大叔父さんの霊
私は体が固まってしまい一歩も動けずにいた。でも、耳はしっかり働いていて一語一語をはっきりと聞いていた。
「麻井結衣、この子は重大な秘密を持っておる。コハク、お前も想像できないような…彼女本人は何もそのことを知らない。そっちの方が好都合ではあるが…今、天の世界の一部のやつらが必死になって探しておる」
「探してるって誰が?」
コハクさんは焦りを含めた声で言った。
「四つの世界…お前は習ったであろう?その支配下が今は天の世界の女王であることも…そして、その女王の娘があの結衣という子じゃからじゃ」
「じょ、女王の娘…探しているって女王にさせるということか?」
「いや、そうではない。探しておるのは正確に言うと女王を憎んでいる一味なのじゃ」
「…どういうことだ?」
「今の女王はとてもやさしく天の人たちが誇れるような人なんじゃが、結婚相手が煙の世界の住民だったもんでなぁ…女王の血が汚らわしいものと混ざったっと言ってな、娘と息子である結衣と月夜を消せねばと思っとるわけじゃ」
私はその話を聞いて泣きそうになった。
だって、お兄ちゃんが…生きてるってことやもん
殺そうと思われているのはとても悲しいことだけど、お兄ちゃんとまた会えるかもしれないということに嬉しくなった。私は胸に手を当ててその場にしゃがみ込んだ。
「息子?息子がいるのか?」
「ああ、そうじゃやつは一番危険な闇の世界に踏み込んだ…普通のやつだったらもうそろそろ死んでしまうだろう。まあ強力な魔力を身に着けていなかったらの話だが…」
私はその発言によって悲しくなり、涙が出てきた。
魔力…お兄ちゃんにあるのかな
…あって欲しい
そして、絶対に会いたい…
私はそう思い、気づかれないように涙を静かに流した。
「もうすぐで効力が消える…お前は周りをしっかりと注意してその天の世界の悪者に騙されないように。そしてお前の秘密、それはお前が天…なん…ぞ…」
「おい!どういうことだ?」
コハクさんはそう叫んだがもう声は聞こえずコハクさんの声が部屋に響くだけだった。私は、ミルクをとりに行こうとしたが泣いていたからか、なかなか立ち上がれなかった。力が出ず、大きく深呼吸して落ち着かせようとしていた。
コハクさんは探すのをあきらめたのか、廊下の私がいる方へとやって来た。このまま来るとまずいと思ったが、体が動かなかったので視覚になりそうなところに体を添わせて、やり過ごそうと思った。
「誰だ!」
コハクさんに思わずそう言われ、私は仕方なく姿を現した。現すと言ってもコハクさんの方に顔を向けるだけである。
「ゆ、結衣さん!聞かれてしまいましたか?」
私は、今更うそを吐くのも馬鹿馬鹿しいと思い、頷いた。コハクさんははぁというように大きなため息をつくと手を差し伸べた。
「とりあえず立ってください…その格好でいられると見づらいです…」
そういわれて、私はコハクさんの手をつかみ立ち上がろうとした。けれども、体は言うことを聞かずなかなか立ち上がれなかった。それにしびれを切らしたのか、私の隣に座りこむともういいですよと言った。
「すいません、体に力が入らなくて…」
まだ口が思うように動かず、少し震えてしまった。コハクさんは気づいたからか、何も言わずただ一緒に隣に座っていてくれた。何分経ったかわからないが、その間に私の心はゆっくりと落ち着きを取り戻していった。
「…落ち着きましたか?立てますか?」
コハクさんはそう私に尋ねると自分は立ち上がり、手を差し伸べてくれた。
「はい…ありがとうございます」
差し伸べられた手を掴んで立ち上がるとコハクさんが私より身長が高いことに気が付いた。フィオラさんの身長が高いからかとても小さく見えたがそうでもなかった。手も、さっきは気づかなかったがとても私とは比べ物にならないようながっしりとした手だった。
「今日は、本当にありがとうございました!これからよろしくお願いします」
私は微笑んでそう言うと、一瞬驚いた顔をしたが、こちらこそというように微笑んだ。その後、私は当初のミルクを持っていくという約束を忘れて部屋の前でコハクさんと別れ部屋へと入っていった。
あっ、ミルク忘れとった…
あれ、カピバラが消えた?
カピバラがいないと思って部屋を見渡したら、ベッドの上にちょこんと寝ていた。私はごめんねといってカピバラを撫でて私が寝れる場所を確保するため、カピバラをほんの少し横に寄せた。
「名前、付けた方がええよね…」
「スースー」
チャコ?ハナ?ううん…
「カピ?」
うん!それでえっか!シンプルでいいし…
「じゃあ、おやすみカピ…あとこれからよろしく」
桜梨です!
大叔父さん…どこから情報を…
色々急展開です
まだまだ続きます




