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男女六人殺人事件  作者: 落川翔太
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「この別荘に、我孫子君がいるかもしれない」

 亜衣のその言葉で、貴紀たちはいるかもしれない彼を探すことにした。

 三人で手分けして探し始めた。リビングやキッチン、お風呂場にトイレ、それから、二階のそれぞれの部屋を見て回るが、どこにも彼の姿はなかった。

 もしかして、近くの別荘にでもいるのではないかと壮介が考え、三人で近くの別荘へ行き、彼を探した。けれど、そこには若い家族連れや大学生らしきカップルたちがいるだけで、我孫子の姿はなかった。

「我孫子は、やっぱり死んでるんだよ」

 自分たちの別荘に戻った後、貴紀が口を開いた。

「そうだよな」と、壮介が諦めたように呟いた。

「じゃあ、この中に犯人がいるっていうの?」

 それから、亜衣がそう二人に訊いた。

「おそらくそうだと思う」

 貴紀がそう言うと、「うちじゃないって!」と、亜衣が大声で叫んだ。

 その後も、三人で話し合いをしていた。

「もう知らない!」

 ふいに亜衣がそう叫び、リビングを出て行ってしまった。それから、亜衣はそのまま二階へ上がり、自室へと入ってしまった。

「亜衣が犯人なのか?」

 それから、壮介がそう訊いた。

「さあ?」と、貴紀は肩を竦める。

「さあ? って、俺から見れば、亜衣も貴紀もどっちも怪しいんだよ」

「僕だって、壮介も亜衣も怪しく見えるよ」

「だよな……。ということは、亜衣も俺達を疑っているんだな」

「そうだろうね」

 貴紀がそう言うと、「そっか。気を許すといけないな」と、壮介が言った。

「ああ」と、貴紀が頷いた。

「ちょっと一服してくるわ」

 壮介はそう言って、席を立ち上がった。

「オーケー」

 貴紀がそう言った後、壮介はリビングのテーブルにあった煙草の箱を取り、ウッドデッキへ行って煙草を吸い始めた。

 貴紀はダイニングテーブルに置きっぱなしになっていた食器を見る。片づけるかと思った貴紀は立ち上がり、三人が食べ終わった食器をキッチンへ運び、食器を洗った。

 皿洗いを終えた後、貴紀はリビングのソファに座り、テレビを点けた。テレビを観ていると、壮介がやって来てソファに座り、一緒にテレビを観た。テレビの時計は午後四時であった。

 その後、「休憩しよう」と、壮介が言った。貴紀は頷き、貴紀と壮介は夕飯まで休憩することにした。

「部屋でゆっくりしてくる」

 壮介がそう言ってソファから立ち上がり、二階へ行った。彼が二階へ上がった後、貴紀は座っていたソファに寝転がりながらテレビの方に目をやっていたが、しばらく横になっているうちに眠っていた。


 キッチンの方で料理をする音が聞こえて、貴紀は目が覚めた。

 貴紀がそちらへ目をやると、亜衣が晩御飯を作っているようだった。それからすぐに点いていたテレビに目をやる。午後六時を過ぎた頃だった。

 貴紀は眠い目を擦り、起き上がる。

「あ、おはよう」

 起きた貴紀に気づいた亜衣が言った。

「おはよう……って、何作ってるの?」

 貴紀が亜衣にそう訊くと、「カレーだよ」と亜衣が答えた。

「カレーか」

 確かに先ほどからカレーのいい匂いがしていた。

「もうすぐできるよ」と、亜衣が言った。「壮介君は?」

「部屋にいるはずだけど」

 貴紀がそう言うと、「そっか。もうカレー出来るから、呼んできてくれない?」と、亜衣がそう言った。「分かった」と貴紀は頷き、二階へ上がった。

 壮介の部屋の扉をノックすると、部屋から「はーい」と、壮介の返事が聞こえた。

「壮介、晩飯出来たから降りて来てよ」

 貴紀は扉越しにそう言うと、部屋の奥から「はいよー」と声が聞こえた。貴紀が下へ降りると、壮介が部屋から出てきて彼も下へ降りてきた。

「はい、お待たせ~」

 亜衣がそう言って、テーブルにカレーを運んだ。

 貴紀と壮介は自分の席に着くと、「二人ともビールでも飲む?」と、亜衣が訊いた。

「飲む」と、壮介が即答した。貴紀も「飲もうかな」と言った。

「じゃあ、うちも飲もう」

 亜衣もそう言って、冷蔵庫から三人分のビールを出した。はいと言って、亜衣がビールを二人に手渡すと、すぐに貴紀と壮介はプルタブを開けた。亜衣も缶を開けて、「乾杯!」と言って、三人はビールを缶のまま乾杯した。三人はビールを飲む。ビールは冷蔵庫に入れっぱなしになっていたので、かなり冷えていた。

 それから、三人は「いただきます」と言って、カレーを食べ始めた。

「うん、うまい!」と、壮介が声を上げる。

 二日目以降のカレーだけあって、それは美味しかった。

 夕食を済ませた後、壮介が口を開いた。

「ねえ、二人とも、俺の推理を聞いてくれないか?」

「推理?」と、亜衣が訊いた。

「うん」

「いいけど、その前に紅茶でも飲まない?」と、亜衣が言った。

「うん、いいよ」

 壮介がそう言うと、亜衣は席を立ち、キッチンへと立った。そして、三人分の紅茶を淹れた。少しして、亜衣は三人分の紅茶をダイニングテーブルに運んだ。

「ありがとう」と壮介は言って、自分の紅茶を一口啜る。貴紀と亜衣もその紅茶を啜った。

「それで?」と、貴紀が壮介に話を促した。

「うん。犯人はこの中にいるんだよ」

 それから、壮介が語り始めた。

「それは、前も言ってたでしょ?」と、亜衣が言った。

「そうだね。で、その犯人が僕たちを殺す理由が分かったんだよ」

 壮介が言った。

「私たちを殺す理由?」

 亜衣が訊いた。

「そう。それは、亜衣がさっき言った『我孫子守』と関係しているんだよ!」

「我孫子が!?」

 貴紀はびっくりして言った。

「うん」

「それって、我孫子君の幽霊の仕業ってこと?」

 それから、亜衣がそう言った。

「ううん。そうじゃない。彼は殺されたんだよ」

「殺された? 自殺じゃなくて?」

 亜衣が訊いた。

「自殺したのはそうなんだけど、自殺を図った理由は彼がいじめられてたからだよね」

 我孫子は高校の同級生たちにいじめられて自殺したのだった。

「いじめられてたって、誰に?」

 それから、亜衣が訊いた。

「僕たち六人にだよ」と壮介が言った。

「え!? 私たち……六人のせい?」

 壮介のその言葉に、亜衣は驚いているようだった。それから、「どういうこと?」と彼女が訊いた。

「あいつが自殺をしたのは、俺らが彼をいじめていたからなんだよ」

 その後、壮介がキッパリと言った。

「うそ……。そんな……。」

 亜衣はその事実に動揺しているようだった。

「嘘なんかじゃない。でも、俺らの中に一人だけ、彼をいじめていない奴がいるんだよ!」

 それから、壮介がそう言った。

「誰なの?」

 亜衣が訊いた。

「誰とは言わない。いや、言えない。きっと、そいつが犯人なのさ」

 壮介はそう言い切ると、一度、口を閉じた。

 なるほど、と貴紀は思った。確かに壮介の言う通りかもしれない。

「じゃあ、犯人はこの三人の中にいるってことだね」

 貴紀がそう言った。

「ああ、そうなる。……犯人の狙いは、我孫子を殺した俺達五人全員を殺そうとしているんじゃないかな」

 それから、壮介がそう言った。

「そんな……。」

 亜衣は残念そうに言った。

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