47話
『金森長近の陣』
黒田殿と細川殿の陣が乱れているな。
「黒田殿の支援に向かう!」
「はっ!」
「吉田殿、織田殿らも影響を受けている、竹中殿と加藤殿に後詰を!」
「はっ」
「松平家重殿、松平家清殿にも後詰を!」
「はっ」
黒田殿らが既に援軍を依頼しているかもしれないが。
しかし、あれだけの大筒を用意しているとはな。
黒田殿らの混乱が、吉田殿と織田殿の兵にも波及している。
昨日の攻撃で少し疲れたと言って、少し下がっていて助かったが…何か飛ばしてきているな。
あれは、南蛮か、明か、どちらの兵器か、あのような隠し玉をもっているとは、石田も油断できぬな。
「吉田様、織田様が飛んできた木が当たり落馬!意識を失われたようです!」
「なに?松平殿らにそちらの支援に向かうように!」
投石もそうだが、あの状況では下手をすれば命を失いかねないぞ。
飛ばすだけの平気であれば、大筒とは近い何度も使える可能性が高い。
このままではまずいな、近づくことが出来にない。
「徳川殿にこのままでは近づくことが難しいと!」
「はっ」
一旦陣を退いて、再編するしかない。
そして、あの兵器を何とか使えなくしなければ、攻撃は難しくなる。
あるいは、北や西に回り込むしかないぞ。
これは厳しい戦いになりそうだな。
『徳川家康の陣』
なんてことだ、投石器だと?
あのような兵器をこんな使い方するとは、あれは攻城兵器だと思っていたが。
「正純!宗矩!」
「はっ」
「はっ」
「石田だけではなく、宇喜多、小早川、毛利らも投石機など仕入れていたのか?報告がなかったが」
「投石器を作ったり、商人から購入したという情報はありませんでした」
「こちらも、戦いが始まる前および昨日まではそのようなものは見かけておりません」
「そうであるなら、昨日造ったという事か?」
「そうなります。間者から木を多く切り出していると報告があり、殿にはお伝えしております」
「そうだったな、宗矩。てっきり柵を作るためと思っておった。だが、一日で作れるようなものなのか?」
二人とも、左右にするな。
職人でもないのに、分からんな。
「作れるとしても、頑丈なものではなく、簡易的なものと思われます。その為、何度も使うことが難しいと思いますが…」
「簡易的であるからこそ、修復も新しくも造れるとも言えるな」
「はっ」
やっかいだな。
大筒程度ならば、数が多くとも、火薬と玉に限界があるだろう。
まして、使い続ければいずれ壊れるだろうし、熱が困れば連続も無理だが…
「一旦、退いた方が良いか」
「それは…」
「相手はわしの首を狙っているはずだ。何れ閉じこもった殻を破って、攻撃してこなければならん」
「ですが」
「よし、皆を退かせよ」
「…はっ」
正純は納得できぬか。
宗矩は理解しているようだが、このまま攻撃を続けていても、被害が広がるだけだ。
やつらは閉じこもっていることは出来まい。
退けば追撃してくるか?
追撃してくれば潰しやすい。
「宗矩、休戦している間に、相手の情報なり、投石器を奪う事は出来るか?」
「様子を見ることは可能でしょうが、奪うのは流石に大きさを考えれば」
「前線に引っ張り出すしかないか」
「はい」
あいつらが前線に引っ張ってくるか?
来ることはないとは言わないが、撃ち終われば、陣に戻すだろう。
そこを狙うか?
まあ、そんなことを許すほど、愚かではないだろうな。
『小早川秀秋の陣』
兵が引いていくな。
あれか、投石器が結構効いている?
「正成、どう思う?」
「投石器を脅威と思っているのではないでしょうか?大筒や鉄砲と違い、木や石があれば何度でも使えますし、故障しても修繕も新しく作るの事も手間ではありません」
「そうか」
「殿の功績でありますが、こちらとして徳川様を捕らえるか、討ち取るかしかないので引かれるのは、こちらとしては良くはないかと」
「確かに、しっかり守られると、突破するのは難しくなるよなぁ」
「はい、炮烙には限りがあります。投石器を前線に持っていけば、奪われかねません。奪われれば、あちらも造ることになるでしょう」
「だよなぁ」
どうしたものか、守られたら非常に厳しいだろうな。
野戦になれば、家康は強いと言われているし、あちらの武将も弱いわけではないだろうし。
「ただ、この度の投石器の攻撃で、かなりの兵が負傷しているはずです」
「かもしれないな」
「なので、徳川様の周囲の兵たちに比べたら、疲弊の度合いは大きいものになっているはずです」
「このままだと、休戦はないか?」
「徳川様次第かと」
遺体は放置していた方が、こちらにとっては邪魔になるし、まして、その影に遺体の振りした連中が潜む可能性もある。
「休戦をしないなら、夜襲の可能性もあるのか」
「はい、夜襲は別に数十なり、数百でよいので動かしやすくなるでしょう」
「そうなると、後方にも更に気を配らないといけないか」
「はい」
面倒になったなぁ
正則を引き込んでうまくいくかと思ったけど、なかなかうまくいかないな。
物語に出来ないか…はぁ。
「三成にどうするか、聴きに行ってるか」
「分かりました」
「後を頼む」
「はっ」
勝つには、家康に一発殴るには、攻めないといけないんだけど。
ため息しかない。
『石田三成の陣』
毛利大蔵大輔殿の先ぶれが来た。
もうすぐ、着陣するだろう。
明日には攻撃に参加可能になるが…
「殿、皆さまが集まりました」
「分かった」
さて、今後どうするか。
吉継とは話したが、徳川殿を捕らえるか、首を取らない限り終わらない。
もし、此処で和議をしてしまえば、上杉殿や前田殿の扱いも困ることになる。
徳川殿であれば、一時的な撤退や屈辱は飲み込む御仁だからな。
どのような手で出てくるか。
石田三成…三成
福島正則…正則
毛利元康…元康、大蔵大輔
大谷吉継…吉継
上杉景勝…景勝
前田利長…利長
本多正純…正純
柳生宗矩…宗矩
黒田長政…長政
細川忠興…忠興
吉田重勝…重勝
織田長益…長益
金森長近…長近
松平家重…家重
松平家清…家清




