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第十話

 「何かまた濃いのが出たな」


 あっという間に、放課後となる。


 険悪なムードになるのは時間の問題だったと言っても良かっただろう。


 「おい、サトル、大丈夫か?」


 「これくらい、さすがに大した事ないよ」


 その証拠が疼く。


 「あちゃあ、コレ、腫れてるよ」


 サチ姉とギギが心配そうに見るが、自分の口から血が滲んでいる。


 そう、言うまでもない。


 自分はカートに殴られたのだ。


 「何が『寄るな、汚らわしい』だよ。


 こっちは、今、状況を把握するのに手一杯だっての」


 さすがに痛むので、ギギに聞かずにいられなかった。


 「なあ、あいつ等なんなんだよ?」


 夕暮れ越しに歩行者も、驚かせて歩行する中、ギギは字幕を流す。


 「お前に言って良いのか、正直悩むよ」


 こういう時は、ホントに人として、悩むのが伝わってくる。


 「今更、退けるか」


 だが、殴られたのが自分を押したのだろう。


 「サトル、お前は私たち地底人が、何度もやって来ているというのは知っているな?」


 「ああ、昨日な…」


 「地底人とのホームステイは、かつて資産家、そして家柄で判断されていた。


 そこで誰もが得ることもないステータスに歓喜した地上の人間は、ある組織を立ち上げた」


 「それがアイツらって事かよ?」


 「そうだ、自分達は選ばれたモノだと、何を勘違いして生まれた組織…。


 オンブレ・ヌーボ」


 「オンブレ・ヌーボ」


 「あの三人は、その組織から差し向けられた者達だろう」


 「その組織、明らかにサトルを敵視してたけど?」


 サチ姉はそう言って、疑問に持つが何となくその理由はわかった。


 「ランダムで選んだのが、気に入らなかったんだろ?


 今まで家柄や資産で選ばれて来た行事で、そんな組織に介入が許されたんだ。


 それが突然、どこの馬の骨かわからない一般人がその大層な組織に入りたいなんて言い出したら困るだろ」


 「サトルは、興味ないの?」


 「無いよ。


 さっきも言ったように、現状を把握するのが精一杯だからな」


 するとサチ姉は『かあ~』と言った表情で答えた。


 「サトルは、お金持ちになる手段を失った」


 ご丁寧にギギのレベルアップのファンファーレ付きで…。


 「…というより何でもありだな、そのヘルメット。


 でも、人に手を上げるのが許されるのが許される組織なら、きっとロクな連中じゃないよ。


 こっちから願い下げだよ」


 するとサチ姉が、微笑みながら言った。


 「まあ、サトルらしいけどね…。


 ところで、あの子…」


 サチ姉が指すまでもなく、その子に気付いた。


 あの三兄妹の内の一人だった。


 兄は三年、妹は二年、一年と聞いていたが、その一年、ニナが立っていた。


 「ニナちゃん、だっけ?」


 「……」


 このように一番、物静かだというのが印象的で、人形と間違えてしまいそうな容姿が特徴だった。


 「あの~」


 至近距離になり、さすがにサチ姉が質問を投げても…。


 「……」


 この通り、無言…。


 ギギの目の前に立ち、何かを差し出した。


 「バンソウコウ?」


 内部で解析をしていたのか、もらした呟きがヘルメットを一周してニナは頷くので、ギギは言った。


 「渡す相手が間違えている。


 ちゃんと本人に手渡せ」 


 矢印を作って自分へと促すと、ニナは恐る恐る、自分に手渡そうとするので、


 「あ、ああ、ありがとう」


 おかげで少し恐縮してしまった。


 「……」


 そのまま走り去っていく、ニナを呼び止めれずにいると、ギギは言う。


 「基本的には野蛮な手段には好まない者達が多いと聞いている。


 だから、ああ言う子もいる。気を悪くすんな」


 「ふ~ん…」


 ギギのいう事は最もだったが、


 「あれ…?」


 頬が痛かった。



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