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結衣と月夜と不思議な四つの世界  作者: 氷華 桜梨
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お茶と諜報機関長

 他の必要な日用品をすべて買い終わると、ちょっと一息つくために、しゃれたお店に入った。中はとても甘くて苦いにおいがして、ここはお茶する場所なのだと知った。

 6人掛けの机に座ると、フィオラさんは私に何が飲みたい?と聞いた。聞かれても何も分からなかったので、メニューを見せてもらうと、一つだけ見たことのある飲み物の名前があった。


「アリィミンをお願いします」


 なんで見たことがあったんやろ?そんなんあるわけないのに。

 それぞれが飲み物を頼み終わると、ハンク君は私が気になるのか、質問していいかと聞いてきた。


「結衣さんは、コハクのか、かの…ゲホッゲホッ…」


 バシッ!コハクさんはハンク君の背中を思いっきり叩き、質問を中断させた。そして、違うと一言いうと、そっぽを向いた。


「すいません…失礼なことを…」


 一体何が起きたの?何かやばい質問やったんかな?


「結衣さんは何年に入るのですか?」

「15歳だから…コハクと一緒ね」

「ってことは、ぼ、俺たちと同じクラスになる可能性があるってことですね」

「…お前、わざわざ“俺”に変えなくてもいいんだぞ」

「ぼ、俺は普通だ!」

「…また間違えてるの」


 アクアちゃんはハンク君にボソッと突っ込むと、ハンク君は頭を抱えて、もぅ!とうなった。

 別に、俺やなくてもええと思うんやけど…でも、可愛い。

 ハンク君の反応が面白く、思わす耐えきれずに笑っていると、コハクさんは驚いたような顔をして、優しく微笑んだ。


「結衣さん、思う存分こいつを笑ってあげてください。笑顔の結衣さんが一番可愛いですよ」

「お、おい!僕を笑えって…」

「…ハンク兄ちゃん、完全に間違えてるの」


 ハンク君は今度こそアクアちゃんに指摘され、生気を失われたらしく、机の上に突っ伏していた。

 また、その落ち込みようが面白く、小さく笑ってしまった。その様子をフィオラさんは優しく見守っていた。


「アリィミンです」


 そういって、出してくれた人の声が聴いたことがあるもので思わず振り返って名札を見てみるとそこにはソレイと書かれてあった。

 ソレイ?!あそこにいたソレイさん?


「もしかして、あの制服を買われたお客様ですか?」


 ソレイさんも気づいたらしく、私のほうを向いて聞いた。私がはいと答えると、なぜかこれからよろしくお願いしますと一方的に言われ、去っていった。

 一体、何者?

 ハンク君やコハクさんの方を見ると、さっきの会話は聞かれていなかったっぽく、自分の飲み物を飲んでいた。


「お姉ちゃん、アリィミン飲まないの?」


 アクアちゃんに言われ、自分の頼んだアリィミンを見た。中くらいのコップに、半分くらいまで透明な赤い液体が入っていて、そのもう上の半分は透明な黄色だった。アクアちゃんにそのままのまま飲もうとして、混ぜるのと言われて手元にあった長い棒でかき混ぜ始めた。

 すると、分裂していた二つの透明な液体は混ざり始め、オレンジ色になった。今度こそ飲んでも大丈夫と思い、私は一口飲んだ。


 始め、酸っぱい感じがしたが次第に甘くなりさっぱりとして消えた。前にも飲んだことのあるような懐かしい味で、私は一体どこで飲んだんやろう?と不思議に思った。私があまりにも真剣に考えていたようで、フィオラさんに嫌い?とまで聞かれてしまった。

 嫌いというより好きだったので、私は首を振り、アリィミンを飲み始めた。そして、アリィミンがあまりにおいしかったからか、懐かしい味を疑問に思ったことも忘れてしまった。


「もう16時だし、帰ろうか」


 カフェという名のお茶屋さんを出ると私たちは家に向かって歩き出した。ここで、私はあのクジラ号のことを思い出した。


 クジラ号…どんなんやろうか?楽しみやなぁ。


 建物の一番奥である、クジラ号の乗り場へ行くと、人がちょうどクジラ号に乗車しているところだった。これを逃したらあと30分は来ないということで私たちは走って乗り場へ急いだ。

 ギリギリ間に合い、みんなで乗車すると、電車の中のように専用の椅子を付けるシステムで私たちは椅子を引き連れて、一番景色がいいというクジラの頭へやって来た。コハクさんはハンク君の隣に、私は一番よく見れる一番前の席に座った。アクアちゃんは私の隣に座ろうとしたが、高所恐怖症だったらしく、私と座れずにフィオラさんにくっついてハンク君の隣に座った。


 ゴゴゴ……


 うわぁ……すごい!私、今クジラに乗って空飛んどる!

 パパがこれ見たらどんな反応したやろうか…

 ほんまにパパ…死んじゃったん…なんで私を残して行ったん…

 なんでパパが殺されなきゃいけんかったん…

 なんでパパなん…


「結衣さん、大丈夫ですか?」

「…あ、はい大丈夫です」


 気が付いたら、コハクさんは私の隣に来ていた。そして、私の隣の席に座ると顔を覗きこんできた。


「本当に大丈夫ですか?」

「は、はい大丈夫です」


 コハクさんは私にそれ以上質問せず、私の隣いてくれた。人が隣にいるってことだけで少し気持ちが和らいだ。

 クジラ号を降りると、ハンク君と別れてコハクさんも一緒に、行きに乗った電車に乗って帰った。


 ――


 置いて行かれてしまいました…

 帰っては来るのは分かっているのですが。超絶に暇になってしまうではありませんか!寝るとは言ってもついさっき寝たばかりですし…どうしましょうか。


 私はしばらくソファーの上に座って考えていた。そして、誰もいないことをいいことにテレビをつけた。


「ここ最近、異常気象が起こっています。これは竜巻でしょうか?」

「珍しい形ですね…球体ですか?」


 …球体の竜巻?もしかして……来てしまったのでしょうか。これは二号先輩に伝えた方がよいのでしょうか。現場を見てから判断した方がよさそうです。

 私はテレビに視線を向け、よく聞こえるように耳をピンと立て、耳を澄ました。


「どうなのでしょうか、現場にいるミシェルさん、どのような状況なのでしょうか?」

「……はい、そうですね。球体状で浮かんでいます。空中にとどまっているので今のところ被害は全くありません。ただ、日に日に降下しているようで、風の勢いはどんどん増しています」

「ミシェルさん、近隣の人たちはどのように対策しているのでしょうか?」

「現場近くでは、防風警報が出ており、皆さん非難しています。しかし、食糧危機に襲われていいます」

「ミシェルさん、ありがとうございます」

「では、今週の気象情報です」


 プチッ


 どうしたらよいのでしょうか…私はこの場所を動けませんし…

 とにかく、私が思ってたより進行が遅いようでよかったです。まだ報告しなくても大丈夫です…よね?ということで、私は眠くなってしまいました。少し寝ます。

 おやすみなさい…



「おい……起きてるか?」

「…ん?」


 誰でしょうか?

 私は体を起こし、ゆっくり目を開けた。目の前に広がったのはただの真っ暗闇で結衣さんの家ではないことを悟った。そして、視線が高くなったことで自分の体がもとに戻ったことを知った。


「誰ですか?」

「…おお、やっと起きたか」


 そう言って現れたのは昔イケメンでモテただろう、紳士なおじさんだった。


「あのぅ…私を呼び出したのって…」

「そうじゃ、お前さんじゃぞ。確か、ファヌエルじゃったかのぅ」


 なんで、私の昔の名前を…


「いやぁ、懐かしいのぅ。もしかして、覚えておらんのか?確かにお前さんがまだ入りたてじゃったからの。覚えていないのも無理ないか」

「…もしかして…リューン諜報機関長ですか?」

「思い出したか!そうじゃ、わしの名前はリューンじゃ」

「…でも確かお亡くなりになられたはずでは」

「なんでか知らんが、わしの魔力が完全には消えなかったようでな、霊体で残ってしまったようなんじゃ。まあ、この体になってからというもの情報収集が楽でなぁ。結構楽しい人生を歩んどるぞ」

「情報収集…何かあるのですか?」

「最初は、趣味で集めていたのじゃが、ここ最近おかしくてな…同じような情報しか集まらない。しかもどうしても情報同士がつながらないのじゃ。十分に集めているつもりなのじゃが」


 …おかしい、リューン諜報機関長が集められない情報なんて…あるわけないはずなのに


「だから、お前さんに来てもらったのじゃ、わしが知っておるトラベラーはほとんど亡くなっていてびっくりじゃ。知っておったのはお前さんとランドンぐらいじゃ」


 ランドンって二号先輩でしょうか?初めて知りました…次に会ったときに聞いてみようと思います。


「ランドン、あいつはまだ来ていないようじゃな…珍しいなファヌエルが来ているのにいないとは」

「えっ、二号先輩も来るのですか?」

「そうじゃったのだが、まだ来ていないようじゃ。まあ、忙しいのじゃろう。ファヌエル、お前にはすまんが、また次の機会に話をするとしよう。ランドンがいなければ話を進めても意味はないじゃろうし」

「……はい、わかりました」


 そう言い、私は頭を下げた。

 ……リューン諜報機関長、二号先輩はよくて、なんで私じゃいけないのですか…

 もやもやした感情を抱えたまま、別れた。


 そして、気が付いたら結衣さんの部屋にいて、新しく買ったと思われるクッションの上にいた。新しいクッションはオレンジ色で、とても質が良く柔らかかった。

 ふと、ベッドの方を見ると、結衣さんが世界を移動するときに来ていた服のポケットをあさっていた。その時、服の中からきらりと光る何かが床に落ちた。結衣さんは気づいていないようで、服のポケットをまだあさっていた。


 なんでしょうか?

 私は、そっと気づかれないように近づいた。それは指輪でとても年季の入った重そうな高価であろうものだった。小さく名前が入っていたが、年月が経ちすぎたのか読めない状態になっていた。

 結衣さんの方を見ると、諦めたようで、小さな電気だけつけて部屋の電気を消すとベッドの中に潜った。ベッドの中に入って小さな電気も消すと、あたりは真っ暗になった。


 私は、指輪をどうしようかと迷ったが、結衣さんはこれを探していたのではと思い、小さな電気が置いてある、小さな机に指輪を口にくわえ持っていた。音を立てないように抜き足差し足で指輪を置くと私は自分のクッションのところに行き、寝た。

 さっき寝たばかりだったから寝れないかもと思っていたが、数分と経たないうちに眠りに落ちた。

桜梨です!

ハンク君が可愛いです(〃▽〃)

次は学校に行きます

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