40話
『徳川家康の陣』
ふむ、忠勝から福島勢が動いたと伝令が来たな。
まあ、遅かれ早かれ来るか。
あ奴は猪武者で単純であるが、情にほだされたら兵をさし向けてくるとは思ったがな。
それぐらい秀秋は人たらしなのか?
忍びからは、三成と会ったとも聞いているが、問題を起こしていないのも不思議な事だ。
「殿、どうされますか」
「そうだな」
さて、どうするか。
忠勝には十分な兵を預けている。
大谷も対応しなければならないが、無理に攻めたてなければ十二分に対応できるだろう。
石田や宇喜多を崩せば、どうとでもできるだろう。
しかし、黒田らが情けないな。
攻めきれぬとは、文弱な石田や、内部が崩壊している宇喜多に押されるとは。
我が兵を減らす気がなかったのだがな。
奴らが損害を受ければ受けるほど、わしにとって良い状況になるはずだったのだが、欲張り過ぎたか。
「忠勝であれば問題あるまい。下げていた藤堂らもいる。兵数を考えれば十分対応できる」
「確かにそうですが、念を入れるべきでは?」
正純も危機感を感じれるようになったか?
これで、後は人の感情を理解すればよいのだが、どうも、石田と同じで感じれないようだな。
父親の正信は三河一向一揆で敵対し、離反した事で家中でも、特に忠勝が毛嫌いしていてる。
わしとの密謀で、近くにいることにもいい顔もしていない。
刃傷沙汰まで行かぬが、言い争い…いや、忠勝や嫌っている連中が罵詈雑言を言っているだけだが。
それも影響しているかもしれないが、正信は苦労した分、他人の機微を掴むのがうまいし、使うのがうまい。
その点が正純にはまったくない。
このままでは、秀吉が失敗した武断派と文知派の対立になりかねぬな。
秀忠はその事を危惧しているようだが、わしが死んだ後どうなるか。
秀吉の失敗は、秀次を自害させたことだな。
これで年頃の後継者が消え、幼年の秀頼しか残らず、能力のない一族がいる状態になった。
幸い、秀忠は十分に経験した年だし、政務に関しては問題ない。
早めに後を継がせれば、盤石とは言わずとも、安定はするはずだな。
「お主の言う通り、兵を前に出して警戒させよう」
「はっ」
「信昌に二千の兵を与え、福島の動きを警戒させよ」
「はっ」
これで、十分だろう。
あまり、兵を出しすぎると手当もできぬ。
毛利の兵を抑えている方からは何もないな。
「宗矩」
「はっ」
「南宮山の方はどうなっているか」
「一進一退のようです」
負けもせず、勝ちもせずか。
やはり、毛利は弱くなっているな。
隆景あたりが居れば、池田らなら簡単に潰されていただろうな。
小早川は秀秋が次いで、優秀な家臣も毛利に戻ったが、上手く使えていないのかもしれん。
もし、秀包がそのまま継いでいたら、どうなっていたか分からんな。
「監視はしておけ、後ろを取られるのは危険だからな」
「はっ」
福島勢が動いたところで、影響が少ないだろうが油断はできんな。
『毛利秀元の陣』
池田、浅野、山内はやはり手ごわいな。
特に、山内は戦乱にも割れて差配が老練だ。
池田も、浅野も柔軟性に欠けるが、山内はうまくこちらの攻撃をいなしている。
「広家、どう思う?」
「江戸中納言殿が来るまで粘る気かと思います。あと、徳川殿はこちらは無理せず守りの攻めをしているのでしょう。石田殿が敗れれば、徳川殿の勝ちですので」
そうだな。地形的に石田殿らは有利だが、兵数は互角。
元康殿らが来ても、信濃の江戸中納言が来たら有利が消えるし、我々が不利になる。
長曾我部殿が向こうに行ったのは良くなかったかもしれんな。
「この状況を打開できるか?」
「難しいかと」
「殿」
「どうした」
「小早川様から荷が届きました」
「なんだと?」
「広家」
「確認してきます」
あいつは何を送ってきたんだ?
酒で頭がおかしくなったと思っていたら、なんかまともになっているし、あの広家を説得するし…
一周回ってまともになったのか?
いや、一周回ったら変わらないか…
「秀元殿」
「何が送られてきた?」
「木砲数個と作り方、および、炮烙です」
「何だって?」
「こちらで木砲を作ることを勧めていましたが、材料が集まらず放置していました」
「そうだな、流石にそんなもの用意していないからな」
「なので、周辺の村から材料を購入して作ればよいとの事です」
「そんな銭はないぞ」
「後払いで良いだろうと、もしくは敵から回収した鎧兜とのぶつぶつ交換でもよいと書いています」
「…そうか、それもやれるな」
「はい」
「炮烙は、俺たちの知っているものか?」
「はい…と言いたいところですが、適当に土を固めて、乾燥させたもので作っているようです」
「結構、危ないな」
「はい」
そうか、でも、何かに使う事ができるか。
現状を打開するには良い道具かもしれんな。
石田三成…三成
大谷吉継…吉継
宇喜多秀家…秀家
豊臣秀吉…秀吉
豊臣秀次…秀次
豊臣秀頼…秀頼
毛利秀包…秀包
吉川広家…広家
毛利元康…元康
長宗我部盛親…盛親
本多忠勝…忠勝
黒田長政…長政
藤堂高虎…高虎
本多正信…正信
本多正純…正純
徳川秀忠…江戸中納言、秀忠
奥平信昌…信昌
池田輝政…輝政
浅野幸長…幸長
山内一豊…一豊
小早川隆景…隆景




