第15場 ロットバルトの死
ジークフリートは静かに力強く言う。
「…確かに人間とは愚かな生き物だな。
だが、私は違う。私は私の愛を守る!
この国を守る!貴様を滅しオデットの呪いを解く為に、この命を捧げる。」
いつの間にか、城の中にいたはずのオデットと侍女達も固唾を飲んで見守っていた。
「ジークフリート様…」
王子は銀の矢を弓にかけギリギリと引いた。
雲が去り月光がちょうどロットバルトに振り注ぎ彼は一瞬視界を失った。
「天に滅せ」ジークフリートが矢を引いた。
瞬間、ヴェラがロットバルトの前に立ち塞がり、その銀の矢がヴェラの身体を射抜いた。
倒れこむヴェラ。
「…どうして?何故前に出た。」
抱きかかえるロットバルト。
「何故…こんな事を?この私を助けようと?
…オディール」
首を振りヴェラはロットバルトの唇に指を当てる。
「…私の名前はヴェラ。真実と言う意味。
あなた様に救い出されたあの日から、私の命はあなたのもの。…あなたを愛してる。」
「…ヴェラ」
「初めて呼んでくださった、私の本当の名前を…」
「あなたは人間を憎んではいない…何故なら私を助けてくれたから」
ヴェラの手を握りしめる
「ヴェラ!」
「あたたかい、涙。ありがとう…私
私は…しあわ…せ」
ロットバルトの頬を撫でていた手がパタリと落ちた。
ロットバルトはヴェラの髪にそっと触れる。
「これが……愛か」
初めてその言葉を意味を持って口にする。
空から黒い羽根が静かに舞い落ちる。
ロットバルトはヴェラをそっと横たわらせた。
立ち上がり、胸に手を当てその名を呼ぶ。
「ヴェラ」
静かな声
「私の愛を捧ぐ」
その瞬間、雷鳴が轟いた。
光の矢がロットバルトを貫く。
両手を見つめるロットバルト
「…私の魔力が、消えた…?!」
「真実の愛を与えたものが呪いを解く…」
横たわるヴェラの元に近づくロットバルト。
「ヴェラ…」
そう呟いてロットバルトは倒れた。
その顔には穏やかな笑みが浮かんでいた。




