31話
『小早川秀秋の陣』
なんか、眉間にしわを寄せて正成が歩いてくるな。
何にもしていないはずだけど?
「殿」
「どうした?村の連中とかと揉めたか?」
関ケ原で戦いがあるのに周囲の村の連中が見学に来て矢がる。
なんとういか、身の危険を感じないのか?
まあ、来ているのは男か恰幅のいい女性だけだが…
それでも、女性は危険だと思うんだが、何だろう、六角棒のようなものを振り回していたな…
この時代、結構、性が緩いからなぁ。
痴話喧嘩とか眼てくれよ。
「そちらは問題ありません。銭か食料で交換しています」
「鎧や刀は?」
「そちらは、下手に持ち替えられて武装されても困るので、こちらで引き取っています。特に刀剣や槍に関しては亡き殿下の法もありますので回収しています」
刀狩りか?
あれって、実際どこまで有効だったんだろう?
確かに農民の一揆は起こしにくくなるかもしれないけど。
農民は強かだから、何処かに隠してやり過ごしていてもおかしくない。
家を家探しして、天井や軒下など探したとしても、埋めていたら見つけることは出来ないし、畑、森に隠されても分からない。
徹底は難しい気がするな。
領民が武装しないのは領主としては安心かもしれないけど、賊なり紛争が起きたら集めた連中の武器や鎧の用意が必要になるのは負担なきもするな。
「って、そちらは?」
「はい」
あれ、眉間のしわがなくなったけど、なんだろう、さわやかな笑顔になっている。
逆に怖いぞ!?
「な、何かありましたか?正成さん?」
「ははは、臣下には呼び捨てで結構です。何かやましい事があるのですか?」
「いやない」
やらかした記憶はない…事もない。
朝のライブは既に怒られた。
それで、忠勝が来たことも終わった話。
他にはないと思うよ?
「何、不思議そうな表情をされているのです?」
「本当に心当たりがないんだよ」
いや、本当にその笑顔止めてくれないかな?
怖いよ、本当に怖い。
「毛利大蔵大輔様に書状を送られたとか」
「ああ、送ったぞ」
「私はその内容を確認しておりませんが?」
「別に、今の状況を書いて知らせただけだぞ?」
「…本当ですか?」
笑顔から疑いのまなざしに変わったが?
どこまで信用されていないんだ!
これはやっぱり、立ち向かうべきもの、ロックだな!負けれん!
「おうそうだぞ!戦況を書いた書状を送った事が問題だというのか!」
「それ以外に何か書かれませんでしたか?」
…うん、問題のない内容は書いた。
あれは大切なことだから問題ない!
「殿、返答が遅れましたが?何を思い出されました?」
「うん、近況とお願いを書いただけだ!」
「何故、自信満々の表情で言われるのか分かりませんが、そのお願いとは何ですか?」
「プライベートな事だ、言うことは出来ない!」
「ぷらいべーととは何か分かりませんが、言えないという事は、ろくでもない事をかいたんですね?」
「いや、大したことは書いていないぜ!」
「その感じだと…ふむ…」
何か考え始めたな…
なんか、楽器を頼んだことを言ったら怒られそうだな。
うん、言わない。
「分かりました」
「おお、分かってくれたか!」
「どうせ、朝から騒いだことに関係している事でしょう」
「え?」
「その間抜けの表情を見たら、推測は正しかったようですね」
「い、いや、違うぞ!?」
「黙りなさい!」
「ひぇ!?」
正成が激怒している!?
こ、これは、何とか宥めないと…頼勝は何処だ!?
周囲を見ても居ないだと!?
「何を周囲を見ているのですか?ああ、平岡殿を探されているようですね」
「な、何故わかる!?」
「平岡殿はなんだかんだ言って、殿に甘いですからね。私を宥めさせようとしたのでしょうが、朝の件と楽器の件を話せばこちら側になるだけですよ」
「ひょ!?」
「いい加減にふざけたことをされますな!毛利家に繋がるとは言え、殿は豊臣の一門衆でもあります。それが意味の分からない要望、それも戦に関係ない事を依頼するなど、愚かすぎますよ!そこに座りなさい!」
「…」
こ、怖いです、正成さん!?
駄目だ、このままでは俺の威厳がなくなってしまう!
(お前に威厳はない。ピエロの存在感はあるけどな!)
うるせぇ!こんな時に、ジンの声が聞こえてきやがる!?
「聞いておられますか、殿」
「き、聞いているぞ、正成。うん、あくまでも余裕があればだから!」
「余裕なんてあるわけがないでしょう!恥をさらしてどうするのですか!これでは、殿下に申し訳が立たない!」
「そ、そんな熱くなるなよ!ロックなのは分かったからよ!」
「ろっくもくそもない!その性根を叩き直します!」
「む、無理じゃないかな?」
「ああん?」
ひぇ、何だろうこの迫力と殺気は!?
俺主君だよな!
好きにさせろよ!
酒飲んでいたの放置していたろうが!
酒は良くて、楽器が駄目な理由はなんだよ!
「その顔は、酒は良くて、楽器が駄目な理由が分かっていないのですね」
「だから、何でわかるだなよ!」
「殿は顔に出ています」
「うっそだろ!?」
「本当です。酒は飲み続けては体に悪いですが身体も温まりますし、適度であれば問題ないのです。しかし、楽器は今の戦に関係ありません!まして、余計な負担を毛利大蔵大輔様にかけてどうするのですか!!!」
「ひゃぁ!!!ご、ごめんなさい!」
「土下座で許されると思っておいでか!」
「ひらに、ひらにご勘弁を!」
駄目だ、これはいつまで怒られるのか!?
「正成」
「福島様、これは小早川家の問題です」
「分かってるよ」
「分かっておられるなら、黙っていただきたい」
「分かっちゃいるが、まだ、戦は終わってないぞ」
「…」
「だからこそ、激怒しているんだろうけどな。兵も休める必要もあるし、麓の三家と長曾我部、大谷と話をしないといけないだろう?」
「分かっております。そちらは平岡殿に任せております」
「負傷者の手当と再編しているんだろうけど」
「ええ、殿が馬糞を傷口に塗るなと言われて、沸騰させた水を冷ました水で洗うなど、色々、手間があるのに殿は遊んでいるのが…兵たちの士気にも関わるのです」
「あん?馬糞を塗らないと駄目じゃないのか?」
「駄目だよ!」
は!?
思わず土下座を止めて、立ち上がってしまった。
正成の目が怖いが、此処はしっかり言っておかないと駄目だな。
「なんでだ?今までそうやって来たぞ?傷口も塞がるし」
「で、それで治ったのか?死んだ奴の方が多いんじゃないか?」
「どうかな?」
「身分が高ければ、薬草などを使うだろうけど。雑兵だと、そうはならないだろう」
「まあ、そうだな」
「馬糞というか、どの糞には細菌がいるんだよ、下手すりゃウィルスもいる」
「は?細菌?最近何もないが…」
「そっちじゃねぇ!ボケるなよ、正則!」
「ボケちゃいねぇ!分からないんだよ、おめぇが何言ってるか!」
この時代、細菌もウィルスも分からないし、見れないから理解できない。
正成にも強引に命じたけど…
くそ!本当に神様、仏さまがいるなら何でこのタイミングだったんだよ!
何度でも愚痴と呪いの言葉を言うぞ、こんちくしょう!
「詳しく言っても分かりずらいだろうが…刀や槍を放置していたら錆びるよな?」
「錆びるな」
「想像するならそんな刀や槍を錆びさせるようなものが便にあるんだよ」
「何言ってんだ?」
どうしたものかな…
説明難しい、難しいよ…
稲葉正成…正成
本多忠勝…忠勝
平岡頼勝…頼勝
福祉正則…正則
長宗我部盛親…盛親
大谷吉継…吉継




