もっと見せてみろよ…。安心しな。獣人はもれなく敵だ。敵は殺す…。当然だろ。」
「いや…、こないで…。」
私は怯えて力の入らない体を必死に動かし後退する。
「へへへ。逃げれると思ってんのか?この先は、行き止まりだぜ。」
大男は逃げる私をゆっくりと追ってくる。
私は必死に逃げる。しかし、行き止まりの終わりが見えてくる。
後ろからは大男、前には行き止まり。そんな私の目に留まったのは行き止まりの前にあった大きな穴。
「っ…。」
私は意を決しその穴に飛び込む…。
……………………………………………………
ギーと重苦しい音を出して扉が開く。
中からは木や石などの建材が入った箱と不思議な5つの道具類。それから3枚の紙があった。
「これは…。」
取りあえず紙を見てみることにした。
「ふむふむ。」
1枚目の紙には空洞の地図と説明が、2枚目には天界への帰り方が、3枚目にはクエストが書いてあった。
この3枚の紙である程度方針が決まった。
「よーし、やるぞ!」
―数時間後―
「よしよし、これで…。」
僕はこの数時間でまず、先ほど貰った資材で簡易的な家を作った。そして、クエストをやってみることにした。今回やるリクエストは簡単そうな鉄、銅、木材の採取場所を見つけよう。と、それぞれの資材を10キロずつ採取しよう。だ。クエスト報酬は人材と植物の種、豚、牛、羊がそれぞれ雌雄一匹ずつらしい。さっそく手に入れた地図を元に近場の資源があるところまで歩いてみることにした。
しかし、ここで問題が発生した。
地図ではかなり縮小されているため分からなかったがこの空洞は非常に大きく、また、空洞のため代わり映えのしない景色が永遠に続くため方向感覚をかなり失いやすい。
そして、暗い。
神力で明るくできると言っても暗い。
つまり、巨大なうえに代わり映えしない景色のせいでただでさえ迷いやすいのに暗いせいで余計に迷いやすい場所だと言うことだ。
これをどうにか解決しようと色々と試行錯誤を繰り返していると、母上がくれた5つの道具類の中の一つに目星がついた。
その名も多機能コンパス。
形はコンパスの上に画面がついたような形で小さく持ち運びやすい。
機能としてはまず、コンパスとして使える。そしてライトもつく。
さらに、画面に地図や時計も付いている。
これのおかげで迷わず資源のある場所に着くことができた。
資源は鉄や銅などの鉱物資源の他にどういうわけか土も日光もない状態の場所に木がたくさん生えていた。
ここでも母上がくれた道具類の中の一つを取り出した。その名も万能採掘機、『とるよーくん』。
このとるよーくんは置いておくだけで自動で移動して資材を採取してくれる万能機械。
とるよくんのお陰でものの数分の間にクエストに必要な鉄、銅、木材がそれぞれ10キロずつ集まった。
僕はそれを扉の前までもっていくのだがこれが中々に大変でそれなりの距離を重い資材を持ちながら何往復もするというのは中々にしんどかったがそれを気合で乗り越え、今に至る。
僕は扉の前に採ってきた資材を並べて扉にクエスト用紙を入れる。
すると扉が神々しい光を放つ。そして中からたくさんの人材と動物、そして箱が出てきた。




