第14場 ロットバルトの過去
城の大広間では双方入り乱れ兵たちが闘っている。
ロットバルトは笑いながら剣を振るう。
「何故だ?」ジークフリートが叫ぶ
「何故そこまで人を憎む?お前だって魔術師と呼ばれる前は人間だったのであろう?」
睨み合いながらロットバルトは続ける。
「…その昔、私は名もなき鳥だった。」
ヴェラが物陰から聞いている
「傷ついて死にそうな私を助けた少年がいた。
彼は傷を癒す程度の魔力を持っていた。
そして、彼の魔法で私は生きながらえた。
彼は私をロットバルトと呼んだ。」
相手から視線をそらさず、距離を保つ2人。
周りの兵たちも2人を見守っている。
「少年の名はエミリオ。私達2人はどこに行くのも一緒だった。エミリオは早くに家族をなくし森の奥でひっそりと暮らしていた。」
ロットバルトは懐かしそうに言葉を続ける。
「私は初めて人間の暖かな気持ちに触れた。彼は大人になったら、薬草の知識を学び薬師になりたいと語っていた。実際癒やしの魔法と薬草であらかたの病気は治していた。村人も来るようになった。
そんなある日のこと…」
ロットバルトの瞳がわずかに揺れる。
「村に疫病がはやり、人々が次々と病に倒れ死んでいった。」
「人間共は彼の魔力のせいだと言って…」
「…彼の家に火を放った!」
青白い怒りの炎がロットバルトを包む
広間にいた人間は誰も息を呑んだ。
ロットバルトは泣いている様に見えた。
「彼は、力尽きる前に魔力を放出した。
人々と森を燃え盛る炎から守る為に。
…愚かしい生き物だな人間とは。
そうして、気がつけば私は魔術師ロットバルトとなっていた。」
驚くヴェラ
「初めて聞いた…」
そして、幼き日自分を救い出してくれたロットバルトの瞳を思い出した。
「…ロットバルト様。あなたは私を気まぐれで助けた訳ではないのですね…。あなたの奥底には人を愛する気持ちが残っている。」
ロットバルトと王子は剣の音を響かせながら
庭に出た。
白い満月が2人を照らしていた




