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第十一話

 色々あったが、通常に授業は行われていた。


 「先に出るぞ、サトル?」


 「う~い」


 授業は体育である。


 さっさと出て行ったギギを見送りながら、ジャージに着替え、少し休憩が終わる前にラジオ体操を済ませて顧問の先生を待つのが、この戸隠高校のスタンスだった。


 「今日は、野球をやるぞ。


 二チームに別れろー」


 そう言うので、こんなチーム分けになる。


 そうなるとチーム分けは、自分にギギ、サンペイに喜多村、その他である。


 当然、ポジションを決める際に喜多村は、みんなの疑問をギギに聞いてきた。


 「なあギギ、お前、バット振れるの?」


 「…?」


 言うが早いか、ギギは触手を使って素振りしていた。


 ギギなのだが…。


 「じゃあ、ピッチャーやるヤツは?」


 この喜多村の問いに、このヘルメットは…。


 「な、投げれんの?」


 自分を含め、誰しもがこれを頭に浮かんだ事だろう。


 ギギッ!!


 同字ではあるが、字幕とは違う音がギギから聞こえたかと思うと、ヘルメットの頂点が開き、にょきっと砲身が現れた。


 「また、えらく物騒な…」


 『キラーン』と輝きを見せるが、誰もがわかった。


 ヤツはやれる…。


 「どうして、みんなオレの方を見るんだよ?」


 そんな中、サンペイがキャッチャーグラブを自分に手渡すので何となくわかってはいた。


 「受けろって?」


 少し顔が引きつるが、キャッチャーを勤める事になった。


 「ギギ様~、がんばってくださいまし~」


 アリアがギギに黄色い声援を送り、マウンドから見下ろすギギが砲身に硬球を放り込んで言う。


 「いくぞ、サトル」


 向かい合っているからだろうか、ギギのパワーを溜め込むのが見えた。


 「ココだからな、ちゃんとやれよ」


 バシバシとミットを構えていたが、少し心細かった。


 当然だ、高校の授業でプロテクターなんか身につけないからだ。


 ましてや、戦車の砲弾をキャッチしようとしてるのだから…。


 というより、自分は何をしようとしてるだろう?


 次の瞬間、ギギの身体が『キラーン』と輝いた。


 冗談じゃない、今は戦車だった。


 「危いっ!!」


 送り仮名を間違えるほどの思考スピードで横っ飛ぶ、次の瞬間、硬球がフェンスに当たったのだろうか、今まで聞いた事のない衝撃音がした。


 「何を避けてるんだよ」


 「と、取れるか、いま何キロ出した!?」


 「160キロ」


 「剛速球じゃねえか!!」


 「いや、こういう機能もあるんだから、みんなに楽しんでもらおうと思ったんだがな?」


 「プロでも150キロ台を、取れないヤツいるんだぞ。


 それをお前、ぶっつけ本番、しかも高校生に…」


 絵文字で『テヘッ』としていたので、コイツは確信犯だった。


 「無反動で160キロ砲弾をぶちかましやがって、48のアレか?」


 「よくわかったな、48の対処法の一つ『どこでも剛速球』」


 「サトル、何だよ。48の何とかって?」


 「さすがにこのヘルメットのまま、地上に出ても身の安全みたいなモノは保障出来ないだろ。


 だから、その対処法が48ほどあるらしいんだ」


 他にも52の名場面と呼ばれる危険なワザもあると、サンペイ達に説明していると、サンペイはとりあえず、


 「ま、まあ、ピッチャー、駄目な?」


 ギギは少しがっかりしたがレフトを守る事となった。


 「ギギ、行ったぞ!?」


 だが、ポジションが変わろうが、ギギは不得意はなかった。


 そのフライを見事にキャッチして、ポーンとセカンドに放るだけでなく。


 バウンドしたボールをキャッチ、三塁走者が走りだしたのをみたギギは、ボールを口に頬張り、バックホームとばかりに、地を這う160。


 そのままキャッチャーを勤めていた、自分に取れるワケがない。 


 遠距離だからなお感じ取れる、160砲弾に誰も責めれなかった。


 責めるモノがいるとするなら、それは攻撃にまわった時にやって来たこの人だろう。


 「情けないですわね」


 「何だよ、アリアか」


 「せっかくのギギ様のご活躍を、台無しにしていただけるなんて、やっぱり選考はお間違いだったようね」


 「うるさいな、だったら、お前なら取れるってのか?」


 アリアは黙る、悪く言うつもりはないが、このアリア、体育は一切もちろんの事、体力面は一切無い。


 「女子は勉学、美術を嗜んでいればよろしいのよ」


 あまりそこを突っ込まないようにしていると、ギギの打席になる。


 バッターボックスに身体がはみ出ていたが、そこを気にするような事は、この数日で終わっていた。


 「ところで貴方に頼みがあるのよ」


 そんな中でアリアの頼んだ、口調には緊張感があった。


 

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