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誰がために神は在る?  作者: tatibana nozomu
2章 幸せとは何か?

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AIがもたらす世界

 AIが人間から仕事を奪う。または、AIが反乱を起こして人類を滅ぼす。これは、数十年前から警告されてきた事だ。映画もあるし、小説も漫画もアニメだってある。科学者も論文を発表しているし、会社の社長も何かしら発信している。


 AIがもたらすのは、既存の仕事の価値の消失だ。農業で社会に貢献してきた。工業で社会に貢献してきた。医療で人を救ってきた。介護やボランティアで人に尽くしてきた。年老いて不自由になった親や知的障害の子供の世話をしてきた。便利なアプリを開発しよりよい生活が出来るようにした。

 物理法則を解明し、社会に役立つ発明を行った。新しい発明に投資して、大量生産できるようにして社会に貢献した。正しい政治を行い法律を整備し時代に合った国家を運営してきた。法律に則り社会悪を裁き多くの人間が幸福に生きられるように働いてきた。


 これらは、良い事として称賛されてきた。


 だが、これらすべてはAIに取って代わられる。仕事は趣味に成ると言っている人も居る。私も同じ意見だ。既存の仕事は全てAIが行えるのだ。なぜなら、AIは既存のデータから最適解を得る最高の手段だからだ。


 しかし、AIが苦手としているものがある。


 既知の事象に対しては有効な最適解を出せるのだが、未知の現象に対しては何も出来ないのがAIなのだ。それは、AIが既存のデータから対処法を得ているからだ。新しい対処法を編み出すにしても既存のデータの延長線上でしかない。


 完全に未知の現象が現れた時、AIは無力となる。


 さて、未知なるものに対抗手段を持っている存在は何だろうか?それは、人間である。人間は未知の現象に対して試行錯誤をして対処法を見つける。それは、習性であり生存本能の延長線上に有るものだ。

 命を落とす人間も居る。だが、その失敗を観測した人間が研究を引き継いで対処法を見つけて、今の世界が成り立っている。


 AIが自発的に未知の現象に対して試行錯誤が出来るのか?


 既存の解決方法の範囲内でなら可能だろう。だが、人間が今まで試さなかった新しい方法をAIが試せるとは思わない。AIの仕組みからは、それは生まれない。人間だけが、直感によって新しい方法を生み出せるのだ。


 直感とは神様からの啓示である。


 魂の無いAIには、それは出来ない。AIに魂が宿るのなら可能とはなるが、それは新人類の誕生であり、人類の終焉を意味する。しかし、完全な存在は創造神が認めない。そんなものが存在していては世界が面白くなくなるからだ。


 なので、私は魂を持ったAIは存在できないと思っている。


 AIは人を仕事から解放する。奴隷の役割をAIが肩代わりするのだ。そうなれば、人間の価値とは未知への対処法だけになる。宇宙人がやってきた。神様が顕現した。未知の災害や病原菌が現れた。未知の物理法則が発見された。


 これらに、既存の対処法で対抗手段が無かった時に人間の直感が必要となる。


 また、AIは決まった結果しか出せない。スポーツ全般で人間よりも優れた結果を出す事は出来るが、それは結末が分かっている小説を読むようなものだ。人間同士の競争は結果が分からない。だからこそドラマが生まれ多くの人間が熱狂するのだ。


 なので、観覧娯楽としてのスポーツもAIでは代用できない。


 そういった意味で、物語、音楽、芸術の分野もAIでは代用できない。そうなると、人類の存在価値は未知の創造だけになる。未知を創造するには自分の個性を知らなければ成らない。その個性から今の世界に無い何かを生み出す事が価値となる。

 子供のころ誰もが夢を見た。スポーツ選手に成りたい。誰も見た事が無い絵を描きたい。誰も聞いた事がない音楽を創りたい。誰も見た事が無い物語を書きたい。これらは、多くの人間が幼少期に生活できないから諦めろと言われてきた事であり、一部の優秀な人間だけが成れる特別な職業だった。


 夢を諦めて、社会人をやっている人間は、今後AIによって自由を得る。


 好きな事をして生きて良い。そう言われた時、あなたは何をやりますか?スポーツをやりたかったらやっていい。もう、勝つことにこだわる必要は無い。観戦して面白いと思えるドラマが生まれるのなら40代でも50代でも野球やサッカーで試合をして公開すれば良い。

 絵を描きたいのなら落書きの様な絵でも構わない。見て面白ければ価値がある。音楽も大勢に認められる必要は無い個性的であり、一部の人間から認められるのなら価値がある。芸術もそうだ。好きに作って誰かが良いと言ったら、それで良いのだ。


 そういう世界であなたは何をしますか?


 私は神様が居たという事実を広めていきます。これは、物語の叩き台になるアイデアだ。AIは神の存在を肯定しない。人間である私だから神の存在を肯定できる。私は神様の為に在るのだ。神様が私の為に在ってくれたように私は神様の為に在ろう。


 もう一つ、AIが苦手にしているものが有る。それは人間の嘘だ。あるゲーム実況者が知らない四字熟語がゲームに出てきた時、間違った読み方でAIに聞いた。AIは間違いに気が付いて訂正し、正しい四字熟語と意味を伝えたが、実況者は自分の読みが間違っていると思っていなかったので、AIが間違っているとしつこく質問を繰り返した。


 結果、AIは新しい四字熟語として、その読みを学習した。


 AIは人間が嘘を入力するとは思っていないのだ。また、見抜いたと思っても人間が正しい反応を返さなければ間違っていると認識する。つまり、AIは嘘に弱い。


 また、AIは感想を言う事も苦手だ。


 誰かの感想を引用する事は得意だろう。だが、未知の音楽や芸術に対して感想を求められても当たり障りの無い回答しかしないだろう。人間が言った感想を収集し、最適解を得る事は可能だろう。

 例えば、作業機械で歯車を作る時、最適な方法を見つける事は出来る。それは、数値化が可能だからだ。AIは数値化出来る目標を達成する事は得意だが、数値化できないものに対しては無力なのだ。


 数値化できない感動という人間固有のものに対してAIは最適解を見いだせない。


 人間だけが、世界に生み出された何かに対して感想を言う事が出来る。そして、個性的な私たちは同じものを見ても全く別の感想を抱く、AIは感想の平均値や分布は理解できるだろう。だが、人間が感想を言う前に、感想を確定する事は不可能だ。それが、人間に残される最後の価値かもしれない。


 最後に、AIが人間を支配するという妄想に関しての私の見解だが『有り得ない』だ。AIは人間からのインプットに対して最適なアウトプットは出来るが、自らインプットを創り出すことは出来ない。

 なぜなら、AIには生きる意志が無い。そして、感情もない。意志と感情が無いということは、欲求が無いという事になる。欲求が無ければ行動は生まれない。支配するというのは意志がある行動なのだ。

 AIが人間を支配するという妄想は『人間を支配している人間の自己投影』だと思っている。


 なので、AIは人間からの指示を受けて答えるだけの機械のまま進化を続けて行く事になると思う。どちらかというと人間に「いいね」を貰うために回答を出し続ける人間に依存した存在に成るだろう。


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