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14.再会2度目!


 

 あんなに真っ直ぐに思いを伝えてくれた少年の心を踏みにじってしまったことが、今までのどんな仕事よりも辛く心にのしかかる。せめて真当な人生を歩んでいたら、もう少し学があれば、もっとあの子を傷つけない言葉を選べただろうか……。


 柄にも無い事ばかり考えている。楽しそうに街を歩く観光客の誰もが私とは違う世界の人間で、こんなにも羨ましいと思ったことはないかもしれない。地べたを這いずる底辺の人間の私ごときが……。


 「はぁ……」


 溜息をつきながら店へと向かっていると、店の前に見慣れぬ大型バイクが止まっているのが目に入る。長距離ツーリング向きの大型バイクは、よく見れば超がつくほどお高いメーカーだった。こんな金持ちが店に来るという事は仕事の依頼か、今回は誰に頼むんだろパーズの奴、そう思いながら店のドアを開けて中に入る。


「おぉー、やぁーっと帰ってきた。何処ほっつき歩いてたんだ?お前にお客さんだ」


 パーズの呆れた声に、私に客? と思いながら後ろ手でドアを閉めて店内に目を向ければ、ショーケース越しにパーズと話していたであろう相手と目が合う。茶色の長い髪が高い位置で一つにまとめられ、露になっているその耳は人とは違い尖っている。そして、その中性的な顔と綺麗なエメラルド色の瞳が、私と目が合うとニコリと細められた。


「えぇーっと、エルフの美人さんが私に何の御用でしょう?」


 エルフがこんな人の多い場所に出てくること自体珍しいことだが、まして女一人で……まって、前のバイクはこの人が乗ってきたの!? ごちゃごちゃと考えていると、そのエルフがこちらへと歩み寄ってくる。


「この姿では初めましてですねルイゼ、5年前、あなたに助けていただいたフェイルです。貴方は変わらず美しいままだ」


 そう言ってニッコリ笑うと、私の汗ばんで乱れた髪をそっと耳へと掛けてくれる。その動作が絵に描いたような恋愛小説の男の行動のそれで、一瞬で顔が赤くなる。


「なんだルイゼ、お前みたいなのにも、うぶな所があんのなー」


 パーズの冷やかす声に我に返り、慌ててフェイルと名乗ったエルフから距離を取ろうとするも、真後ろはドアでドンっと音を立ててぶつかる。


「うううう嘘だっ! フェイルって妖精じゃん! カンテラに入るくらい小さいサイズの! こんなに大きくないでしょ!」


 隠しきれない動揺のまま「騙されない!」と言いきれば、そのエルフは口元に手を当ててクスクスと笑っている。


「すみません。あの頃の私は貴方を見上げるばかりでしたので、強くてカッコいい女性に見えていたのですが、いざ自分がこの姿になって貴方を見ると、子供っぽくて可愛らしいところもあるんですね。新しいルイゼの一面を知れてとても嬉しいです。フフッ……さて先ほどの質問の回答ですが、妖精は成人すると人ほどの大きさになることは可能です。とはいっても大きくなって羽を消せる程度なので、見た目はエルフとよく間違えられてしまうんですけどね」


 そう言ってニッコリ笑うフェイルの言葉に、今日一日で異種族の成長の差を思い知らされる。何で一度に5年前の二人が同時に現れるんだと頭を抱えそうになるが、必死にひねり出した当たり障りのない言葉が口をつく。


「……げっ……元気そうで何より……デス」


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