6.救出作戦3
何で急に加速した!? ヤバイ! と思いながらリーダー格へと走り寄れば、構える間抜け野郎にニヤリと笑い寸前でヒラリと避けるついでに、リーダー格の男の腰の鍵をヒョイと取って水槽の上に飛び乗る。
「なっ! まてっ!!!」
鍵を取り返そうと手を伸ばすも、迫る水槽に思わず横へと飛びのいて手は届かず。
「じゃぁーねぇー」
ヒラヒラと手を振ってやれば、悔しそうに何事かを叫ぶリーダー格の男を見送る。
線路上を走ってきた他の警備の男たちは、豪速の水槽にひかれぬように慌てて飛びのくように避けていく、このまま海へと出れればよいが、途中には倉庫の大扉がある。まぁしかしそこはコレで! そう思っていると、二つの視線が此方を見ている。下を見れば、人魚の少年とフェイルが此方を見上げていた。
「良い子はマネしないでねー」
そう言いながら愛用のハンドガンを構える。狙いは倉庫の開閉ボタン、揺れる水槽の上で手振れをするが一瞬だけ呼吸を止めて狙いすます。その瞬間、引き金をひけば真っ直ぐとその弾道は狙い通りの開錠ボタンへとキィン! と甲高い音を立てて当たり、ゆっくりと倉庫の扉が開き始める。慌てて扉を閉めようとボタンへと近寄る警備達に次々と銃弾を撃ち込んでいく。打ち返そうにも高額商品である人魚と妖精に弾が当たると、車輪に銃を必死に打ち込むも跳弾するばかりで丸で役立たずだ。
「チョロいぜー!」
思いながら倉庫の扉を走り抜ければ、一気に生ぬるい潮風が吹き抜ける。辺りを警戒しつつも海に落ちる前にこの水槽の鍵と少年の手錠を外さなければと、数ある鍵から次々と試して15本目でようやく鉄格子の蓋が開いた。あとは手錠だ。小さめの鍵なので直ぐに目星が付く
「腕上げて」
そう伝えれば、無感情だった金色の目が一瞬不安げに揺れる。
「大丈夫、アンタを必ず助けるから」
柄でもない言葉が口をついて出て自分でも少しばかり驚く。少年がゆっくりと腕を上げようとした瞬間、ダンッ! という音と共に左肩に激痛が走る。
「ツッ!!」
狙撃された!? 声にならないほどの激痛にバランスを崩して水槽の上から転がり落ちるが、なんとか受け身を取ることができた。だが水槽は「ガァン!!! 」と大きな音を立てて港の端の線路止めを超え、夜の海に落ちていった。
それを見た瞬間、過去の自分の惨めな姿が頭をよぎる。頭を振ってそれを振り払い、痛みも忘れ無心で走りだし港から夜の海へと飛び込んだ。




