8話
遠い!小早川の陣が遠すぎる!
オフロードバイクはないのか!
いや、オフロード自転車でもいい!
誰か!俺に力を!
「はぁ」
「殿、水を」
「ああ、ありがとう。塩はあるか?」
「これに」
「ふぅ」
「殿も変わっておられますな。塩を肴に水を飲むとは」
「本当は砂糖も欲しいがな」
「そんなものここにはありませんよ」
「だよなぁ」
なんで、もっと早く俺を転生させてくれなかったんだYO!
HEY!神様!仏様!YO!YO!YO!
(ムネ!お前はラップがしたいのか、盆踊りしたいのかどっちなんだよ!)
また、ジンの声が?
「どうなされました、殿」
「何でもない。それとな正吉」
「なんでしょう」
「別に塩を肴に水を飲んでないぞ」
「ではなぜ?」
不思議そうな顔でこちらを見るなよ。
「まさか、酒の代りに水とか思ってないよな」
「…はい」
一瞬の間、眼をそらすなよ!?
「塩と砂糖を適量を水と混ぜれば、効率よく水分が取れるんだよ」
「そうなんですか?」
「そうだ。簡易的だがな」
「なるほど」
自作の経口補水液だけどな。
分量間違えたり、飲む回数間違えると逆に身体に悪いがな…
本当に、なんで、関ケ原での戦いが始まる直前に転生なんだよ。
もっと早ければ、交渉や物資とか準備できたのに!
くそ!神も仏もいねぇ!!!
いや、俺にはロックの神様がいるんだ!
いや、俺がロックの神様になるんだ!
(ムネ、馬鹿なことばっか言ってないで現実を見なさい)
今度は、アヤの声???
なんだ、憑かれて頭がおかしくなったのか?
なんか、ニュアンスがおかしかった気がするが…
「殿、もうすぐ陣に着きます」
「そうか、戦況はどうだ?」
「物見によれば、一進一退のようです」
「ん?誰か来るな?」
「十数人ほどですな…あの旗は脇坂様ですな」
「ああ、動きが分からないやつか。家康に内通しているから様子見なんだろう」
「親次!」
「はっ、数人付けて相手の動きを見ろ」
「分かりました」
「攻撃してきたら全速力で逃げるぞ!」
「はっ」
「安治を見張っている部隊に伝令を!」
「はっ」
『脇坂安治の陣』
ん、騒がしいな。
「殿」
「どうした?」
「南宮山から十数人の者たちが移動していると物見から報告がありました」
毛利が動いたのか?
そうなると、この戦いどちらが勝つか分からなくなる。
ここで動いて、徳川様の危機を救えば加増は間違いないだろうが…
負ければお取り潰しで済めば良い方だろう。
「誰か、どの家のものか分かるか?」
「分かりません」
まあ、そうだろうな。
幟なぞつけぬか。
「物見を増やして、確認してこい。もし、逃げれば攻撃しろ」
「はっ!」
『小早川秀秋』
安治の兵が増えて、後続もいるな。
此処は逃げるか?
「どう思う、正吉」
「殿は、脇坂様が徳川様に内通していると思っておられますか」
「内通しているぞ、でなければこちらの伝令を無視して陣は避けないだろ?」
「確かに」
実際に、内通を約束しているのは知っているが、何故知っていると聞かれても面倒だし、答えずらい。
知っているからと言えば、頭大丈夫?とか言われそうだしなぁ
「お前たちはどこの者か!」
声をかけてきやがったなぁ
こちらは十数人、集めても二十人を超えるぐらい。
相手は倍ぐらいいそうだ…
仕方ないか。
「黙れ!お前らは俺に声を掛けられる身分の者か!喧嘩売っているのか!」
「な、なんだと!」
「この秀秋に声をかけれる身分かっていているんだよ!馬鹿野郎が!」
「は、え、なんと?」
「下馬もせず、俺に声かけるとか斬り捨てられる覚悟があるんだろうな!」
「こ、これは!」
「とっとと下馬しろ!くそやろう!」
「言葉遣いが…」
「まて、この者が小早川様とは限らんぞ!」
「だからお前らごときが俺の面知っているのか!もっと上の奴らを連れてこい!もし、攻撃するなお前たちを踏みつぶすぞ!」
「ひぃ、お、おい、殿に伝えよ!そ、それまでお待ちを!」
「うっさいわ!てめぇらに指図される覚えはない!それとも、お前たちが俺より偉いのか?ああ?」
「ぐっ」
「おい、皆急ぐぞ。こんな馬鹿の相手何てしてられない」
「お、お待ちを!そうでなければ、攻撃させてもらいますぞ!」
「ああ?喧嘩売ったのか、お前は?」
「い、いえ」
「分かった、お前ら安治は敵だ!お前の言葉で決定した!」
「そ、それはお待ちを!」
まあ、安治か上司から確認しろとか、歯向かったら攻撃しろとか言われていたんだろうな。
だが、しらん!
「ん?」
「ど、どこの軍勢だ!?」
「殿、長曾我部様の軍勢かと」
「そういえば、こちらに来るように伝えていたな…よし、親次」
「はっ」
「使者として向かったなら盛親と顔は見知っているな」
「はい」
「こちらに来るように伝えてくれ」
「分かりました」
「良かったな、お前の発言で、お前たちは敵になった!」
「ば、馬鹿なことを!?」
「それが嫌なら安治に広高や高知を攻めろと言え!」
「む、無茶なことを!」
「ほれ、急がないと、兵がこちらに来るぞ?」
「くっ」
悔しい顔をして、去って行ったな。
抵抗している間に兵が来るのが分かったろうから、逃げたな。
おお、盛親の兵は強そうだなぁ。
「これは、小早川殿」
「盛親元気か!」
「も、盛親!?」
なんか、盛親戸惑っているな。
あれ、やっぱりフレンドリーなのが嫌なのか?
…まあ、この時代は名前より、苗字や通称、官位で呼ぶのが普通だ者なぁ。
だが、断る!
「おう!おれのことも秀秋と呼んでくれ!」
「い、いや、それは…」
「堅苦しいのは面倒だからな!」
「そこまで親しくないとは思うが…」
「なんか、言ったか?」
「いえ、では秀秋殿と」
「おう!」
「ところで、なぜこのような所に?」
「盛親へ使者を出すついでに、秀元にも出したんだがな。気になる事があって、直接秀元と話をしたんだ」
「そうなので?」
「そうだ、秀元も動くぞ」
「それでは、この戦は?」
「勝てるかもしれないが、絶対ではないな。あの狸は強いぞ?まして、信州から秀忠の兵も来るからな。時間との勝負だ。こちらも元康の兵が来るが…」
「そうですな。そういえば、先ほど、兵が居ました秀秋殿の?」
「いや、安治のところのだ。高知や高虎を攻めろと言ったんだがな、兵を後方へ引いたんだよ」
「ほう」
「だって、家康に内通しているから仕方ないんだろう」
「え?」
「ちなみに、他の三家も俺の動き次第では寝返っていたぞ」
「なんと…まさか、毛利は」
「さてな、動くんだから問題ない」
「…分かりました。で、我々はどうすればよいですか」
「安治の動きを見て、高知らを攻めなければ、後ろから攻めかかってくれ」
「そ、それは?」
「先ほどの物見にも言ったが、俺を拘束しようとしたからな。俺をだぞ?それも下馬も結局せず、止まれと命令したんだ。もうこれは、俺に喧嘩を売ったようなものだ」
「け、喧嘩?」
「そう、だから殴り飛ばしたいが…陣に戻らないといけないから、盛親に頼むしかない」
「…わかりました。しかし、使者を派遣してからでよろしいですか?」
「おう!任せる!ぶっ飛ばしてやれ!」
「ぶっ飛ばせとか、ははは」
おお、ひげ面で強面が笑うと迫力があるな!
「おう!任せた!後で、三成あたりが四の五の言ったら殴って黙らせる!」
「は?秀秋殿って、こんな感じだったか?酒飲みで頭が…」
「なんか言ったか?」
「い、いえ、なんでも」
「じゃあな。勝ったら飯でも食おう!」
「はっ!」
これで、安治のケツを叩けるし、寝返っても盛親が後ろから攻めて、監視している五百ほどのこっちの兵と挟撃できる。
はてさて、どうするかな!
喧嘩を売った事を後悔しろよ!
まあ、本人は寝耳に水だろうがな!
ははははあははっははは、はん、うふん!
「殿、気持ちが悪いです」
「うるへぇ!」




