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第29話 この母にしてこの子あり

:タバコの画像のゲストって誰なんだ?

 :さっきママって言ってたよな?

 :まさかゲストってリオたんのリアルママか!?

 :それとタバコとどんな関係があるのかね?

 :リアルママがヘビースモーカーとか?


 タバコの画像が出てからもコメントが止まることはなく、むしろさっきよりも加速しているんじゃないかってぐらいひっきりなしに流れ続けている。


 「リオさん、早く紹介しないと彼ぴさん達が困惑してますよ……」

 『そうだね! それじゃみんなちゅーもぉく!』


 リオさんがリスナーに向けて呼びかけると、流れ続けていたコメントがピタッと止まった。

 これも彼女の配信ではよくあることで、リオさんがリスナーに聞いてほしいことがある時にやっている。

 このことを知っている彼女のリスナーは画面へ釘付けになっていることだろう。


 『こちらはリオとアオバきゅんのママ……つまりはイラストレーターのyui-yuiさんです! ママ、みんなに挨拶をお願いします!』


 リオさんがタバコの画像の人……大崎さんに声をかけると咳払いをする音が聞こえてきた。

 多少たりとも緊張しているのかもしれない。


 『どうも、ご紹介に与りました、イラストレーターのyui-yuiと申します〜』


 一瞬耳を疑いたくなる……というか今までに聞いたことのない声が聞こえてきた。

 

 :え、yui-yuiって『究極勇者ライガ』の漫画描いてた人!?

 :ってか女だったの!? 絵のタッチから絶対に男だと思ってた……

 :学生の時に薄い本購入させていただきました! 今でも大事に保存しております!

 :今でも親子共々お世話になっております!

 :親子でお世話(意味深)


 『やっぱり男だったと思ってる人、多いよねー、私もそうだったし! こんなに綺麗なえっちぃ絵を描ける方だし!』


 :ん? 今リオたんがエロいって単語使った?

 :も、もしかしてリオたんもお世話に……?

 :リオたんが薄い本を見ながらあんなことやこんなこと……


 なんか配信の流れが嫌な方向に変わったような気がしてきた。

 すぐに彼女の名前を呼ぼうとするが——


 『ぐっへっへ、みんな知ってるかわからないけど、yui-yui先生は女の子以外にもショタもすっごくいいんだぜー』


 ここ最近、リアルでもよく耳にした声が聞こえてきた。

 

 :げっ、もう一人のリオたん!?

 :もしかして、清楚なリオたんになりすましてやがったか!

 :この配信のリスナーに祈祷師の方はいらっしゃいませんかー!


 リスナーもそれに反応するかのように再びコメントが大量に流れ出していき、先ほどの不穏な空気はいつの間にかなくなっていた。

 これを見越しての発言なら本当にリオさんはすごいなと思ってしまう。


 『あ、せっかく何でyui-yuiママも一緒にアオバきゅんをペロペロしませんか?』


 ここぞとばかりに自分のアバターをアオバの方へと近づけさせるリオさん。

 ——さっきまですごいと思った素直な気持ちを返してくれ。


 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 『それで今日、yui-yuiママをお呼びしたのはちゃんと理由があるからだよ! えっと、ちょっとまっててね』


 そう告げたリオさんの方からカタカタとキーボードを叩く音が聞こえてきた。

 この配信で告知するものがあるので、その対応をしているのだろう。


 『じゃーん! これです!』


 その直後、配信画面の上部に正方形の画像が映し出された。

 内容はこの前収録が終わった新衣装お披露目3D配信。


 :ふぁ!? み、水着!

 :きゃー! アオバきゅんの水着ー!

 :た、たまらん……!


 画像が表示された途端、またコメントが大量に流れ始めた。

 3Dでリオさんの水着姿を拝めるとなったら彼女のリスナーからすれば興奮状態になるだろう。


 『そう! さらっと公表するけど新衣装は水着! みんなに全身見れるように3Dで収録してきたんだよ!』

 

 :ま、まじか……水着姿のリオたん、しかも全身をみれるだとぉ!?

 :も、もちろん! アオバきゅんもだよね!


 『もっちろん! ちなみにアオバきゅんは今回が初の3D配信なんだよね!』

 「そうですね、いつもの配信と勝手が違うので大変でしたね〜」

 『色々と困っているアオバきゅん堪能させてもらいました、じゅるり……』

 「……まあ、困ったことの大半、リオさんが起因するものですけどね」


 俺の返しにコメント欄大量の草……『www』が流れていた。


 「って俺の話はいいですから、yui-yui先生にも色々話を聞きましょうよ」


 これ以上自分たちのことを話をしてるとあっという間に時間が過ぎていきそうだったので、切り替えることにした。


 『ちょっと話がそれちゃったけど、この水着衣装はyui-yuiママがデザインしてくれただよ!』


 :ママが水着衣装を仕立てるってなんかいいな(ほっこり)

 :コンセプトとか聞いてみたいかも!

 :イラストレーター本人からこういった話を聞けるって中々ないしな!

 

 『うん、それは私も気になる! ママ、よかったら話してもらってもいいですか!』


 しばらく話さなかったからか、リオさんが声をかけると再び咳払いが聞こえてきた。


 『そうですね〜、コンセプトは大前提として2人のカラーがあるので、それを取り入れましたね〜』


 話を進める大崎さんだが、普段の様子を知っているからか違和感しかない。

 実は別の人が話しているんじゃないかとも思えてくる。


 『……ちなみにリオちゃん?』

 『え、どうしたの?』

 『この喋り方疲れるからいつも通りにしていいか?』


 いつもの大崎さんの声が聞こえてきた。


 :いつも通り……?

 :もしかしてボイスチェンジャー使ってた?

 :やっぱり中身は男なのか!?


 再び配信内がピリつく雰囲気になっていった。

 だが、そんな空気は『彼女』の一言で吹き飛んでいった。

 

 『個人的にはリオの胸はもっと盛りたかったんだよなあ……巨乳JKの水着姿ってたまんないだろ?』


 何度目だろうか、この言葉にコメントが一気に加速していった。

 ——コメント欄、壊れたりしないよな?

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