44話
『徳川家康の陣』
池田も浅野も不甲斐ないな。
兵数的に考えれば、後詰はいらないだろうが、出さなければ奴らの不信を買いそうだな。
流石は山内、混乱を見るや素早く動き、池田と浅野の兵を下げて落ち着かせたようだな。
二人とも落馬して気を失ったようだが、復帰できたようだな。
だが、無理は出来まい。
出来まいがこのままでは面子が立たぬから無理をしそうだな。
別に死ぬのは構わんが、この場では止めて欲しいものだ。
「正純」
「はっ」
「成瀬に二千の兵を与えて、山内殿のところへ行くように伝えよ」
「分かりました」
一気に攻めたいところだが、山々が城のようなもので攻めにくい。
平地での合戦であれば粉砕できるであろうが、地理的に不利が覆せぬ。
良くない流れだな。
秀忠め、何時になったら来るのだ。
秀康を連れてくればよかったか、いや、後を継がす秀忠を連れてくるのは正しいのだが…
かといって、忠吉は未熟であり、真田を相手にするには器量不足。
直政が補佐についているとはいえ、あ奴も抑えが効かぬ。
今更ながら、周囲や子どもは抑えが効かぬ奴が多すぎる。
秀忠も心の奥に閉じ込めているだけ良いがな。
信康が生きておれば、良い年になって円熟味がましていただろうが、奴が一番血気もちだから、どうなっていたことやら。
「しかし、やつらの太鼓の音は終わらぬな」
「はい、何時まで続ける気なのでしょうか」
「気がふれたのかもしれんな」
「笑えません」
「まあそうじゃな。だが、あれが奴らの気力を上げているのも事実だが…今日も戦況が変わらぬかもしれんな」
「…」
「持久戦か」
秀秋の寝返りが失敗した事で、短期決戦で終わるはずだったものを、兵糧や弾薬を消費する。
東海道から集めねばならんか。
そう言えば、北陸の前田は国元に帰っていたな。
使者を出して、北國街道を進んでもらうか?
さすれば、石田の背後を突けるか。
「宗矩」
「はっ」
「書状を書く、前田に送れ」
「分かりました」
これで持久戦になっても問題なかろう。
宮津の小野木が来ても邪魔をすることもできる。
中々うまくいかぬな。
簡単に天下はとれぬか。
天下を取らねば、三河以来の家臣が煩い。
もう少し、奴らわしのいう事を聞けば良いものを…
ため息しかないわ。
『小早川秀秋の陣』
うーん、福島勢が動いても、兵を出して防いでいるな。
忠勝に隙がない、藤堂らも動いているし…
「殿」
「どうした、正成」
「木砲が五十ほど完成しました」
「そうか、毛利にも渡しているからなかなか数が増えなかったから仕方ないか」
「はい」
「火薬は?」
「確保は出来ていますが、砲弾が…」
「石で代用するから、中々固いのがとれないか」
「はい、大垣城付近から持ってきてはいますが、遠いのと警護を考えると量が持ってこれず」
「仕方ないなぁ、まあ、木砲も耐久力ないからちょうどいいのかな」
「そうかもしれません。継続して作っておりますが」
「それでいいよ、今日も日が暮れてきたし、これいったん終了かなぁ」
「そうかもしれませんが、休戦がなければ、夜襲対策も感がねばなりません」
三成が休戦するかな?
一度しているから、してもおかしくないかな?
家康も三成も援軍を期待して、決戦を伸ばしている気もするな。
「それで、太鼓はいつまで続けるのですか?」
「とりあえず、日が暮れて戦が収まるまでだな」
「分かりました」
「増やしておいてね」
「まだ必要ですか?」
「壊れた時の為だな」
「…分かりました」
「何だったらそれを投げつけても良いからな…そうか投石器を作るか」
「投石器ですか?」
「中国…ではなく、明では抛石機とか言われていたかな?そんな感じだけど、まあ、攻城兵器だな。石を投げつけるやつだ」
「火薬がいらないだけ良いですが」
眉を潜めているな正成は。
確かに大筒や鉄砲は、威力よりもその音が重要だと思うな。
殺傷能力ならば、弓の方が断然上だし、鉄砲で死ぬ数も比較にならないだろうし、大筒なんて当たった人はアンラッキーで大半の人は助かる。
只の鉄や石の塊だからな…
炸裂弾とかなら別なんだろうけど、そんなもの造る時間も試す時間もない。
なら、投石器ならば、小型でも石を袋に入れたり、枝や木を切り分けたものでもいい。
飛ばせるものがあれば、なんでも飛ばせるからな。
ただ、飛距離を考えないといけないから、試す時間もいるんだが…
「よし、作る指示を出してくる。いったん、木砲は細々作ってくれ」
「分かりました。負傷した者たちで動けるものを使います」
「おう」
この時代は、徴兵した農民が多いから、手先が器用だったり、大工仕事も出来る人も多い。
簡単な投石器なら、作れるだろう。
何か、現状を打開する一手がいる。
そうだ、作ったギターの形の木を投げ込むか?
そうなれば、ギターの認知度があがるんじゃね?
(…絶対、それは違う)
…だよね、ジン…
『石田三成の陣』
今日も無事押し返すことが出来たな。
だが、このまま持久戦になったとしても、打開できる気がしない。
上杉殿が南下してくれればよいが、いくら上杉殿や直江殿がいたとしても、最上や伊達を抑えれるとは思えん。
最上は駒姫の件があるから、豊臣を滅ぼしたいほど憎んでいるだろうから調略は無理だろう。
また、南部も徳川方だ。
佐竹殿が動けば変わるのだろうが、先代の義重殿が抑えていると聞いている。
それを踏まえれば、関東以北の決着には刻がかかるだろう。
中国、四国の動きは微細か。
毛利殿が動いているようだが、上手くいくことはあるまい。
吉川の先代元春殿や小早川の先代隆景殿がいれば別だろうが、特に九州は如水殿が居る。
あの御仁であれば、知恵の足りぬ清正を手玉に取ることは可能だろう。
小西殿の所領を蹂躙する事しか考えておるまい。
鍋島も如水殿と手を結ぶ可能性もあるし、島津は動くまい。
国元に居る龍伯殿は豊臣を良く思っておらぬだろうからな。
「殿、木砲はいつ使われます」
「今ではないな」
「しかし、何時までも置いておいておいても」
「分かっておるが、フランキも木砲も耐久力がないからな。使うとしたら戦機を覆す時に使うべきだろう」
「確かにそうですが、細川だけではなく黒田の攻撃も激しく」
「そうか、ならば、半分を使いつぶせ」
「はっ」
急いで左近が前線に行くが、細川は分かるガラシャ殿の件があるかな。
ただ、黒田は何故だ?
…そういえば、小早川殿が寝返りの交渉をしていたのは黒田と言っていたな。
そうか、寝返らなたかった事に対する負い目か、厄介ではあるな。
しかし、このまま日が暮れれば、明日は休戦をするのか?
「殿!」
「どうした、休戦の使者か?」
「その通りです!」
「分かった」
やはり休戦か、どちらも援軍が来るための時間稼ぎをしているからな。
…小早川殿は、前田が動くと厄介と言っていたな。
吉継が撃退して国元に戻ったが、山口らが奮戦で兵は損なわれていても、補充は可能であろう。
そうなると、北國街道から来るか…
小野木殿に使者を出して、抑えてもらうしかないか。
石田三成…三成
島清興…清興
小野木重勝…重勝
福島正則…正則
小西行長…行長
大谷吉継…吉継
真田昌幸…昌幸
上杉景勝…景勝
直江兼続…兼続
佐竹義重…義重、先代
佐竹義宣…義宣
山口宗永…宗永
毛利輝元…輝元
吉川元春…元春
小早川隆景…隆景
徳川家康…家康
松平信康…信康
徳川秀忠…江戸中納言、秀忠
結城秀康…秀康
松平忠吉…忠吉
成瀬正成…小吉、正成
井伊直政…直政
本多忠勝…忠勝
藤堂高虎…高虎
池田輝政…輝政
浅野幸長…幸長
山内一豊…一豊
前田利長…利長
最上義光…義光
伊達政宗…政宗
南部利直…利直
黒田孝高…孝高、如水
加藤清正…清正
鍋島直茂…直茂
島津義久…義久、龍伯
島津忠恒…忠恒
細川忠興…忠興
黒田長政…長政




