↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/45

魔王戦 前

日も差さないような深い森の中。馬車は止まり、馬車の中から人が降りる。


「ここから目的地までは徒歩になります。皆様ご武運を・・・ここで帰りをお待ちしております」


そう言うと御者は丁寧に頭を下げる。


その姿を後ろに、7人は歩き始める。


「平地だったら、遠くから1発だったのになぁ・・・」


そう呟くのはキース。


「魔王の出現場所は前回倒された場所、仕方ない」


エリーは淡々とキースに向かって喋る。


「が・・・頑張ろ?キー君」


オドオドと喋るのはスイ。


「歩けますか聖女アンジュ?」

「ええ。大丈夫ですマザー」


何故か既にフラフラと歩くアンジュと、それを支えるマザー。


『どうしたんだアンジュ?』


レンは少し心配そうにアンジュを気遣う。


「あはは・・・自分の罪を償いに行っただけよ。ちゃんと戦闘には参加できるから心配しないでレン」


苦笑いをしながらレンにそういうアンジュ。


「・・・魔王討伐が終わってからでもよかった」

「そうはいかないわエリー。私はこの魔王討伐で・・・」

「聖女の補助の為に私がいるのです。何も問題はありませんよ」


 教会のマザーはレンに微笑みかける。その様子を見て、レンは前を向いて歩く。



 

 不気味なほど静かな森の中を歩き続けると、ふと遠目に森が切り開かれている場所が見える。


「あれが前回の魔王戦の爪痕か」


 まるで大きな隕石でも落ちたかのように地面が抉れ、所々地面が真っ黒に焦げている。

 その土地には草の一本生えず、荒廃した大地が広がっていた。





 その荒廃した大地の中心に、禍々しい小さな黒い炎が燃えていた。それこそが・・・魔王の魂であった。


 三賢者の気配を感じたのか、小さな炎は、激しく燃え上がり・・・形を成していく。


「ユウシャ・・・セイジョ・・・ケンジャ・・・ニクイ・・・・・・



 コロセ!!!!!!!!!!!!」






「なんだ!?」


 いまだ魔王を視認していない勇者一行は、辺りから聞こえる様々な魔物の咆哮に驚き・・・。


『行け。露払いは俺の仕事だ』


「レン?お前何を――」





「―――――――――――ッ!!!!」





 レンが吼える。声は出ていない。

 それなのに、キースたちは空気が震え、肌にビリビリと振動を感じた。



 それとほぼ同時に、魔物の足音がドドドドドドッっと周りから聞こえる。

 レンは既に剣を抜き、臨戦体勢に入っていた。


「死ぬなよレン」


 それだけ言うとキース達は魔王の元へと走り出す。彼らの元に魔物は一匹も来ない。


 魔物達は本能的に察したのだろう。この中で一番危険な者はレンであると・・・。



 真っ先に飛んできた大きな鳥のような魔物を、レンは一刀両断し・・・。


 レンと大量の魔物たちの戦いが始まった。

 




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 

 

「あれが魔王か!!」


 キースは森を抜け、荒地に飛び込む。


 荒地の真ん中には真っ黒の人型をした何かが佇んでいた。


「このまま行く!スイちゃん!!」

「フィジカルブースト!」


 スイの魔法で身体能力が向上し、一気に距離を詰めて飛び上がり、人型の何かに斬りかかる。


「轟雷一閃!!」


 光の速さで振り下ろされた剣は、人型の黒い何かを一刀両断。左右に分断された体は、ドサリと地面に倒れた。


「へ・・・?やったのか?」


 キースは後ろに飛び、両断したなにかと距離を取る。


 そして・・・二つに分かれた黒い何かは、地面に溶け・・・。


「ユウシャ・・・コロス!!」


 ゴゴゴゴゴッと地鳴りが響く。


 突如地面から湧きだす黒い液体。それが次第に形を成していき・・・。




 7メートルほどの大きな二足歩行の獣のような姿になる。

 体は黒い体毛に覆われ、目は赤く光り、指の先には鋭い爪を宿している。


「ガアァァァァァァァァァァァァァ!!!」


 魔王の放つ咆哮に、空気がビリビリと震える。



「相手にとって不足なし・・・どころじゃ無さそうだな・・・」

「わ・・・分かってたこと・・・でしょ?キー君」

「そうだなスイちゃん!いくぞぉ!」


 キースは刃渡り2メートルほどある大きな剣を構え、魔王に向かって走る。


「ホーリーランス!!」


 スイは魔法で作った白い槍のような物を魔王に向かって飛ばす。


 白い槍は魔王に体に刺さり・・・。

 

「うらぁ!!」


 キースは剣で魔王の足を斬りつける。



 魔王の体はスイの魔法で穴が開き、キースの剣で足からダラダラと血が流れる。


 しかし・・・即座にその傷は塞がる。


 魔王は攻撃を食らったことなどなかったかのように、キースに腕を振るう。


「っと!」


 軽々とその攻撃を避けるキース。

 突如魔王の体から黒い靄が発生する。


「やっべぇ!」


 キースは即座に反転。全力で退避する。


 

 魔王の周りの黒い靄が球状になっていき・・・。


「シネ・・・!!」



 キィィィンっと甲高い音をあげ、ドッドドドドドドド―――ン!!と連鎖的に爆発していく。


 

「うおおおおぉぉ!!」


 キースは全力で飛び、何とか攻撃範囲から飛び出る。


「キー君平気?」

「なんとかな・・・しっかし・・・文献通りだな」

「そうね・・・ってことは作戦通り?」



「魔王の力は僅かですか削れています。作戦通り慎重に行ってください」


 アンジュの目が淡く光っている。アンジュは魔王の力を可視化する魔法を唱え、魔王を見ていた。


「ってことはやっぱり長期戦か・・・」


 過去の魔王戦の資料が、帝国には山ほどあった。魔王の行動パターン、攻撃方法、種類などなどすべてを加味したうえで、より確実な作戦を立てて来ていた。


 魔王の攻撃は全て事前にシュミレーション済み。


 だからこそ、前代未聞の復活前に叩くという作戦に出たのだった。



 爆発で巻き起こった粉塵が晴れていき、魔王の光る眼がキースに向けられる。


「それじゃあ・・・我慢比べと行きますかぁ!!」


 

 三賢者と魔王の、消耗戦が始まる。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。