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戦わない召喚士エレノアの異世界記録 ――名を受け取り、世界に触れる  作者: ぷにゅん


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第245話 流れの奥

夕方。


光が水に沈む。


色が揺れる。


今度は。


消えない。


細い流れが。


続いている。


エレノアはその縁に立つ。


ネファルが言う。


(維持されている)


ラグナが言う。


(途切れてねぇな)


ヴェルナシアが囁く。


(深くなる)


エレノアは目を閉じる。


感じる。


新しい流れ。


古い流れ。


触れていない。


だが。


近い。


「……もう少しです」


小さく。


その時。


水面が揺れる。


自発的に。


寄る。


集まる。


形になる。


昨日より。


はっきりと。


人の輪郭。


崩れない。


揺れているが。


“保っている”


リゼルが息を呑む。


「……維持している」


ネファルが言う。


(流れに乗っているな)


ラグナが言う。


(あいつ、掴んでる)


ヴェルナシアが囁く。


(繋がる)


エレノアは言う。


「……セレイア」


呼ぶ。


今度は。


すぐに。


応じる。


「……ここ……」


短い。


だが。


途切れない。


ラグナが笑う。


(いいな)


ネファルが言う。


(安定してきた)


ヴェルナシアが囁く。


(まだ浅い)


エレノアは続ける。


「……分かりますか」


沈黙。


少しだけ。


遅れて。


「……わ……か……る」


まだ揺れる。


だが。


繋がる。


リゼルが小さく言う。


「……違う」


昨日とは。


違う。


確かに。


ネファルが言う。


(記憶が戻っているわけではない)


ラグナが言う。


(でも分かってる)


ヴェルナシアが囁く。


(今)


エレノアは問う。


「……苦しいですか」


間。


長い。


水面がわずかに歪む。


「……ち……が……う」


止まらない。


続く。


「……な……い」


ネファルが言う。


(痛みではないな)


ラグナが言う。


(空っぽか)


ヴェルナシアが囁く。


(欠け)


エレノアは言う。


「……欠けています」


否定しない。


そのまま。


受け取る。


セレイアがわずかに揺れる。


「……な……い」


繰り返す。


リゼルが目を閉じる。


聞きたくない。


だが。


目を逸らさない。


エレノアは続ける。


「……埋めません」


沈黙。


ネファルが言う。


(いい判断だ)


ラグナが言う。


(無理に詰めたら崩れる)


ヴェルナシアが囁く。


(流れ)


エレノアは静かに言う。


「……そのままでいいです」


それだけ。


セレイアの輪郭が揺れる。


崩れそうで。


崩れない。


「……い……い……?」


初めて。


問い。


ネファルが言う。


(来たな)


ラグナが言う。


(やっとだ)


ヴェルナシアが囁く。


(遅い)


エレノアは答える。


「はい」


迷わない。


「そのままで」


短く。


セレイアが静まる。


波が収まる。


流れが整う。


細いまま。


だが。


消えない。


リゼルが呟く。


「……そんなことが」


理解が追いつかない。


ネファルが言う。


(変えたな)


ラグナが言う。


(ああ)


ヴェルナシアが囁く。


(受け入れた)


エレノアは言う。


「……戻しません」


間。


「でも」


続ける。


「繋がります」


沈黙。


セレイアが小さく言う。


「……つ……な……が……る」


繰り返す。


今度は。


少しだけ。


自然に。


ネファルが言う。


(固定されたな)


ラグナが言う。


(いい流れだ)


ヴェルナシアが囁く。


(続く)


エレノアは水を見る。


新しい流れ。


欠けたままの存在。


そして。


繋がり始めた意志。


まだ弱い。


だが。


確かにある。


「……大丈夫です」


誰にでもなく。


ただ。


そこに置く。


風が流れる。


水が揺れる。


今度は。


自然に。


止まらない。


セレイアはまだ完全ではない。


戻らない。


だが。


消えない。


そして。


初めて。


“自分でそこにいる”


水は。


確かに。


流れ続けていた。

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