表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/16

第10場 花嫁選びの宴


湖の上には満月が白く輝いている。

華やかな音楽が鳴り響く広間

ジークフリートは今か今かと愛しき人の到着を待っていた。


「そんなにそわそわして、どうした?」


「アルべルト。…俺は真実の愛を見つけたのだ!もうすぐここにやって来る」


「何と?お前が見つけたって?真実の愛を?」

アルベルトは目を丸くする。


「昨日まで修道士の様な顔をしていたお前が、今は恋する若者か?どこの国の姫君なのだ、お前の心を射抜いたのは?」


ジークフリートは笑う

「自分でも不思議でならない。」


「さあ、白状するんだ」


「それは―」


王子が答えようとしたその時


楽団の音楽が突然止まり 広間の扉がゆっくりと開かれる。


そこには目深に帽子をかぶった従者と美しい笑みを讃えたオディールが立っていた。


煌めく宝飾の施された黒衣のドレスをきたオディールがゆっくりとジークフリートに向かって歩いて来る。

従者が杖を掲げる。

「これは…美しい姫君だ。白いドレスが何と美しい…。まるで白鳥のようではないか。」

人々は一瞬で魅入られたように、

オディールを見つめ続ける。


ジークフリートは紅潮した顔でうやうやしく、オディールに一礼をする。


「オデット姫、私と踊ってくださいますか?」 オディールは一瞬従者の方を見る。 扇子で顔を隠しながらオディールは王子の手を取った。


2人は軽やかに舞い踊る。


宴に参加した人々は、ジークフリートとオディールから目を話す事が出来ない。


やがて音楽がやみ、2人は一礼をする。 割れんばかりの拍手。 


王が立ち上がる。


「ジークフリートよ、姫よ。

素晴らしい踊りであった。

今宵は花嫁選びの日。

さあ、ジークフリートよ。花嫁選びの刻限となった。お前の花嫁を選ぶのだ。」


ジークフリートは周囲を見渡し


オディールの前でひざまづく


「オデット姫よ。我が真実の愛をここに誓う。

どうか私の妻になってください。」


オディールの指先が震える。

ほんの一瞬、従者の方を見て、笑顔を作る。


ジークフリートが手の甲に口づけしようとした

瞬間


高らかに嘲笑う声がする。


「よく見よ!ジークフリートよ。 お前が愛を誓った相手を。」


従者の衣を脱ぎ捨てたロットバルトが立っていた。


「これがお前の真実の愛だ。」

「人間とは愚かなものだな。」 

「愛を誓いながら、真実の姿すら見抜けぬとは…。」


ロットバルトの影に隠れていたオディールが現れる。

呆然とする王子に向かって小さく呟く。

「あなたのオデットではなくてごめんなさい…。」


「…違う。違う。お前は誰だ?」


膝から崩れ落ちるジークフリート。その目は見開かれ、顔には絶望の表情が浮かんでいる。


「私が愛したのはオデットだ!」

「私は、一体何を見ていたと言うのだ。」

頭をかかえ混乱する王子にアルベルトが駆け寄る。


「貴様は何者だ!」アルベルトは 睨みつけながら叫ぶ。

「我が名はロットバルト。偉大なる魔術師。皆も聞いたであろう? 王子の真実の誓いを。オディールへの愛を。」

息を呑む人々。

高らかに笑うロットバルト。

その様子を見つめるオディール。


「今日、ただいまからこの国は 私、ロットバルトの物となる。 抗うものには死を与えん。」


オディールを伴って闇に消えるロットバルト。


あまりの出来事に誰一人口をひらけなかった。


アルベルトに抱きかかえられ 王子はフラフラと立ち上がる。


「私は…何という間違いを… オデットよ、ああ…」


あたりには王子の嘆きの声が響いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ