11場 涙の意味
ロットバルトの城では魔法の鏡で
全てを見ていたオデットが嘆き悲しんでいた。
「ああ…ジークフリート様。
何故、真実の目で見てはくださらなかったの?」
「あなた様の愛を疑っているわけではない。
本心でないとわかってはいても、あなたがあの娘の手を取った時、心が砕け散るかと思った…」
部屋の扉が開かれた。
オディールが立っていた。
「あなたの王子は、この私に真実の愛を誓ったわよ。」
オデットを見つめて言う。
「魔力が見せた偽りの愛ね…。」
オデットは答える。
オディールの瞳が一瞬揺らぎ
哀しみの表情になる。
「オディール、あなたはそれでいいの?魔力で誓った相手と結ばれるつもりなの?」
「私は…私を救い出してくれたロットバルト様の命に従う事が、私の生き方。オディールと言う名を与えられた時から、私の命はロットバルト様のもの。」
「どうしてそこまで…?」
「生きる意味をなくしていた私にロットバルト様は私が必要と言ってくださった。」
「あなたは、ロットバルトに利用されているだけよ。」
「わかっているわ。それでもいい…」
オディールの頬をいつの間にか涙が伝う。
「何故、泣いているの?」
オデットはオディールを見つめて言う。
「泣いてなんかない。」
頬を伝う涙を拭いながらオディールは言う。
「あなたはオディールじゃない。
ましてやオデットでもない。」
「あなたの本当の名前は?」
長い沈黙
ようやく、口を開く
「ヴェラ…」
「真実と言う意味ね。」
「ヴェラ、あなたの本当の気持ちは?その涙こそ答えなのでは…?」
「涙の意味…」
「それは、愛でしょう?」
「愛など…」
「そんなもの、あるはずないのに」
「どうしてこんなに苦しいの…」
静かにヴェラは出て行った。




