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秀秋君、ロックで元和偃武は出来ないよ? (不定期連載版)  作者: 秋鷽亭


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19話

『島津義弘の陣』


「殿」

「盛淳か」

「徳川様から書状が」

「分かった」


盛淳から受け取った書状を読んでいく。

伏見城の件のわびか、仕方あるまい鳥居の考えも分かる。

身内以外が城に入れば、寝返りが起きてもおかしくないからな。

実際に、長束殿の手配で籠城していた甲賀衆の者が寝返ったからな。

仕方なく、石田殿についたが疑いを晴らすために奮戦する異になったのはため息しか出ないが。


「叔父上」

「豊久か」

「徳川様からなんと」

「伏見の件と、そのわびとして、この戦いに徳川殿が勝っても島津は所領を安堵すると」

「そうですか…信用できますか?」

「信用は出来ぬな。まあ、駄目であればわしの首ひとつで許してもらうしかない」

「叔父上…」

「兄上も忠恒もそう判断するだろうし、そう行動していたからな」

「…」


兄上も忠恒もわしに兵を送ることをしなかったからな。

兄上にしてみたら九州を統一を阻んだ豊臣家に思う所もあるだろうし、完全に三州を得れないのも腹立たしいのだろう。

だが、中立では生き残れぬことを知らぬのか。

まあ、兄上の事だから徳川殿に書状を出しているだろうが、忠恒は何故、あそこまで歪んだのか。

確かに、忠棟は目障りな動きをしていたが、決して島津にとって悪い動きではなかったはずだ。

長年、島津に尽くしてくれた忠棟を殺害するとは。

忠棟の嫁の訴えを、徳川殿も取り合わなかったことを考えれば裏で仕組んだのは徳川殿かもしれん。

そして、それを黙認していたのは兄上だから、あれらが企んだのだろう。

忠棟の死は、わしの求心力の低下にも繋がるからな。

それにも関わらず、徳川殿はわしに伏見城に入ることを依頼してきた。

なかなか、腹黒い御仁だ。


「それで、今後どうなされますか」

「どう思う、盛淳」

「…このまま長く留まることは難しいかと。そして、刻がたてば、こちらは大津を攻めた別働隊が、徳川方は江戸中納言殿が来るでしょう」

「さらに長引く可能性があるな。後は他の地域の合戦の結果次第か」


あの時、石田がわしの提案を受け入れていれば、もっと有利にできたかもしれなかったがな。


「ところで叔父上、小早川殿をどう見ました?今までと違って驚いています」

「そうだな」


昨日来た、小早川殿は明らかに人が変わったようだったな。






「よう!維新さん!元気か!」

「なっ!?小早川様!」

「叔父上に何て口を!?」

「まあ、待て」


小早川殿は、こんな感じだったか?

酒を飲んでいるか、斜に構えている感じだったか。

確かに、こちらを敬う事も配慮することもなかったが…

まあ、石田殿と違い礼儀は弁えて下馬してきたらしいがな。


「何しに来られた。動かぬことを咎めに?」

「いやいや、そんなこと言わないZE!」


何か、最後の発音がおかしい気が。


「現在、日本でもトップの武略を持った維新さんと話したくなってね」

「とっぷ?」

「ああ、日本で上位…いや、最上位に位置する武士ということだ!」

「ふむ」

「武技は忠勝や宗茂あたりの方が上かもしれないけど。兵を率いるという点では、家康と互するのは維新さんぐらいじゃない?あとは、昌幸、政宗、景勝あたりが次点、その次が秀家、長政らになるかな?」


ほう、高く評価しているようだな。

こちらのことを意識していないと思ったが。

薩摩の田舎者と蔑む上方勢が多くて、腹立たしいことが多かった事を思い出したわ。


「本当なら、三成じゃなく維新さんが指揮した方が、被害も多いが勝てる可能性も高いだろうと思っているよ」

「そうか」

「先ほどから、叔父上に対する口のききかた!」

「おう!誰?」

「島津家久の子豊久だ!」

「おお、首おいてけの人か!」

「…は?首おいてけ?」

「武技に優れ、数多くの首を狩ってきたんだろ?」

「狩るとはおかしな言い方だが、戦であれば首を取るのは当たり前だろう」

「まあね」


首おいてけか…なるほど、乱戦であれば首をとっても捨て置かねばならんからな。

面白いことをいうな。


「それで、こちらへ来た本音は?」

「三成に文句を言いに行こうと思って、その途中に島津の旗をみて、話をしようと!」

「話に来る?何のために?」

「うーん、話したいから?」

「お前、ふざけているのか!?」

「とよひー、そんなに怒るなよ」

「誰が、とよひーだ!」

「豊久落ち着け」

「…はっ」

「本当に話だけか?」

「うーん、実はな」

「実は?」

「家康を一発殴りたいんだけど、何か手がないかって」

「…は?」


こいつは何を言っているのだ?

徳川殿を殴る?

討ち取るのではなく?

やはり、酒で頭が狂ったのか?


「う、討ち取るのではないのか?」

「いやいや、とよひー、そんなことしたら死んじゃうじゃん」

「だから、とよひーではない!今は戦をしているのだぞ!総大将を討ち取れば、我々の勝利ではないか!」

「まあ、そうなんだけださ。家康ほどの人物生かしてこき使う方が日本にとっては良いんじゃない?まして、俺がロックにまい進するには面倒ごとを押し付けるやつがいる!」

「ろ、ろっく?また、わけわからない事を…」

「確かに、家康殿は傑物ではあるが、ここに至れば、討ち取るしかあるまい」

「わかってるよ、ま、一発殴るのは喧嘩を売られたケリだけどな」

「喧嘩?これは戦だぞ?」

「俺に挑発行為してきたし、俺を馬鹿にしたからな!」


良く分からん。

本当に、良く分からん。

何を言っているのだ?


「殴ってどうする?」

「ん?負けを認めてもらって、戦は終わりだな」

「そんな単純なものではなかろう」

「そうだな。だが、あまり戦いが長引けば、被害も多くなるからな」

「負けた方がな」

「いやいや、ここで兵や将を浪費したら外に行く連中が少なくなる」

「外?」

「島津は琉球を狙っているんだろ?」

「…」


ふむ、流石に琉球の事は知っているか。

ここで、引き合いに出してくる理由はなんだ?


「やめとけ、あそこは豊臣のちょかつにした方が良い」


周りの者がいきり立っているな。

琉球は、我々が外の国々との交易で利益を稼ぐための拠点だ。

明に朝貢している事も利用できる。

絶対に確保しなければならない拠点だ。


「知っているだろうが、明に朝貢している。占領して傀儡にすれば、明は馬鹿だから細かいところまで調べないだろうからバレないとは思うが…万が一にもバレれば、明の大軍を島津だけで抑えなければいけないぞ?まして、倭寇を対処できるか?」

「…」


明は巨大だから、使者にわいろを贈れば誤魔化すことが出来る。

出来るが、琉球の王族や按司あたりが救援を呼べば、来る可能性もないとは言えない。


「諦めて、こちらに利があるか」

「あるぞ、琉球の先には高山国、呂宋、暹羅がある。更に南に行けば、大きな大地がある」

「大きな大地?」

「そうだ、九州よりもだかいぞ?」

「本当に?」

「おう、本当だが、人が済める場所は少なく、水も少なく、原住民もいるけどな」

「ふっ、中々住みにくいではないか」


広く大きな場所であっても人が住む場所が少なければ、意味がないではないか。

ふざけているのか?


「それでも、結構な大きさだぞ、住める場所は。原住民を駆逐したり奴隷にせず共存共栄すれば、開拓もしやすくなると思うけどな」

「ふむ」

「そこから運ぶもので交易もできるだろう。呂宋や高山国はスペイン人、ポルトガル人を排除すれば拠点が作れる。なんせ、高山国は明に国ではないからな。化外の地として放置されている土地だし」

「なるほどな」

「だから、琉球を豊家が管理した方が、諸将とのもめ事も仲裁できる。島津が支配したら問題なく行えるか?問題起こしたら処罰されるぞ?」


そうか、不手際を理由に琉球だけではなく、薩摩、大隅、日向の所領を取られる可能性もあるのな。

今の豊臣であれば問題ないかもしれんが、徳川殿だと…


「まあ、その話は狩ってからの話だな。兄上など国元との話も必要だからな」

「ははは、龍伯さんは許さない気がするな!」

「そうかもしれん」

「だから、戦いに勝たないといけないんだよねぇ。家康の顔面に一発入れるしかない!」

「いや、だから、分からないって、それ!」

「とよひーは、固いなぁ」

「だから、とよひーではない!」


さて、我々に小早川殿は何を頼んでくるのか。

島津義弘…維新、義弘

島津豊久…豊久

長寿院盛淳…盛淳

伊集院忠棟…忠棟

真田昌幸…昌幸

伊達政宗…政宗

上杉景勝…景勝

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