表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/18

3.オークション会場



「だぁー、ったく鼻がまだ痛いぃー!! パーズの野郎覚えてろよ!! こんな仕事入れやがって!!」


 悪態をつきながらいまだに痛む鼻を気にしつつ列車を降りる。ホームに降りて鼻をかんでいると、列車がゆっくりと走りだしていくのを横目に見送っている最中に不意に視線を感じて顔を上げれば、怪訝そうな顔の駅員が目に入る。


 いかん……ここはリゾート地、そして私は一人で休暇を楽しみに来たいいとこのお嬢さん設定……。オホホホと照れ笑いをしながら駅員に会釈して荷物を掴み、足早に歩き始める。


 結局あの仕事を受ける羽目になり、やってきたのは闇オークションが行われる南国リゾートで有名な場所だ。青い海に白い砂浜、そして白を基調とした可愛らしい町並み、とてもその裏で人身売買や希少魔動物の闇取引が行われるとは思えない。


 まぁ、裏と表は何処にでもあるという事かと一人で納得しつつ、茶色の革製の旅行用トランクを反対側の手に持ち直す。服装も場違いにならないように慣れない白いワンピースに編み上げのショートブーツ、おまけに麦わら帽子までセットされた、パーズの野郎の趣味でそろえられた物を身に着けていると思うと鳥肌が立ちそうになる。しかし我慢だ……。なんてったって報酬の金額が桁違いなのだ。しかも成功報酬ではなく前金もくれるという太っ腹で、贅沢さえしなければむこう10年は生活できる金額だ。


 あの妖精と人間の夫婦の詮索はするなとのパーズのお達しなので深くは聞かないが、あの立ち居振る舞いを見るに貴族か、下手したらどこぞの王族の家系なのかもしれない。そんな事を考えながら宿屋へと向かう。


 オークションが開催されるのは明日の夜、それまでに下見なんかを済ませておく必要がある。とんでもないVIPも参加する闇オークションの警備は最高レベルだろう。やれやれ、私の仕事はなんだったかねーと考えながら、場違いなくらい眩しい真っ白な道を歩く。こんな綺麗な街を歩いていると嫌な記憶が頭をよぎり吐きそうになる。この町は綺麗すぎる。呼吸がうまくできないようなそんな感覚だ。綺麗な水には住めない魚はいると言う話を不意に思い出した。正に私だなと自嘲気味に笑いながら、ムカつくくらい綺麗な青い空を見上げた。


「おいおいマジか……」


 仕事中に声を発するなど御法度だが、思わず出してしまうくらいにはお粗末な警備に侵入者側が呆れてしまう。


「はぁー」


 気合入れて来た私の方がバカみたいじゃないか……。裏方スタッフの服を手に入れ着替えたこのサファリジャケットのワンピース版のようなカーキーの服に、いつもの編み上げのショートブーツ姿で万全だぜとか思っていたが、苦労して手に入れる必要もなかった気さえする。


 そんな事を考えつつ、額をサイレント銃で打ちぬいた警備の男の死体をズルズルと引きずって奥のコンテナへと閉じ込める。会場は港から運びやすいように線路が敷きこまれており、中にはコンテナが積まれ、そのコンテナの開いた扉から檻やガラスケースなど様々な物が雑多に置かれている。


 よく見れば札がついているので大まかな順番には並んでいるのかもしれないが、ずいぶんとごちゃついている。なによりも警備の数が少ない。おそらく表側に多く配備して裏は2重の警備体制を取り、最難関さえ突破すれば裏はスカスカの最低限の人数程度、宝石やらのお宝も多い。ネコババする輩も考えれば、そりゃ最低限にもなるか……。


 まぁ問題はここからなのだが……何せこの大量の商品からカンテラに入った妖精を探さなければならない。てっきり妖精と人間ハーフというから人間の少年の大きさを想像していたら、カンテラに入る大きさだと言う。連れ出すには容易いが、見つけるには苦労する。


 オークション品の商品を運びに来たスタッフをやり過ごしながら、あれでもない、これでもないと商品を探していく。順番的には最後の方だったからこの辺りにあるはずだがとキョロキョロしていると、不意に視線を感じた方を振り返ればバチリと目が合ってしまった。綺麗な青い水面を思わせるような水色の鱗に透き通る肌、そして深海のようなほの暗い髪色に美しく光る金色の目がこちらを見つめていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ