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プロローグ〜第1場   湖畔

プロローグ


青白い月が浮かぶ湖


周辺を森に囲まれた北方の国 


月光を受けた白鳥の群れが、静かに湖に舞い降りる。 

そして 一人、また一人と若い人間の娘の姿になっていく


「この身が呪わしい」 

「月の出ているこの夜だけが真実の私達の姿」 「ああ…お父様、お母様はどうしておられるか」 娘達は口ぐちに嘆きの言葉を口にする


集団の中からひときわ美しく気品にあふれた娘が現れる


「あなた方、私とたまたま一緒にいたためあの忌まわしいロットバルトの呪いを受ける事になってしまって…どのように詫びたらいいのか」


「姫様、オデット様。私達はあなた様にお使いする侍女。いつまでも共に」

「この呪いを解く方法はないのでございましょうか?」


娘達は一斉にオデットを見る


オデットは左右に首をふる


「わからないのです。でも必ずお前達を元の姿に返してみせます。」


1場

遠く離れた森の影でこの様子をみていた男が一人

この国の王子、ジークフリートだった。


湖の湖畔に佇むお城では今宵

ジークフリートの為の宴が開かれていた。


3日間にわたる宴の最終日

王子は花嫁を選ぶと言うのが、この国の習わしであった。


賑やかな音楽、色とりどりのドレスに身を包んだ姫君達。


ジークフリートはその喧騒から逃れ静かな湖畔を歩いていた。


父は「早く后をめとり、1人前の王となるのだ。」と言う。


その后さえ自分で選ぶ事の出来ない自分に一国を支え、導く事など出来ようはずがない。


一国の王としての自信が私にはまだない。


与えられた剣、与えられた王冠、与えられた后、


何一つ私自身が選んだものではない…


ああ…王子であるこの身が煩わしい


空を見上げると白い月を背に白鳥の一団が湖に降り立つ所だった


白き鳥よ。 お前達は自由だ。 明日どこに向かうか、今日どこで羽根を休めるのか


すべて自分で決める事ができるのだから。


王子は白鳥の姿をもっと間近で見ようと湖畔に近づいた。


その時、月光を受けた白鳥の群れが、 一人、また一人と若い人間の娘の姿になっていく


白鳥達の真実の姿、オデット姫の気品、

儚げな様子にジークフリートは雷に打たれたような衝撃を受けた。


「何ということか!あの美しい姫がこの様な呪いを受けているとは」

「自らも呪われている身でありなが、侍女達を案じるその姿。ああ…かの姫の事がもっと知りたい。」


足元に白鳥の羽根が落ちている。 姫達の様子をみながら王子は中から黒い羽根を拾い上げた。


「黒鳥…の羽根?」訝しげに王子は呟いた


「王子様、ジークフリート様! こちらにおられましたか お探し致しましたぞ。

国王が探しておいでです。 パーティにお戻りを」 王子付きの侍従が息を切らしながら伝える。


「なんだ、アルベルトそんなに息を切らして

最近、結婚したからといって 怠けているのではないのか?」


からかいながら王子は言う


「ジークフリート。お前も早く結婚したら良い。

今日はお前の見合いでもあるんだぞ。 幼馴染の俺が言うんだ。 早く、后をめとれ」


「そうだな、俺にも真実の相手がいるのかな」


王子は名残惜しそうに湖をみながら従者と城に戻って行った。

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