第二話 理解
「はぁ…。皇帝陛下に謁見ですか…。」
白髪が大半を絞める神父らしき男が困った顔をして言う。
「なんだ?文句でもあるのか?」
「いえ。会えないことはないのですが…。」
男の曖昧な態度にイライラし、強めの口調で言う。
「どういうことだ。はっきりしろ。」
「実は…。」
男は言いにくそうに口を開き皇帝の容態について言った。
「皇帝陛下はただ今、病にかかっていて、謁見はごく限られた者しかできないんです。」
「なんだ、僕は神だぞ。そこら辺の貴族どもには会えるのに神である僕には会えないと言うのか。」
「…。」
少し考えた素振りをした後、口を開く。
「わかりました。皇帝陛下につないでみます。しかし、皇帝陛下の容態が悪化する可能性も…。」
これだから人間は嫌いなんだ。はっきりと言わずに誤魔化して…。
「わかった。なら、皇帝に会えるまで僕はどこに入れば良い?」
「この教会の小屋をご利用ください。」
「小屋?」
「はい、客人が来た時用にこの教会には客人専用の小屋があるのです。こちらです。」
男の先導について行くと教会の横に教会の半分ほどの大きさの少し古い小屋があった。
「どうでしょうか。」
中は客人専用というだけあって大きなベッドやテーブルなど良いところの宿屋くらいの設備があった。
「少しは気が使えるじゃないか。ここでいい。」
「では、私はこの辺で…。」
男は急ぐように出ていった。
一段落ついたところでこの世界について復習しておくか。
まず、この世界の二大種族として人間と獣人がいる。この種族達は互いに強い敵対心を持っているらしい。
母上から貰った本によると人間た獣人が敵対しあっている理由は500年前らしい。500年前に憎たらしい人間の国(たしかラバーン帝国と言ったか)が獣人の国(ベスティア種族連合)に攻め込んだことが原因らしい。その戦争の結果ラバーン帝国が勝利し、ベスティア種族連合を併合した。その後、ラバーン帝国は敗者の獣人達を奴隷にし、強制労働をさせた。その結果何千人という獣人が死んだ。
ほんとうに獣人が可哀想だ。
50年が経ち、獣人達はラバーン帝国に対して正義の反乱を起こし、見事に勝利を勝ち取りベスティア種族連合を復活させた。そして、今度は今までの恨みと言わんばかりにラバーン帝国に攻め込んだ。当時のラバーン帝国は腐敗が進んでいたこともあり、ベスティア種族連合は戦力的に劣っていながらもラバーン帝国首都ラーバンの手前まで侵攻できた。まことに素晴らしい限りだ。しかし、その後に起こったラーバンの戦いでベスティア種族連合は後少しのところで惜敗(本当は惨敗)し、今度はベスティア種族連合が首都一歩手前まで侵攻された。ベスティア種族連合は必死に抵抗したため、なんとか追い返せた。そんな、一進一退の戦いが終わらず今も続いているらしい。
そんなこんなで人間は獣人を野蛮な民族だと思い敵対しているし、獣人も人間にされた行いを許さないと恨んでいる。
獣人にはぜひとも勝って憎き人間どもを絶滅させてほしいところだ。




