4話
「小早川様」
そう言えば、まだ、居たな東軍が方の目付が狸爺の家臣の奥平貞治が。
「なんだ?」
「殿との手切れでよろしいでしょうか」
「手切れと言っても、そっちから喧嘩売ってきただけだろ?」
「それは大久保殿の失態であり、殿の失態ではありません」
「ほらみろ、正成、頼勝これだよ、これ」
「…」
「頼勝、長政は独断ではないだろ?」
「はい」
「家康は長政と話をしているはずだ。アレも貞治も立場は同じで、止めることが出来たはず。でも止めず、問題を起こせばアレの責任だと逃げている」
「それは、違います。大久保殿は殿の家臣ではありません」
「馬鹿かお前は?長政が家康の指示で動いているなら、あれの行動は長政だけではなく、その上に立っている家康の責任でもあるんだよ。トカゲのしっぽきりで逃げようとするな」
「こじつけが過ぎませんか?」
「何言ってんだよ。長政が家康の配下のように動いてるなら既に、配下のようなものじゃないか」
「いえ、殿も黒田様も豊臣家の臣下です」
「誤魔化すな、誤魔化すな。もし、豊臣の臣下というなら何で、前田や上杉をいち家臣でしかない家康が命令できるんだ?確かに、利家さんが亡くなって、首座になったとはいえ勝手に禁止されている婚姻を行いまくって、噂程度の話で前田や上杉に詰問状を送れるんだ?まして、上杉は帰国を進めたのも家康だったんじゃないのか?」
「…」
「別に詭弁を言って、謀っても武略だのと言っても良いけどよ。なら、アレが行ったことを止めず、注意もせず放置したお前の行動は、家康の考えで良いってことだよな?」
「それは違います」
「だって、アレは長政の家臣、徳川の者ではないというならば、徳川のお前が俺に対するアレの無礼を止めなかったは、家康の考えで良いじゃないか。だって、お前は徳川の家臣だろ?」
「…」
ほらほら、屁理屈言ったら苦い表情をしているな!
何だろう、力を持った奴らって、傲慢だからなぁ。
その家臣もそれを盾にするから、質が悪いしむかつく。
別にこいつはそこまで質が悪くないから嫌いではないが、まあ、お題目と後の言い訳にさせてもらわないとな。
功績上げても結局、豊臣の連枝である俺が大領を得たら警戒されるし、下手をすれば潰される。
家康から養女あたりを嫁さんにすれば逃げれそうだけど…
やっぱり、嫁さんぐらいは好きな人を選びたいからな!
「ま、お前らのやっている事と大差ないんだから文句はいうなよ」
「…仕方ありません。では、私の処分はどうなりますか?」
「とりあえず、放置だよ。邪魔はするなよ?逆ギレで俺を殺そうとしそうだけど」
「逆ギレの意味は分かりませんが、この状況で小早川様の命が取れるとは思えません」
「まあ、そうか。だが、責任を感じて腹を切るとかもやめろよ」
「…」
「無駄無駄、生きて挽回しろよ」
そんな目で見てくるなよ。
役目を失敗して腹を切られても後味悪いし、別に、一度の失敗ぐらいでめげるなよ。
「もし、居場所がなくなるなら拾ってやる」
「お断りします。使命が果たせない以上、責任を取るしかありません」
「はぁ、もっと生き意地を汚くしろよ。頼勝」
「はっ」
「監視に何人か付けておけ」
「はっ」
「そもそも、この戦いで勝っても徳川が亡びることはないぞ」
「それは?」
「信州から秀忠が兵を率いてくるだろ。まして、家康は生き意地が汚い、そうでなければこの時代まで生きることは出来ないし、恥辱にまみれても再起を図るのがあの乱世を生き抜いた古豪だろうからな。だからこそ、殴りがいがある!」
「殿!」
「はぁ」
「頼勝、正成、ため息をつくなよ。幸運が逃げるぞ?」
「…」
「まあ、そう言うことだ、貞治」
「…分かりました」
不承不承だが貞治は出て行ったな。
「さて、喧嘩だ!内府に俺の右こぶしを一発入れてやる!」
なんだ、頼勝、正成は冷めた目で見ているな。
分かっている、多くの人が死ぬことも、俺も死ぬかもしれない事もな。
秀秋本人の記憶と感覚もあるから違和感があるが、納得もしてるぞ?覚悟もあるぞ?
でもな…
「ロックに生きるには、強い奴にこびへつらっていいもんじゃねぇ!ひゃっはー!!!」
「駄目かもしれんな、正成殿」
「仕方あるまい、覚悟を決めざる得ない。確かに殿が阿呆で狂乱したとしてもな」
「確かに、徳川様と戦うのは武士の誉れ」
お前ら、俺に聞こえるように言うな!
あ、そうだ忘れていた。
「正成」
「はっ」
「杉原重政を使者として、三成、吉継、義弘に使者を出せ」
「何のために、吉継は俺たちが攻める際に合わせて前面に押し出せ、義弘は目の前の弱兵を打ち破ってもらいたいと、話をする時には必ず戦場とはいえ下馬をして話を伝えさせろ。三成には耐えろと言え」
「分かりました」
「秀元、盛親にも、志賀親次を使者として、こちらが打って出るので合わせるようにと伝えろ。ただ、広家が従わないから毛利全体は動かんかもしれん」
「それは?」
「お前らと同じだよ、調略を受けているから未だに秀元は広家が邪魔で動けないだろ。広家は毛利を存続させたいから必死なんだろうが、確実に所領は取り上げられるぞ。九州や四国での動きを家康が許すとは思わん。恵瓊に騙されたというかもしれんが、意気揚々と大坂城に入った姿みたらそうとは思わんよ」
「…」
「だから、毛利が戦う気がないならそれでもいいと、秀元には言えば良い。盛親はこちらに移動させ、一休みしてから藤堂の背後をつくように言え」
「それは間に合うのですか?」
「別にいいんだよ、予備兵力としても使えるだろうからな」
「分かりました」
さて、盛親の移動で広家はどう考えるか?
秀元は焦るかもしれないな。
毛利元康、立花宗茂らが大津に居るのが悔やまれるな。
「まずは、正則」
「どういうことですか?」
「捕縛する」
「何を言っているんですか!?」
「敵の将ですぞ。まして、石田様憎しの方です。こちらに寝返るとは」
「頼勝、正成、家康を殴るには、守護神がいるから相手させる奴がいる」
「…忠勝殿ですな」
「そう、あの化け物を抑えるには、人がいるんだよ」
「それで、福島殿と」
「そう、配下に槍の達人もいるらしいから、まあ、抑えることはできるはず…だと思いたい」
「なるほど」
「さて、準備が出来たみたいだな!ほれ、しけたつらするな!行くぞ!」
「はっ」
「わかりました」
「それ、かちこみだ!」
「…皆の者、出陣だ!」
「おい!言い換えるなよ、正成!」
「そんな掛け声誰も理解できません!」
「なんてこった!」




