第13場 ヴェラ
闘いの準備をし、再びロットバルトの城へ向かう
王子
「父君…国王よ。私はロットバルトの城へ参ります。この命をかけて真実の愛を取り戻し、この国を守ります。」
「止めても無駄なのだな…。
ジークフリートよ。…いい顔になった。」
国王は涙を隠してジークフリートを見つめる。
「この国を、お前の愛を守れ。
魔力を封じるとされるこの銀の矢を持って行くが
良い。」
「必ずや。」
一礼をして城を出ていく。
「待て!私も行く。」
アルベルトが立っていた。
「お前は家族の元に、愛する人の元にいるのだ。」
「だからこそだ!愛する者がいるからこそ、今戦わなければならないのだ。…お前だってそうだろう
ジークフリート。」
ジークフリートはアルベルトの友情に胸を熱くしながら答えた。
「必ずや我らが勝利をつかむ!」
一方
ロットバルトはこの様子を魔法の鏡で見ていた。
「良かろう。人間風情がこの私に盾突こうと言うのだな。…オデットよ。そなたの王子はお前の父と同じ道をたどることとなる。」
「ジークフリート様!」
オデットと侍女達は泣き崩れる。
ロットバルトはオディールの方を向き伝える。
「オディールよ。お前はオデット達と共にいよ。」
「私も、共に…」
オディールは強い瞳でロットバルトを見る。
「ならぬ。お前の力が必要になる時が来るかも知れぬ。」
城の外がざわめく。
王子とたくさんの兵が城を取り囲んでいた。
「…絶望、恐怖、私の力の源よ。」
「参る!」
オディールとオデット達を一瞥し
ロットバルトは出て行った。
「あなた方はここにいて。もし危険が迫ったら…」小さな扉を指差し「あそこから外へ」
ヴェラはオデット達に言う。
「ヴェラ、あなたは?」
「我が命はロットバルト様のもの。」
「違うわ。」
ヴェラは驚く。
「あなたは誰かのものではない。あなたはヴェラよ。」
長い沈黙。
そして初めて、心から笑う。
「ヴェラと…その名で呼んでくれてありがとう」
そしてオデットと侍女達を見渡して
ヴェラはロットバルトの後を追った。




