知らない世界
「結衣、よぉく聞いておくんだよ。結衣は十五になったらね、どこか違う世界にお勉強をしに行くんだよ」
結衣と呼んだ女の人は、膝の上に座っている幼い6か7歳ぐらいの女の子の頭を撫でた。すると、幼い女の子は目を輝かせながら結衣はどこに行くの?と訊いた。女の人は、考えるように頬に手を当てると結衣はどこに行きたい?と逆に聞き返した。女の子は少し悩んだ後、元気な声で言った。
「結衣の王子様のいるところ!」
女の人は満足そうに微笑むと、いい場所に行ければいいねっと言った。女の子は、うんと言う代わりに笑顔で頷いた。
はっ、ここは一体どこ?さっきまで、竹広君の親父さんに追われていたはずやのに。白い建物に色とりどりの明るい色の屋根、空は鏡のように銀色に輝いていた。
もう追いかけてこないと分かった瞬間、安心感と同時に悲しさがこみ上げてきた。
パパ…本当に殺されたん?
死ぬんやったら、あの時ちゃんと目を見て話さなかったんやろ…もっと優しくすればよかった
なんて親不孝やねん…
悲しさのあまり、私は声を押し殺して泣いていた。
「あの…大丈夫ですか?」
地面に這いつくばっていた私に声をかけてくれたのは、綺麗な腰まで長いサラサラの金髪をサイドに三つ編みで結った女の人だった。その人の目は綺麗な緑色で、濃い緑色のワンピースにとても似合っていた。主婦なのか、白い刺繍のついたエプロンを腰につけていた。そして持っていた籠には今までに見たことのないような焼き立てほやほやの手で抱えられるようなパンが入っていた。私は思わずその美しい外見に見惚れてしまい、一瞬何を聞かれているのか分からなくなった。
「あっ、大丈夫です!」
私はあわてて涙を拭き、その場に立ち上がった。人通りが多い道で這いつくばってた泣いていたと知った私は、急に恥ずかしくなってうつむいた。その時、女の人は目を見開いて驚いたように手を頬に添えるとさっきとは違う調子で私に話しかけてきた。
「あなた、もしかして…」
ん?
その女の人は、私の戸惑った様子にごめんねと小さくいうと、ごちそうするから家に来たらと言った。
ここがどこなのか分からなかったから、私はこの世界のことを知るためその女の人の家に行くことにした。
「じゃあ、決まりね!」
女の人は、笑顔でそう言うとついて来てというように私に手招きした。
桜梨です!
新たな登場人物、フィオラさん!
何か知っている様子?
今後が楽しみです




