お風呂
「ちょっとお茶しない?」
突然呼ばれ女の人の方を向くと、その手には高級そうなコップが二人分握られていた。返事をするとその女の人が置いた机の椅子に腰かけた。
「そういえば、自己紹介していなかったわね。私の名前はフィオラ・ジェムケーブ。フィオラでいいよ!よろしくね」
「えっと、私は麻井結衣です」
「やっぱり!」
私が簡単に自己紹介をすると、確信を持ったように笑顔になった。
「結衣ちゃんはさ、この世界とは違うところにいたでしょ」
フィオラさんは綺麗な緑色の目を輝かせて聞いてきた。
「真っ白な部屋にいたような気がします。でもあまりに慌てて正確には覚えていません」
…パパにこんな綺麗な家に住ませてあげたかったな
今になってはもう叶わへん夢やけど
フィオラさんは私に元気がなくなったのを見て両手を一回叩くとよしっと言った。
「じゃあ、私がごちそうを用意している間にお風呂に入って!」
お風呂?なんやろ?
ってかごちそうって大変なんじゃ…
「フィオラさん、私も手伝います!」
「でもね…客に作らせるのはちょっと悪いかな」
フィオラさんは困ったように眉を寄せた。
「やっぱり、客に作らせるわけにはいかないからお風呂に入って!」
途端に、はっと思い出したように目を見開いた。
「もしかして、お風呂知らない?」
「はい…」
私は素直に頷くとじゃあ一通り説明するねと私をお風呂というところへ連れて行った。
「えっと、これがシャワーというもので、捻ったら水が出てくるからそれを浴びて…」
私はお風呂の説明を受けた後、私は脱衣所で服を脱いでお風呂場に入った。
「そうだった!結衣ちゃん、服はそこに置いてある私の娘の物を着てね。ちょっとサイズが小さいかもしれないけど許してね」
「分かりました」
返事をすると、私は仕事にとりかかった。説明を受けたようにまずこの出っ張っているところを下に捻った。すると、勢いよくホースでつながれている物から水が出てきた。その水はとても暖かく気持ちよかった。
全身に浴びると、シャンプーというものを使って頭を洗おうした。ごしごしするって言っていたけど、こんな少量で洗えるんかな?私はそう思って、シャンプーを5プッシュぐらいした。
頭に乗せ、ごしごしするとあっという間に泡が立ちこれは多すぎたと反省した。そんなこんなで、最初は悪戦苦闘していたものの段々慣れてシャワーの扱い方がうまくなった。
最後には、その隣に用意されていた暖かい水の浴槽に浸かった。それは、とても気持ちよく、今までで一番幸せなひと時だった。あまりにも気持ちよかったため、頭が朦朧とするまで浸かっていた。いざ、立とうとすると足元がふらつき立つのも一苦労だった。
何とかお風呂場を出て、用意された服を着ると気分がさっぱりして気持ちがよかった。用意された服は薄水色のワンピースで、胸の下あたりで少ししまっているものだった。はじめ、見たときは少し小さいかと思ったが、実際に着てみるとぴったりで驚いた。今まで着ていた服を畳んでフィオラさんのところへ向かった。
「お風呂、ありがとうございます。とても気持ちよかったです」
「そう、喜んでもらえて嬉しいわ!じゃあ、あと少しで出来上がるから、そこの机に着いといて」
フィオラさんはそう言うと持っていたスープの鍋を運ぼうとした。でも中身が重たいのか、一向に持ち上がる気配がなかった。
「私が運びますよ!」
何もしてへんのはちょっとね…
「ごめんね結衣ちゃん、手伝ってもらっちゃってね」
とても、申し訳なさそうにフィオラさんは小さく笑った。そんなことないですよというように首を振った。その時、思わず手を滑らせ私は持っていた重いスープの鍋が地面に向かって急降下した。
桜梨です!
次はお風呂にびっくりです!
結衣には新しいことばかりでお父さんの悲しみに浸る時間がありません
次はようやく氷華の番です




