27.再び不法侵入
「いま…なんじぃ…」
寝起きのガラガラ声で呻きつつ、手探りでベッド横のスマホを探す。見つけたスマホを布団に引き込み画面を見れば13時30分、まぁ、4時まで起きていた割には早い起床な方だろう。
今日は店の定休日、休日前は夜更かししないともったいない気がして、ついつい明け方まで起きていて、翌日を睡眠で潰すことが多々ある。お腹も減ってきたことだし、起きるか……。
気合を入れて起き上がり、ベッドから降りる。異種族コンビのフェイルとアルシエルはここ数日現れていない。このまま、何もない……とはならんよな……。
寝室のドアノブに手をかけた瞬間、ふと違和感を感じる。誰かがいるような気配?それともまだ寝ぼけてる?勢いよく、扉を開けてリビングへと向かうと、リビングのソファーには家主のように寛ぎ、テレビを見ながらスナック菓子を食べているクロックが視界に入る。
「なんで……」
「やぁーっと起きて来たかぁー?お前本当に腑抜けたなー?俺がその気になってたら、お前10回くらい死んでるぞ、ヒャヒャッ!」
「流石にこれは……自分でも堪えてます……」
「お前、もう裏家業はきっぱり辞めることだなぁー」
「うぐっ……そうしようかな……って!!!何でいるの!!
いつも来るの夜だよね!?昼間っから来てるとか初めてじゃない?何事?
てか、毎度毎度勝手に入るな!」
「ヒャヒャヒャ!寝起きなのにいい勢いだなぁー、とりあえずその顔洗ってきたらどうだぁー?頭も鳥の巣みたいで面白いことになってやがる、ヒャヒャヒャっ!」
「クソ悪魔ッ!!」
捨て台詞を吐き、足早に洗面所に向かって急いで身だしなみを整える。服はTシャツに短パンという可愛げが一ミリもない部屋着のままだけど、まぁークロックならいいだろ。
顔を拭きながらリビングに戻れば、先程と同じ体勢のクロック。
「んで、結局何しに来たのさ」
そう問えば、クロックは振り返ると右手でフッと空を切る。ひとりでにテレビが切れる。静まり返った部屋が妙に居心地が悪くなる。
「お前、化粧しないとガキみたいな顔になるなぁ?」
「……」
無言で手近にあった金属製の1キロダンベルを持ち上げて振りかぶる。
「ヒャヒャヒャ!若く見えるって事だ!女は喜ぶところだろぉ?ヒャヒャヒャ!」
「馬鹿にされてるようにしか聞こえんわボケがッ!!」
投げようとしたところで、不意にダンベルから重さが消える。消えるどころか一人でに上に上がろうとするダンベルから慌てて手を離せば、それは宙に浮いたままふわりとクロックの元へと飛んでいくと、ソファーにドサリと落ちた。
クロックが魔法使ってること初めて見た。驚きと共に、今日はやはりいつもと違うクロックの様子に、内心首をかしげる。




