21話
駄目だな、三成は分かっていない。
確かに、こいつの言っている事は正しいことは多い。
基本的に公平に裁いている。
だが、人である以上、欲望があるんだよ。
分からないんだろうな…たまにそう言うやつがいるから。
親父もそうだったな。
話は通じたけど、子どもだからであって同僚だったら無理だったんだろう。
偶に、同僚の人が家で食事する時、親父に説教していたなぁ。
「…」
「お前は話をしなくても分かっていると他人に期待しすぎなんだよ。所詮、他人なんだぞ?お前の考えなんぞ、分かるわがないだろう。まして、豊臣家の為と言っても、みんな自らの領地や家名を守るのに必死なんだぞ?無私の奉公なんぞ、何の意味があるんだ?お前は、領地を放置し家族を見捨て、家臣に無理させろと?」
「そんなことは言っていない」
「言っていないと思っているだけで、受け取った方がそう思うんだよ。まあ、一番問題だったのは、叔父上の半島への侵攻だったがな。あんなうま味もない行為で、諸将は困窮したり、新たな人材が失われたからな。うまく立ち回った家康は何の損もしていなかったのも叔父上の失敗だよ」
「小早川殿」
「三成、お前も止めていた側だから分かっていたんだろ?正則は叔父上に言われたら喜んで攻め入っただろうがな」
「当然だな」
「三成と正則、お前ら二人だけだよ。叔父上の事をおもんばかっていたのは」
「まて、虎之助も同じだぞ、殿下への忠誠は!」
「はぁ、確かに忠誠は確かだろう。お前と同じで、命を懸けるだろう…だが、やつは冷静に情勢を見極めているだろう。三成憎しはあるだろうが、その程度で家康にはつくわけがない」
「だが、秀頼様を命を懸けて守るぞ、我々は!」
「そうだろう。かといって、三成が居なくなり、家康が残れば叔父上が織田家を乗っ取ったように、家康が乗っ取る危険性を清正が理解していないとは思わないがな。お前らだけで、家康は絶対に抑えれないぞ?一豊や幸長は叔父上の身近にいたが、家康にべったりだろう。輝政、長政もしかりだ」
「いや、しかし」
「家政でさえ、家康の顔色を見ている。なあ、正則、どれだけの連中が叔父上の願いを守ろうとしているんだ?秀頼を守ろうとしているんだ?子飼いや親族でさえだぞ?」
「だが…」
「なあ、三成」
「なんです」
「お前は、何故、正則らに襲われたと思っている?」
「朝鮮の後始末への不満では?」
「はぁ、そうじゃない。それだけではない。それはあくまでも最後の決定的なことであって、それまでにも細々と不満を募らせてきていたんだよ。きっかけは、利家さんが亡くなったからだけどな。お前の発言はすべて、虎の威を借りる狐であって、叔父上を背景に言っているとお前に身近にいるもの以外は感じているんだよ」
「それは、その者が勝手に思っている事であって、私には関係がないのでは?なぜ、そこまで配慮せねばならん」
「配慮するのは、叔父上の為んだんだよ」
「何を?」
「ある意味、叔父上への不満がお前に集まるという意味はあったがな。お前が好き勝手に言っていると思われたら、叔父上が暴走していると思われるんだぞ、分かっているか?」
「…」
反論がないという事は、それも含めていたのか?
ないとは言わないが、そこまでの配慮をするようなやつか?
「諸将なら無理かもしれないけど、正則や清正あたりならしっかり話をして、頭を下げる時は下げればここまで拗れることはなかったんじゃないか?なあ、正則?」
「…分からん」
「頭を下げて、叔父上の為、問題と解決、利益と不利益を説明すれば、腹は立てても納得は出来るのでは?」
「…確かにな、虎之助も納得はするだろうし、かか様の世話になった奴らなら敵対まではいかなかったかもしれん」
「維新さんも三成には恩を感じているとか」
「そうだな。降伏後の後始末は世話になったと思っている」
「三成にとっては、当たり前の対応でも、そういう扱いをされていない人にとっては恩に感じるものだ。分からないと思うけどな」
「…」
「もう手遅れだけど、家康に勝つためには打ち合わせぐらいしておけよ」
「分かった」
「自らの意見に固執するな、頭を下げる時には下げろ。下げたところで命まで失わない」
「…」
「まあ、後は正則に殴られておけ」
「なんでだ!?」
「けじめだけじめ」
「私は何も悪いことは指定なし、徳川殿に従った福島殿が謝るのが筋では!」
ほら、そんなこと言うから正則の眉間にしわが寄っているぞ。
お前の言動や態度が癇に障るんだよ…
言っている事は正しいが、正則には正則の正義があるんだよ。
「お前、やっぱり、自らの言動、態度を理解していなんだろう…正則の怒りにも理不尽なこともあるけどよ。でも、殴られるだけで、正則が味方になるなら合理的じゃないか?」
「納得は出来ない」
「納得できなくても仕方ないが、分かりやすくてよくないか?」
「…それはそうだが」
「まあ、今は駄目だ、今は。戦が終わってからだな。後は、腹に一発かな?正則が殴ったら顎が砕けるだろうから」
「理不尽極まりない」
「ははは、殴り合って水に流すのが楽ではある」
「維新さんの言うとおりだ!男なら拳で語るんだ!」
「はあ、確かに今はしない。秀秋とも約束しているからな」
「いや、私は了承していないが」
「お前、叔父上の為には命もいらんよな?」
「そうだ」
「なら、秀頼を守るために殴られておけ。それで自ら納得させろ」
「…理不尽だ」
「ついでに、虎之助もな」
「…納得できぬ」
「じゃあ、話はついたから」
「ついておらぬ!」
「多数決で賛成三、反対一で可決されました!」
「意味がわからぬ!」
「もうその話は終わりだ終わり」
「納得できぬが…」
「今から伝令を出して、明日には本人か代わりの者を集めtて、明後日以降の打ち合わせをしろよ。内は正成を出しておくから」
「おい、お前が参加しろよ」
「正則くん、戦の差配は正成に任せているので問題ない!」
「馬鹿野郎!家臣だと三成に意見しにくいだろうが!」
「大丈夫、大丈夫、三成はそんな小さい事、言わない言わない」
「ふん、言うわけがないだろう。陪臣であtっても良き意見なら受け入れる」
「ほらみろ」
「ふん!」
「お前らほんとに似ているなぁ」
「「似ておらん!」」
「それで、維新さんはどうされる?」
「一度、陣に戻って移動の準備をさせておく」
「それは」
「三成殿、申し訳ないが小早川殿を見ていて面白いのでな。身近で見ておきたい」
「…分かりました。このバ…小早川殿の手綱をよろしくお願いします」
「おい、今、バカと言おうとしたな!」
「気に食わないが、三成の言うとおりだな」
「こら、正則!?」
「ふふふ」
「はあ、仕方なありません」
なんで、俺が馬鹿認定なんだよ!
それは納得できない!
加藤清正…虎之助、清正
黒田長政…長政
山内一豊…一豊
浅野幸長…幸長
池田輝政…輝政
蜂須賀家政…家政




