掃除の仕方
「結衣さん、僕がやりますよ」
コハクさんがそういうと手のひらを部屋の真ん中に向けた。すると、埃が徐々に部屋の真ん中に吸い寄せられて集まり、見る見るうちに部屋中の埃がなくなっていた。
埃は真ん中で絡み合うようにして、抱えきれないほどの大きな球体になった。けれど、コハクさんが手を握り閉めると埃は凝縮し、段々と小さくなっていった。手のひらサイズになると、手を下ろし、埃だったものを拾い上げ、服のポケットに入れた。あまりにも衝撃的な出来事で、私は一歩も動けなかった。
そんなあっけにとられた私の顔をみて、コハクさんは苦笑いをした。
「少し、驚かせてしまいましたね」
私は、すいませんというように頭を少し下げた。
「それが普通の反応なので大丈夫ですよ」
コハクさんはアクアちゃんの部屋をノックし扉についている箱の様なものに部屋の埃の塊を入れると私の部屋の隣である自分の部屋に入っていった。
「結衣ちゃん、歯磨きの用具はこれね!今日は疲れただろうからしっかり寝るんだよ!」
フィオラさんは私に微笑み、私ははいと頷いた。フィオラさんが旦那さんの部屋の隣の自室に入るのを見届けると私はさっそく綺麗になった部屋を見渡した。私が前に使用していた部屋とは打って変わってとても綺麗で意心地が良かった。
壁は一面桜色で床はつるつるの木がタイル状に並んでいた。そして、私は念願であったふわふわそうなベッドに腰かけた。ベッドは期待を裏切らず、とてもふかふかで雲の上にでもいるような感じがした。思い切って両手を広げるようにしてベッドに体を預けると背中の方で変な音がした。
「キュルキュル!」
あっ、そういえばカピバラの存在忘れとった!
カピバラはもそもそして私の背中から脱出すると私をキッというように睨んだ。
「ごめんごめん…そういえばご飯は食べたん?」
カピバラはむすっとした顔で首を横に振った。
「…お腹すいとるんちゃうん?」
私が申し訳なさそうに言うと、首を縦に振った。
「明日まで我慢できる?」
何もできないので、私は今日はあきらめてほしいと思った。でも、空腹には耐えられないのか、ぶんぶんと首を振って抗議した。
「…フィオラさんに何かあるか聞いてみるか」
そう思い、私はフィオラさんの部屋へと向かった。ノックをして入るとそこにはもうそろそろ寝ようとしていた寝間着姿のフィオラさんがいた。私はお腹がすいているカピバラのことを簡単に話した。
「それだったら、冷蔵庫に入っているミルクでもあげたらどうかしら?あっ、冷蔵庫はヴァシェレガァルの横にあるクリーム色のものだからね!これからは一緒に住むんだから、何かあったら勝手にとっていいよ!でもちゃんと教えてね。突然無くなるとびっくりするから」
「ありがとうございます」
フィオラさんは頷くと最後におやすみと言った。
冷蔵庫ね…クリーム色…ヴァシェレガァルの隣…
私は冷蔵庫の中のミルクを求めに台所へ向かった。その時、だれもいないはずの台所から声が聞こえてきた。
「…じさん?なんでここに…」
それはコハクさんの声で、その声はとても驚いていた。今日会ったばかりだったけど、常に冷静だったので驚いている声を聴いて珍しいと思った。盗み聞きはよくないと思い、台所に一歩踏み出そうとして私の名前が呼ばれた…
「…麻井結衣、この子は重大な秘密を持っておる…」
桜梨です!
名前を呼んだのは誰でしょうか?
気になります
次は氷華の番です!




