14話
『長宗我部盛親の陣』
うーん、脇坂は中々手ごわいな。
流石、殿下より信頼され水軍の経験もないのに、水軍を預けられるだけのことはあるな。
戦場の経験は、俺よりも上、兵の室ではこちらの方が上とは思うが…
攻めきれん。
「殿!」
「どうした」
「脇坂の後ろに兵が来ているようです」
「後詰が来たか…本多か?」
「いえ、幟を見る限り金森のようですが、それ以外も来ていそうです。千以上は」
「ちっ、吉成を下がらせて、重親と入れ替えさせて、休ませろ」
「はっ」
どうするか、松尾山からは小早川殿の兵が攻めているが…
右手から攻めさせるか?
いや、後詰がどうなっているか分からないからな。
ただ、本多勢が来ていないなら、まだよいか、個人の武勇だけで戦が決まるわけではないが。
「政親に重親の支援をするように伝えよ」
「はっ」
「親清には、右翼に兵を進めて防御を固めさせろ」
もう一手欲しい。
こちらの方が兵は多いが、あちらは後詰を併せれば互角。
短時間で混乱を治めるとは手ごわい。
『脇坂安治の陣』
「殿!後詰が来ました!」
「そうか」
「金森様、生駒様、中村様が来られています!」
三家も送ってきてくれたのか、これで兵数は互角か、上回ったか?
松尾山の小早川勢が鬱陶しいが。
「中村殿に左手から長宗我部の右を突いてもらうように、金森殿は松尾山を警戒しつつ前に、生駒殿には我々はと入れ替わってもらうよう伝令を!」
「殿、それでは我々が敗れたようになりますぞ」
「構わん、まずは勝たねば意味がない。ここで無理をして擦り切れても意味はない」
「…はっ」
「納得できないだろうが、陣配置を変えたことによる混乱もまだある。いったん下がって整えねばならん」
「分かりました」
負ければ失うものが多いが、勝てば最低でも所領は安堵される。
生き残るのが重要で、そうでなければ徳川殿に付かない。
『中村一忠の陣』
ふむ、長宗我部の左側面をつけと。
陽動になるのか?
もしかすれば、突き破れるからな。
中央は生駒殿と入れ替わるのか。
そこまで脇坂殿は手痛い状態なのか?
「殿」
「長曾我部の左側面を攻撃するぞ」
「はっ」
兵数は互角になったろう。
だが、長曾我部は戦っていたのだから、こちらの方が有利だ。
『金森長近の陣』
ふむ、松尾山には小早川の牽制の兵がいるのか。
森の中に入られると面倒だな。
罠もあるかもしれないし、これは難しい。
ただ、要請を受けた以上、戦功をあげなければ罰を受ける可能性がたかい。
徳川殿ならやるだろう。
今でなくても。
「森を警戒しつつ前に進め、無理はしなくても良い」
「はっ」
『生駒一正』
脇坂殿と入れ替わるのか。
ふむ、手痛い被害が出たのか?
まあ、戦い続けている以上、一度下がって陣を整えたいか。
「脇坂殿と入れ替わるが、問題を起こさぬように注意しろ」
「はっ」
金森殿と中村殿はまだ距離があるから良いが、こちらはすれ違う時に問題が起きないように気を付けねばな。
『本多忠勝の陣』
殿の陣がかなり前に来ているな。
目付としては動けぬが、此処は何があっても通すことは出来ぬ。
福島勢は離脱したが、脇坂殿が寝返り、他の大名も奮戦している。
しかし、このままでは押されるかもしれない。
毛利は動かないだろうな…
殿に言った方が良いか、腹立たしいが正信が殿の近くに居ていれば、いちいち言う必要がないのだが。
『徳川家康の陣』
ふむ、忠勝からの伝令か。
確かにな、小早川が裏切らず長宗我部が動いた以上、毛利が動かないとは信じない方が良いな。
吉川との交渉も長政だ。
小早川が寝返らない以上、長政の調略は失敗したとみて、動く方が良いな。
「正純」
「はっ」
「池田殿、浅野殿、山内殿、有馬殿に毛利への警戒を強めよと伝えろ」
「はっ」
「宗矩」
「なんでしょう」
「毛利への監視を強めよ」
「分かりました」
ん?
騒がしいな
「殿!」
「なんだ」
「浅野様より伝令です!」
浅野からだと…まさか。
「毛利が動いたのか?」
「はっ!」
ちっ、動きが遅かったか!
「殿、親指が」
正純に言われて、親指の爪をかじっていて、地がにじみ出ている事に気が付いた。
苛立ち過ぎか。
「家次!」
「はっ」
「兵を四千を与えるから、浅野らの後詰として迎え!」
「はっ」
「正成らの鉄砲の準備をさせておけ」
「ここまで来るとは思えませんが」
「馬鹿者!正純、貴様は戦場を甘く見ているのか!」
「も、申し訳ありません!」
「ちっ」
「信昌、忠明!お主らに三千づつ与える。忠勝の元にいき、指示を仰げ!」
「はっ」
良くない流れだな。
三成らは山と柵を利用し、防衛が有利だ。
ここにきて、小早川と毛利の動きに…
「ええい!秀忠はまだか!」
はあ、まだまだ、藤堂らが崩れないな。
流石は主君を変えながら生き残った奴だなぁ。
しかし、ここに前田慶次郎が居たらロックだったんだろうな!
傾奇者って、あこがれるな!しびれるな!ひゃっほー!
(だから、前田慶次郎利益は物語で会って、実在はわからん!)
歴史好きのヨウジの声が!?
なんだ、俺の心にはあいつらがいるのか!
ひとりはみんなの為!みんなはひとりの為!おれは俺の為!
(ムネ…やっぱり、残念さんだよ)
ア、アヤさん?
「あいつは、何をやっているんだ?百面相みたいに顔をころころ変えて?」
「殿は…酒に酔って頭が…」
「やっぱりかぁ」
「おい!聞こえているぞ!」
「おや、聞こえてましたか、奇行はご遠慮ください。モノづくりをするならそっちに集中してください」
「うぉ!!!家臣が冷たい!!!」
「煩いな、しかし、それを何個作る気なんだよ」
「いくらでも良いだろう!とりゃ!!!」
「で、なんこも叩きつけて壊して…ほんと馬鹿だな、なんで俺は負けたんだ?」
吉田重親…重親
桑名吉成…吉成
福留政親…政親
戸波親清…親清
酒井家次…家次
成瀬正成…正成
奥平信昌…信昌
松平忠明…忠明




