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第2場 饗宴


湖畔の城では、華やかな宴が夜通し続けられていた。


「ジークフリートよ。どこへ行っておったのだ。皆、お前を待っていたのだぞ」


玉座に座る父王が、やや呆れたように言う。


「少し、考え事をしておりました」


ジークフリートは静かに答えた。


大広間に集う貴族達は、若き王子の姿に歓声を上げる。


今宵この場に集められたのは、いずれも近隣諸国の姫君達であった。


父王は満足げに広間を見渡した。


「ここに集いし姫君達は、皆、美しく聡明な娘ばかりだ。さあジークフリート、お前も踊るが良い」


色とりどりの衣装に身を包んだ姫君達が、期待に満ちた眼差しを王子へ向ける。


だがジークフリートの脳裏には、月光の湖に佇む白き娘の姿が焼き付いて離れなかった。


王子は小さく溜息をつくと、差し出された姫君の手を取り、音楽に合わせて踊り始めた。




新たなワルツが始まる前に、ジークフリートは静かにその場を離れた。


差し出した手を取られなかった姫君は、呆然と王子の後ろ姿を見送っている。


夜風の吹き込むバルコニーへ出ると、背後から足音が近づいた。


「お前、まるで修行中の僧のような顔をしていたぞ」


幼馴染のアルベルトが、呆れたように笑う。


「……アルベルトか」


ジークフリートは手すりへ寄りかかり、月の浮かぶ湖を見つめた。


「好みの姫君はいなかったのか?」


そう問われた瞬間、王子の脳裏に、あの湖畔の姫の姿が蘇る。


白き月に照らされた、気高き乙女――。


「教えて欲しい」


ジークフリートはぽつりと呟いた。


「お前は、なぜ今の妻と結婚した?」


アルベルトは吹き出して王子の顔をまじまじと見た。


「一体、何だ急に。」


「親同士が決めた相手ではあったが……そうだな。一緒にいると気が休まるんだ。」


少し照れたように頭をかく。


「同じものを見て笑い合える。そんな所がいいな。あいつの笑った顔を見ると……守ってやりたいと思う」


そこまで言ってから、アルベルトは顔をしかめた。


「……って、何を言わせるんだ」


ジークフリートは黙ったまま湖を見つめている。


忘れ得ぬ、この胸の高鳴り。


それはただ、美しい姫の姿に心を奪われただけなのか――。


それとも。


「もう一度、会わねばならない」


決意を宿した瞳で、ジークフリートは月夜の湖を見つめた。




いつか出会えるのか


この胸を焦がすほどの


真実の愛に


今、瞼に浮かぶのは


白き月に照らされた乙女


気高きその姿


ただ守りたい


この胸の高鳴りを


人は愛と呼ぶのか


だが私は知らない 


あなたの心


もう一度会いたい


確かめたい


この想いを

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