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24.修羅場2


フェイルの後ろにいるアルシエルを睨みつける。


「黙れアルシエル、これ以上煽ったら店から叩き出す」


するとアルシエルがあからさまにショックを受けた顔になる。


「そんな、ルイゼ!嫌です!僕はルイゼともっと一緒にいたいのに!」


慌てるアルシエルを横目に、フェイルの顔がみるみる嬉しそうに頬を高揚させていく


「ルイゼ、私の事をそん「違うから!店に損害出るのが嫌なだけだから!フェイルもアルシエルを煽ったら同じくたたき出す」」


 そう言い切るとフェイルもショックと言わんばかりの顔になる。異種族というのは顔に出やすいのだろうか……。いや、この二人なだけな気がするな、なんせ若いし……。


 戻ってきた気温にため息をついて、すぐさまジャケットをフェイルに差し出す。ショック顔のまま受け取るフェイル、さてこの二人にどうやってお引き取り願おうか、このままの状況で二人を外に出したらそのまま前の通りで喧嘩を始めるのが目に見えている。


クソがっ!なんで私がこんな目に!っと、心の中で毒づく


「二人とも、この際だからハッキリ言わせてもらうけど、私は二人のどちらとも婚約するつもりはありませんから!」


そう言った瞬間、フェイルが一歩詰め寄る。


「そんな!昨日は良いと言ってくれたではありませんか!?」


「と・も・だ・ち!から、としか言ってませんから!」


「うっ……」


うっ、じゃないんだよ全く!!


「アルシエルも!私は婚約を了承した覚えがないんだけど?勝手に、コレをつけるとはどういう事かな!?」


そう言って改めて薬指をかざして見せれば、フイっと顔を背ける。


「僕は絶対解除しません。そこの妖精だって同じようなことしてるんですから、僕だけ外すなんて絶対に嫌です。」


 その言葉に盛大にため息を吐く


「はぁーー、そういうところがガキなんだって……。スマートな大人の男がこんな事する?

私の知ってる奴はそんな事しないんだけ……」と言い終わらぬうちにフェイルがグイっと黒い笑みを向けてこちらに詰め寄る。


「聞き捨てなりませんね。その男とは誰なんです?」


「僕も詳しく聞きたいです、ルイゼ」


 フェイルと並び立つように同じく少しも目が笑ってない笑顔で、こちらに詰め寄るアルシエルに思わず飛びのいて、そのままヒラリとカウンターに手をついて乗り越えて物理的な距離をとる。そのまま怒りに任せて振り返りざまに二人の顔を睨みつける。


「私の交友関係がどうだろうが、ほんの数日しか面識のない君たちに何も関係はないだろうがっ!それとも何?君たちは子供の頃に一回会っただけの女の子と大人になって会った瞬間に、好きです結婚してください!って詰め寄られて「ハイ!喜んで!」って言うの?

君たちの種族はそういう種族なの?どうなの?」


ダンッ!とショーケースに拳を叩きつけると、二人がビクリと肩を揺らす。


「その女性には申し訳ありませんが……それは流石に……」


「僕も無理です。嫌悪感すら抱く」


「お前ら二人が!それを!私にやってんだよ!!」


「「……申し訳ありません」」


 シュンと肩を落とす二人に、更に怒りの言葉を吐こうとして何とか飲み込む、止まらなくなって暴言吐くのが目に見える。


「申し訳なく思うなら行動で示していただきたいものですね?

私から見れば、君たちのやってることはガキが駄々こねてるのと何ら変わらないよ。

そんなガキみたいな相手と結婚だなんて絶対にお断りだから!

分かったらとっとと帰って!」


「ルッ「帰れ!」」


 口を開いたアルシエルを睨みつける。それを見たフェイルが諦めたようにため息をつく


「はぁ……、今日の所は帰りましょうアルシエル、ルイゼの言う通り、我が身を振り返れば余裕のある大人の態度とはかけ離れている。

申し訳ありませんルイゼ、また出直します」


そう言って寂しげな顔を浮かべると、フェイルは回れ右をして店の扉へと向かう。


「……僕はまた……」


そう言って頭を抱えるアルシエルに、フェイルが扉を開きながらアルシエルに声をかけた。


「アルシエル行きますよ、これ以上ルイゼに迷惑をかけるわけにはいきません。

お互い頭を冷やしましょう」


 その言葉にアルシエルの手がだらりと落ちると「ルイゼ…ごめんなさい」そう呟くと、トボトボと扉の方へと向かって歩いていく。


アルシエルが扉の外に出るのを待って、フェイルがこちらを振り返る。


「ルイゼ、また来ます。では…」


 そう言って、寂しげな笑みを浮かべると茜色に染まった扉の外へと出て行った。パタンという音を立てて扉が閉まると、私はショーケースを背にするようにズルズルと滑るように床へと座り込んだ。


「なんだよ……できるじゃん、余裕のある大人……」


フェイルのふとした一面を見て、さっそく揺らぎそうな自分が不甲斐なくなり顔を膝にうずめた。



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