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一人の朝
鳥のなき声が響く。すがすがしい朝の香りで、カイルは目を覚ました。いつもより肌寒い。見ると隣から愛おしい女が消えていた。
「シルヴィ!」
飛び起きて、寝室のドアを開ける。朝が苦手な彼女が、カイルよりも早く起きているはずがなかったのに。
廊下を通り、リビングに入る。いない。
キッチンにもシャワールームにもトイレにもいなかった。
入れ違いかもしれないと寝室に戻ってみると、サイドテーブルの上に彼女の羽と、手紙が置いてあるのが見えた。急いで手紙を読む。読み進めると、カイルはじぶんの胸の奥から喪失感と怒りと悲しみが同時に膨らんでいくのをを感じた。
そこにはカイルへの別れの言葉がつづられていた。ほかに好きな男ができた、と。
ベッドに座り込む。涙が出てきた。やっと、愛しい人と一緒になれると思ったのに。あと少しだったのに。顔が憎しみにゆがむ。彼女がほかの男を好きになったなんて知らなかった。いったいいつから。
怒りで体に魔力が溜まり、弾けて、カイルは悪魔の姿に戻りそうになる。自身の、ひっかくだけで肉が裂けてしまいそうな爪が伸びていくのが見えた。…ああそうだよ
「そうだよ、殺してしまえば、シルヴィは帰ってくる。」
カイルの目の奥の魔力が、赤く、黒くぎらりと燃えた。
氷華です
シルヴィさん大好きなカイルでした




