23話
『石田三成の陣』
「皆様方、御集りありがとうございます」
何故、私が頭を下げたら皆驚きの声を上げるんだ。
顔を上げたら驚愕の表情を浮かべている。
何だというのだ。
「石田殿、これからどうされる」
「宇喜多殿、島津殿は松尾山の方に移動します。その場所を小西殿に移動してもらいます」
「そうか」
「後は、今の場所で防衛を行いつつ、攻めれるならば攻めて頂ければ思います。また、毛利宰相殿には浅野らの対処と中山道の監視をお願いしたい」
「分かりました」
流石に毛利勢からは毛利宰相殿らは来なかったか。
真意を吉川殿に問いたかったが…
「兵糧を用意しておりますので、お持ち帰りください」
「ありがとうございます」
特に揉める事無く、話は終わったな。
総攻撃の時は、こちらからのろしを上げると決めたが攻撃しても徳川方を破れるか…
「殿」
「どうした、左近」
「小早川様に言われた木砲をいくつか用意することが出来ました。このままなら十以上は用意できそうです」
「使えそうか?」
「はい、過去に使われ事を聞いていますので問題はないと思いますが、一度使って使えなくなる事があると思われます」
「そうか、それでも、一度で十以上も撃てれば脅威であろう」
「はい。あと、小早川殿から投石器を作って、炮烙を飛ばしてはと言われたので、そちらも取り組んでいますが…数は一つか二つが限界かと」
「それでよい。試せないがどれぐらいで火縄が火薬に到達するは調べよ」
「はっ」
まさか、小早川殿から兵器の話が来るとはな。
確かに、炮烙は密集しているこの地形なら有効だろうし、複数の大筒攻撃も有効だろう。
「あと、間者や忍びには十分に警戒を」
「はっ、何人か始末したとの報告が来ています」
「そうか、あちらには、伊賀や甲賀、柳生あたりがいるからな」
忍び対策は後手に回るだろうがしなければ、兵糧や火薬に被害が出るからな。
場合によっては、暗殺の仕掛けてくるかもしれない…
『小早川秀秋の陣』
「煩い!どこの誰が騒いでいるんだ!石田様のところに行っている間に何があったんだ!平岡殿!」
「平岡様は前線で指揮をされております」
「そのようなことは他の者に任せて、このバ…殿を見張っておいてくれと頼んだろうが!」
正成が怒っているが…気にしない!
朝から作り上げた太鼓が素晴らしい音を出している!
なんて、簡単に作ったものだが!
「俺の歌を聞いてくれ♪聞いてくれ♪俺のパッションを♪雄たけびを♪」
「ええい、このバカ殿!静かになされよ!迷惑をかけるんじゃない!」
「お、おう」
なんだ、テンション高いな!
この簡易的なギターも良いな!
ベンベン!
(お前は確か、ギターとウクレレの区別ついてなかったよな?)
うっせい、ジン!
俺でも違いぐらい分かっているわ!
ギターもウクレレも漫談に使われる道具でもあるってことぐらいな!
「殿、これはいったい何をなさっているのです!」
「これはな、皆を元気づける為にリサイタルをしているんだよ!」
「煩いです!まして、これでは攻めかかるように思われるかもしれません!即刻辞めて下さい!」
「歌ってるだから、勘違いすることはないのでは?まして、今は休戦だろ?問題なかろう!気にすんな!」
「いい加減になされませ!」
うお、無理やりバチとギターもどきを取られた!
短気過ぎるぞ!?
周りの兵たちも感動してノッていたのに!
「周囲の兵たちも煩いと距離を開けているではありませんか!」
「嘘をつくな!なあ、お前たち俺の歌に感動したよな!」
あれ、兵たちが目を併せてくれない。
目が合いそうになると、背けていくのは何故だ?
「はあ、兵たちは殿に何も言えないのです。家臣たちは他の作業に忙しいのです。諫言もできません」
「むー、まあいい、そのうちビックなステージで失神するようなコンサートをしてやる」
「…まあ、そんなたわごとは結構です。本来は殿が石田様のところに行くべきなのに、私に押し付けて、遊んでいるとは…」
「遊んでねぇよ!リハーサルだよ、リハーサル!ドラムやギターが使えるかの!」
「周囲は遊んでいるとしか見えませんよ」
「先駆者は理解されず孤独だ…」
まだまだ、ロックの良さを不興瀬なば!
(あなたは、中途半端にまじめで、極端に偏っているからね…はぁ)
何故、頭の中のアヤがため息を?
家康にぶっこめばロックだろうけど、流石に俺でも無謀と分かっている。
SPが大領に配置されている家康の元に行けるはずがない。
それに、忠勝をはじめ脳筋…げふげふ、三河武士も含めた連中が更に前に分厚く待ち構えている。
装甲車や戦車でもあれば、この時代ならぶっ込めるがなぁ。
投石器を作ったり、衝車、轒轀車を小屋のようにして鉄甲船のように鉄で補強すれば…無理か。
こんな平地の少ない場所では使いづらいな。
何度も言う、もっと早く記憶を!
「話し合いはどうなった?」
「毛利大蔵大輔様がこられるまでは、基本的に現状を維持すること。補給は佐和山から順次行っていくという事です」
「そうか、まあそうなるか。だが、このまま守っていても勝てるのか?」
「上杉様が佐竹様が江戸へ攻め込むまで…と、言われていますが、現実的ではない気がします」
「まあな、景勝は義光を攻めているから過ぎに決着つくとは思えない」
「上杉様も補佐をしている直江殿も戦上手、そこまで長い時がかかるとは思いませんが」
「義光も戦乱の生き残りだぞ?叔父上の愚かな決断で、恨みも買っているからな…それに配下も有能なものが多い。城攻めも含めて景勝は厳しいだろうな。秀康の抑えもいるから、兼続だけでは義光は勝てないんじゃないか?」
「伊達様が最上様の援軍を出せば負けますな」
「政宗も表裏比興の者だからな。家康と三成を天秤にかけているんだろうよ。有利になった方に付くだろうなぁ」
「確かに、伊達様は油断できぬ方ですね」
「北に義光、政宗、南に秀康だぞ?景勝が江戸に攻め込めるとは思えん、攻めれるとしても数か月、数年かかるんじゃないか?義宣は義重に抑えられて動けないだろうしな」
「先代は徳川様に付くことを、佐竹様に?」
「義重にしてみたら、頭でっかちの三成とボンボンの輝元が、辛酸をなめ叔父上と互として朝廷や諸将にも信頼されている家康に勝てるとは思わんだろうよ」
「…私もそう思います」
「だなぁ。でも、家康の天下は村の寄り合いだから息苦しいだろうな」
「そうですか?」
「ああ、家康は国内に閉じこもって、各大名の勢力を抑え込むようなやり方をするだろうな。足利が行ったやつの厳しい感じだな。それも、所領を入れ替えたり、理由を付けて潰したり…それだけの兵力を養える所領を家康は持っているからな。経済音痴ではあるが」
国内を安定させるには、家康のやり方は間違っていないんだよ。
キリスト教みたいな唯一一神教は他の宗教を排除する。
一向門徒や日蓮宗、叡山も似たようなところあるが、それでもすべてを根絶するほどの動きはしないし、相手を邪悪と貶めないからな。
明治のような廃仏毀釈が起こらないとは言わないが、秀吉や家康のキリスト教排除は正しかったと思っている。
未来のように国民すべてが教育を受け、宗教よりも法を守ることを上位に持ってくる世の中ならリスクも減るけど。
この時代は、信仰心を利用する事が可能だからな…
十字軍の話は凄惨すぎる。
それが日本で怒るとは言わないが、リスクは低い方が良いからな…
カソリックとプロテスタントや派閥を利用すれば良いかもしれないけど、遠すぎて…
ただ、国を閉ざしすぎると周囲が外国に支配されて、日本を狙う可能性もあるから。
科学技術で西洋に遅れをとるからなぁ。
毛利元康…元康、大蔵大輔
上杉景勝…景勝
佐竹義重…義重
佐竹義宣…義宣
結城秀康…秀康




