54話
『小早川秀秋の陣』
さて、山を下りてきて麓に陣を貼ったが、此処に留まる事になるのか?
ある程度、後方に兵を置いているから、全兵を持ってこれないのが…
ん?
騒がしいな。
「殿」
「どうした正成」
「立花様が着陣されました」
「そうか」
「どうかされましたか?」
「いや、来るなら戦いが始まったタイミングが良かったかもしれないってね」
「たいみんぐ?」
「来る時期という事だよ」
「なるほど、こちらと戦い意識がこちらに向かっている時に、横合いからということですか」
「ああ、まあ、そんなにうまくいくとは思わないけどな」
「確かに、こちらの思い通りになるなら戦いは勝ちばかりです」
「その通りだ、ははは、さて、迎えに行くか」
「はい、ところで、立花様はこちらの組下になるのでしょうか」
「いや、ある程度はこちらとすり合わせをするけど、遊軍として隙に動いてもらうよ。俺に扱える奴とは思えない」
「…そんなことはないです」
「いや、言い出すまで間があったからお前もそう思ったろ」
「いえ、かつての殿なら無理でしょうが、今の殿であれば問題ないかと」
「言い方だな…はぁ」
本当は正則た維新さんもそうだけど、宗茂なんて戦いがうまい連中を俺が指揮できるわけないんだよ。
戦場の空気が分かるわけでも、機微も分からないからなぁ。
この身体や頭はある程度感じれるっぽいだけど、俺が分かるの喧嘩の感覚ぐらい。
それさえも、離れぐらいだから。
おお、偉丈夫と言える奴がゴリラ…げふんげふん、正則と話しているからあれが宗茂か。
維新さんもいるな。
宗茂の親父さんの事を考えると険悪になりそうだけど、そうではなさそうだ。
「おっす!」
「おっすじゃねぇよ!まともに挨拶もできないのか!」
「細かいこと言うなよ、正則。ほら、全く面識がないわけでもないし」
「だからと言って、今から決戦だぞ?」
「まあ、そうだけどよ。で、疲れはどう?」
「お久しぶりです、小早川殿。疲れは多少ありますが、問題ありません」
「ふむ…なら、少し、休んでおいてくれないか?」
眉間にしわを寄せているな。
侮られたと思った?
「我らが頼りにならぬと?」
「いやいや、これからは決戦だから、最初から全力に行くことが難しいし、全力としても何れ息切れする。だから、ある程度の経ってから動いてほしい。後は、忠勝も抑えないといけないからな」
「本多殿?」
「あれが居ると、家康が殴れない…まあ、柳生や光義がいるから近距離、遠距離の守りはあるし、周辺の連中も手練ればかりだから厳しいだろうが」
「殴る?」
「ああ、立花殿は気にするな」
「いや、気にするなと言われても、徳川殿を殴る?」
「おお、俺も気になっていたんだよ」
「長宗我部殿か」
「お久しぶりです、立花殿」
「お久しぶりです、貴殿もこちらに?」
「はい、小早川殿の誘いで」
「ははは、それはそれは、本当に小早川殿は変わられたようだ」
「酒飲み仲間の誘いと思いましたが、違ったようで残念です」
「そう言えば、お前酒飲んでいないな?」
「飲んでないな、飲む気もないな」
ったく、盛親も酒好きか?
酒はもう飲まない方が良いだろうな。
多分、肝臓が弱っているだろうから、今から飲まなくなっても遅いだろうが…
「宗茂、先ほどの話は少し休んでから参戦してくれ、できれば、疲れているようにしながら休んでくれ」
「ふむ、欺けれますか?」
「無理だろうな。でも、騙せなくても、何かあるのかって思わせるだけでも十分だよ。相手は狸だからな。まして、前線で戦うのは手練手管の連中ばかり、どうやっても騙せないが、家臣や兵はどうか分からないだろうから、運が良ければだよ」
「分かりました」
「で、どうする本多殿は?」
「はあ、それなぁ」
「その本多殿はどういうことです?」
「いやいや、徳川殿を殴るってなんだよ」
正則が今までの経緯を、宗茂と盛親に話している。
聴いていくうちに、宗茂は苦笑い、盛親は笑い出した。
「童のような話ですが、まあ、それはそれで面白いでしょう」
「くだらない、くだらないが面白いな!」
「宗茂、盛親、ひとそれぞれだろ?それに強い奴とやり合うのは面白くないか?」
「まあ、それはそうですね」
「そりゃそうだけど、殴りたいとか子どもの喧嘩じゃないか」
「盛親、話し方崩れているぞぉ」
「気にしないんじゃないのか?」
「まあ、良いけどな。三成あたりが居たら渋い顔されるから気を付けろよ」
「分かった」
盛親がなんか、弟分に見えてきた…
まあ、良いか、気にしたら負けだ。
稲葉正成…正成
石田三成…三成
福島正則…正則
立花宗茂…宗茂
長宗我部盛親…盛親
島津義弘…義弘、維新
徳川家康…家康、狸
本多忠勝…忠勝
柳生宗矩…宗矩
大島光義…光義




