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急がば回れじゃ遅すぎるっ  ——ただし、笑いの裏には、それぞれの過去がある  作者: 井氷鹿
第1章 DEAD STOCK

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メイドインジャパン

 アポのきっかり五分前、MTT担当の面々が到着した。

 エレベーターホールで待機していた怜子と都が、MTT社員総勢十二名(1ダース)をオフィスへ案内する。

 出迎えるOUTECH社員は、半数の六名。数で負けている。 

「初めまして。今回のプロジェクトリーダーを務めるMTTデータの小日向和哉(こひなたかずや)です」

 目元をほころばせ、前のめりで名刺を差し出す。

 一瞬たじろぐ孔明だが、負けじと自分の名刺を差し返した。

 二人は、背丈が変わらない。

 見た目年齢は三十代後半の小日向、実年齢は今年四十五歳のアラフィフだ。

 切れ長の目が、笑うと目じりにシワが寄り、人の良さが現れる。

 着ているスーツはMTTの中でも、一際上品で質の良いものだと言うことが分かる。

 孔明ほどの華は無いが、むしろグレーのヘリンボーン織がこの人の品を高めているように見えた。

 色が被った、と焦った孔明が目を逸らす。

「よろしくお願いいたします」

 口元を緩めた小日向和哉が頭を下げた。それに合わせ、孔明も頭を下げる。

 視線を上げると、ジャケットのボタンが目に入ってきた。

 特徴のある素材から、テーラー&カッターのスーツだと分かり、孔明は腹の中で舌打ちをする。

 国産できやがったかちくしょう、と言いたいところだが腹に収め愛想笑いを向ける。

 くそっしかも上物だ。最悪だ。

 小日向の横にずらりと社員が並ぶ。全員が名刺を手にしていた。

 それを受ける形で孔明が自分の名刺を差し出し、挨拶をしていく。

 「OUTECH日本、カスタマーアカウントサービスG Mジェネラルマネージャーの樋浦孔明と申します」

 孔明に続いて、怜子、加藤、和真、市村、最後に都が続く。

 最後の都がそのまま、一同を席まで案内した。

 それに合わせ、怜子がオンラインにつないだ本社COOとGMとディレクター併せて6名を大型モニターへ映し出す。

 インカムを通じ、今回は怜子と加藤梢が同時通訳を行う事になっていた。

 大型モニター下の席に控えていた怜子と加藤が、うやうやしく立ち上がる。

 司会を務める孔明が、そこで通訳を紹介した。

「本日同時通訳をさせていただきます、E S Mエンタープライズサービスマネジメントの小池怜子と加藤梢です。必要に応じてお席にありますイヤホンをお使いください」

 テーブルには、マイクアーム付きの耳掛け式ヘッドセットが用意されている。

 当然OUTECH日本側はイヤホンを付けるものは居なかったが、MTTの小日向は、それは有り難いと躊躇なくイヤホンを耳にはめた。

 それに倣うように、他の社員も耳にイヤホンを着ける。

「それでは改めて、ご紹介させていただきます。私、本日の進行役を務めさせていただく樋浦孔明(ひうらこうめい)です」

 孔明は気持ち背筋を伸ばし、いつもよりトーンを落とした声で話した。

 続いて、モニターを指し米国本社側の紹介に入った。

 COOをはじめ、他のマネージャーもディレクターも、倣ったかのように全員がフォーマルウエアで参加している。

 それは全社を挙げてMTTを歓迎し敬意を表している、というOUTECH社の意思の表れでもあった。

 意外にもCOOが日本語を分かる事が判明し、MTT側がそれで一気に打ち解ける形となる。

 歓談はつつがなく進行し、あっという間に指定の時間が過ぎてしまった。

 その空気のまま、昼食会へとなだれ込む形となる。

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