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結衣と月夜と不思議な四つの世界  作者: 氷華 桜梨
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視線の正体

やっぱり視線を感じる。

かぐやさんと別れて、3時間位たった。仕事を始めてすぐはさっきの出来事で頭がいっぱいでなにも考えられなかったけど、2つくらいグラスを割って怒られたら頭がはっきりしてきた。

そうしてみると、やはりあの視線がこちらを観察しているのが感じられる。うれしかった気持ちが、一気に台無しだ。今日はかぐやさんに会えて、話せて、ハッピーだったはずなのに。

イライラしてくる。思わずグラスをテーブルにたたきつけてしまった。客にびびられる。きっと僕の周りには今、ペンダントでいつもより増えた魔力の光が散っているんだろう。


「月夜。」


低い声。しぶしぶカウンターまで行く。


「…はい。マスター」


「今日は帰れ」


「いやです」


一応首をふって否定してみる。正直もう帰りたい。前より視線が強くなってる気がするし、気を張りすぎて疲れてきた。でもお給料引かれるのはちょっと…


「表で話しつけてこい」


「…え?」


いきなり魔法をかけられる。バチバチとしたマスターの電気のような魔力が弾ける。周りに魔法の輪がつくられていき、僕には読めない不思議な文字が浮かび上がってきた。マスターが言う。


「悪魔の女はしつこいぞ」


その意味を考える間もなく、僕はバーの前にあるテーブルへと飛ばされた。目の前にはきれいな女の人。相手も突然現れた僕にびっくりしたようで、しきりに瞬きを繰り返してる。目が合った。感じたことのある視線。…そうか、この人か。どこかで見たことがあるような気がするのは気のせいだろう。


「あの…」


「なんでしょう」


「失礼かもしれませんが、僕をずっと見てたのはあなたですか?」


思い切って聞いてみる。もしそうだったら僕はどうすればいいんだろう。辞めてくださいって言ってどうにかなるものなのかな。あ、でも先になんで見てたのか聞くべきだろう。そうだ、そのあとに辞めてって言おうかな。


返事を待つ。


「…好きです」


返事が返ってきた。真剣な顔。震えた声。濡れてしっとりした瞳はまるで夢をみているよう…


「…は?」


まってこれはどういうことだ。いやまず僕が聞いたこと全部無視してるし何の段階も踏んでないし。名前も知らないのにいきなり告白された?え でもこれは告白なのか。もしかしたら僕じゃない誰かに言ったかもしれないし僕の服とかについて言ったのかも…


そんなことを考えていると、目の前の、やっぱりどこかで見たことあるような女の人は僕にすがるような声で言った。


「好きな人がいるのは知ってます。私のことなんて覚えてないことも。でも見つめるくらい許してほしいんです。」


…思い出した。


「もしかして、カイルの彼女だった人?それであなたは僕が…好きに?なっちゃって、カイルを振ったと」


「覚えててくれたんですか!?わたし感激です!」


「えーっと。うんそうだね。思い出したけど…」


「やった!覚えててくださった…」


なんだこの子。意味わかんない。もう会話ができる気がしない。なんでカイルこの子と付き合ってられたんだろう…この前見た時はさっぱりして優雅な感じの子だなぁって思ってたのに…僕、こんな女の子にずっと見られるのやだな…もうめんどくさいしはっきり言ってやろう。


「ごめんね。僕はあなたのこと好きじゃないんだ。あんまり見てられると困る」


相手は少し考えているようだった。まあ好きな人に好きじゃないって言われたら悲しいよな…しばらく無言が続き、相手がまた口を開いた。…なんで笑ってるの


「そうですか。そういえばお名前はなんて言うんですか?」


「はぁ?」


もうどうしようもないな…何言ってもくじけない。若干の敬意さえわいてきた。僕もかぐやさんにもうちょっと積極的になったほうがいいのかな。でも僕今いやだし、かぐやさんも嫌がるかな…僕があきれていると彼女は満面の笑みで


「好きじゃなくても諦めません!だって私はあなたが大好きですから!」


なんてことだ。僕が呆然としてると、お疲れのようですから今日はもう失礼しますね、と彼女は言って、一礼とともに走り去ってしまった。…ほんとになんてことだ。僕今まで19年生きてきてあんな子あったことない。奇想天外すぎる。


僕はかぐやさんが好きだ。しかしまっすぐにぶつけられる好意に、少しドキッとしてしまったは事実。でも綺麗な女の人にあんなに純粋に好きと言われて、ドキッとしない男はいないと思う。

…なんで言い訳なんかしてんだよ、僕。ああもう自分が許せなくなってきた。


「しっかりしろ。ばーか」


両の頬をぱちんとたたく。あの人のおかげで、かぐやさんに対してすこしポジティブになれた気もした。夜空にはきれいな星も瞬いている。

目の前のひときわ明るく白く光る星は、なんとなくかぐやさんに似ている気がする。涼しい風も吹いてきた。

次からは、もっと自分から話しかけるようにしよう。そうだ、彼女が勤めている図書館に行ってみようか。今日はもう遅いから、家に帰ってかぐやさんに話しかける口実でも考えておこうかな。


白い星に向かって手を伸ばす。きゅっと、その星をつかむように手を握った。ポケットに隠れていたキュイが目を覚まし、顔をのぞかせている。まだ夜は始まったばかりだった。



氷華です

えっと、この女の子誰だかわかりますか?

キャラおかしくなってるけどシルヴィさんです

カイルとの別れをしっとり書きすぎてしまった…

次は桜梨です

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