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結衣と月夜と不思議な四つの世界  作者: 氷華 桜梨
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リラの情報収集

「こんにちは、お嬢さん」


俺が微笑むと、だいたいの女の子は頬を赤らめる。例外はこの名前をくれたシルヴィさんくらいだ。ああいう好きな人がいる女の人は、俺には引っかからない。


「リラ!遅いじゃない。待ちくたびれたわ」


そういって駆け寄ってきたのは昨日ターゲットの仕事場に行ってくれた女の子のベスティだ。俺のお願いのついでに金づるのセルトゥに媚びて、バーでお酒をおごってもらったらしい。


「昨日の男の子ね。リラほどではないけど可愛かったわ。」


そう言ってターゲットの特徴を書いて魔力で声を固定したメモを渡してきた。


「ありがとう。助かったよ。」


感謝の意味を込めて頬に軽く口付ける。ちゅっとリップ音を響かせて顔を離した。ベスティは妖艶に微笑んだ。


「あなたみたいな可愛い男の子の頼みだもの。いいのよ。また連絡して?」


後ろで手を組んで、少しかがみ気味に上目遣いでベスティが言う。大きすぎない綺麗な谷間がちらりと見えた。


「うん。ありがとう。じゃあ俺は行くよ。またね。」


笑顔で手を振って別れる。俺は路地裏に足を向けた。

歩きながらメモを読む。月夜という名前がここの世界のものではなかったから調べたが、違うかもしれない。仕事にもなじめていると書いてあるし、魔力が思ったより多いみたいだ。


魔力は天の世界か闇の世界の住民じゃないと多くないはずだし、天の世界から闇の世界に行くのは堕ちた天使だから基本気にしなくていい。先輩の話だと闇の世界の扉の前で大きな魔力が感知されたという話だったから、白の通路を使った誰かはほかの二つの世界、煙の世界の前で微弱な魔力が感知されたからきっとそこから闇の世界に入ったはずだ。


思ったより多いと言っても彼の魔力は闇の世界の一般市民程度しかないから、魔力を使って扉をこじ開けることもできない。だが迷い込んだにしては魔力が多い。

それに髪は黒だが目は青っぽかったと言っていた。


「だから、多分あいつじゃない、と。」


あてが外れてがっかりしながらぶらぶら細い道を歩く。ポケットからさっき違う女の子からもらったりんごを出して、齧る。


「でも、それにしちゃおかしい。」


二号先輩は、煙の世界から闇の世界に行ったと言っていた。確かに通路から出るときのほうが多く魔力を消費するかもしれないが、入ってきたという煙の世界の扉前の魔力が少なすぎる。魔力がどうやっても釣り合わないのだ。逆に闇の世界から入って煙の世界に出て行ったことも考えられるが、入るときにあれだけの魔力を使う誰かが出るときにあんなちょっぴりしか魔力を使わないなんてことはない。そっちのほうがあり得ない。


だからどうやったって説明がつかないのだ。

まず人間かどうかも怪しい。

ワールドトラベラーのトップが煙から闇、人間だと断定したのでそういうことにしているが、二号先輩も疑問が残るようだった。

りんごの芯をちょうど見つけたごみ箱に放り込む。芯は綺麗に弧を描いてごみ箱に入っていった。


「先輩いつ来るかな…」


来るとは言っていたが少し遅れそうだとも言っていた。仕事がなかなか終わらないらしい。

少し開けた場所に出る。

目の前のベンチに黒髪の誰かが座っている。誰かを待っているのかジュースを飲みながら足をぶらぶらさせている。


俺は笑顔を張り付けて、後ろから肩をたたいた。


氷華です

リラはイケメンさんです

次は月夜目線です

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