思い出の料理
「遠慮しないでどんどん食べてね!」
そういわれて、私は戸惑った。
この銀色の物、どうやって使うんだろ…
フィオラさんたちが使っている手つきを見ながら見よう見まねでそれを握ってみた。
プスッ…まず初めに自分のお皿に寄せられた緑色の細長く柔らかいものに差してみた。
それを恐る恐る自分の口に入れ、噛むと表面の冷たさとは反対に暖かい汁が中から出てきた。それは、昔お母さんが私の誕生日の料理にと作ってくれたものとそっくりの味だった。あまりにも小さかった時であったため、料理の見た目などは覚えていなかったが味だけはしっかりと覚えていた。
「すいません、この料理の…」
「ゲミュフリャッシェ…」
フィオラさんに話しかけようとしたところで、爆発にやられていた女の子が口を開きボソッと呟いた。
…ゲミュフリャッシェ
私は何度も頭の中で繰り返し、この名前を忘れないようにした。その後も、私は黙々と慣れない銀色の物を使って、おいしいフィオラさんの料理を食べた。
「ごちそうさまでした!」
食事がひと段落すると、フィオラさんがお茶でもしながら自己紹介をしましょうかと言った。自己紹介をすっかり忘れていた私は慌てた。
初対面の人に対して、自己紹介もしてなかったなんて…
お母さんに小さいころから言われてたはずなのに…どんなにあほやねん
コハクさんの方を見ると、それほど焦っているようにも見えず冷静なようだった。女の子の方はおお!というような顔をして、今更ながら自己紹介をしなくてはいけないことに気が付いたようである。とりあえず、私は自分が使った食器を台所に運んだ。
何もしなくてええんかな…せめて食器洗いでも
そんなことを思った私は、食器洗いをフィオラさんに申し出た。でも、それには及ぼなかったことが判明した。
「大丈夫よ、これがあるからね!」
そういってフィオラさんは白くコーティングされた小さな食器棚の様なものの中に食器を入れた。そして、引き戸を閉めると引き戸についていた鍵穴の様な所に手をかざし、鍵をかけると食器棚の中から音が聞こえてきた。
「…これは、一体」
「ヴァシェレガァル…」
はっ、いつの間に…
私の背後にはさっきまでテレビというものを見ていた女の子がいた。
…ヴァシェレガァルね
「これで数分後にはお皿が綺麗になっているわよ!」
フィオラさんはにこっと、感心している私に笑いかけた。
色々不思議なものがあるんやな…しかもめちゃくちゃ便利!
「さぁ、みんなで自己紹介をしましょうか」
フィオラさんは、お茶の道具をもって行った。
「なかなか面白いの…」
女の子は私に向かってそう呟きフィオラさんのところに去っていった。私は、面白いと言われとても微妙な心情をしていた。
桜梨です!
お母さんとの思い出の料理…
女の子は何やら興味を持っている感じ?




