200VS1
不殺のジェノサイドイベント、当日。
会場の一角である旧大講堂に訪れた宗次らは、到着するやその光景を前に顔をしかめた。
旧講義棟自体かなりの戦闘場所に選定されているようで、戦火の跡がいくつも残っている。
窓は割れ、机は砂塵にまみれ、瓦礫はそのまま吹きさらしになっている。通常の管理体制では考えられないほどに荒れ果てている有様だ。
ちょうど100組となる参加者たちは、この旧大講堂にひしめき合い、開始の時間を今か今かと待っていた。
「にしても、この数を教師がたった一人でとはねぇ。
半日しかねえんだから、あっちゅう間に時間なんて過ぎちまうだろ」
腕組みしたままのバロットは、ため息をつきながら、誰に向けるでもない不満を吐く。
「さあ、どうかな」
みんな楽しく話し合っていて朗らかな空気の中、宗次の顔だけは浮かない。
「宗次くん、気にしすぎだよ。
とりあえず、様子を見てからでも遅くはないと思うよ?」
「……そうであることを願うよ」
励ましてくれる名織とは、入念にタッグでの連携を高め合った。
しかし、まだ――ルスという未知数と闘うには不十分と言っても足りないくらいだ。
一番のネックは、名織に焦点を絞られて狙われた場合である。その場合、名織を守るという行動が隙となって、共倒れになりかねない。しかし、徽章を奪われればその時点で宗次も敗北する。
宗次がバッジを持ち続けておくにしても、ルス以外のイレギュラーから狙われる可能性を考慮すると、これも得策ではない。
そのバッジは結局、名織の右胸に付けられていた。宝剣トランジアス――アミギミアの神話に登場する伝説の剣を模したバッジだった。バロットの胸にも同じものがついている。
「しかし、皐月もヘンなイベント考えたと思うわ、ホント」
と、宗次は背後から声をかけられる。振り向けば、栗色の髪をツインテールに結った少女が腕組みしてこちらをにらんでいた。
行儀悪く机に座っていたバロットもそれに気づき、
「あれ、自警部のおチビじゃん?」
「あン? 本格毛むくじゃら風情がウチをチビ呼ばわりすんのは10年早い」
「あぁン何だとこの!?!?」
がるるる、とお互いが威嚇しあう。宗次の周りには煽りに弱い面々が多かった。
「……セルティ先輩、どうしてここに?」
その小柄少女・セルティはバロットの鼻を摘みながら、
「主にこのイベントの警備よ。
アンタみたいにどこの馬の骨が闘い以外の違法行動を取らないか見張るってワケ。
それに、あんたの騒動起こしたヤツらの監視も引き続き続行中。
ったく、ほかの学年のイベントはあんたら狩り出すかんね」
そこで、戦火で朽ちかけたイスに腰掛けたイギルが、ボソボソと嫌みを垂れる。
「……そうやって調子いいときばかりディバイドたよりやがってこのちび」
「ハァ!? てめ、マジ焼き肉にされたい!?」
「まぁまぁ、お二人ともまぁまぁ……っ」
がるがると威嚇しあう二人を今度は名織がなだめると、セルティはこほんとかわいらしい咳を一つ、
「逢坂、あんたの強さも興味があるんだから、イベント楽しみにしてっかんね。
あのトーマをアンタが倒したんでしょ? ウチもそりゃイヤでも気になるかんね」
セルティはグーにした拳を宗次へ向けた。
宗次は拳を固く作り、それにこつんとぶつける。
「ん。勝ちなさいよ。自警部として逃げてばっかみたいなダッサい真似すんなよ。
かわりに、不正は正しておいてあげんだからね」
「おお、つんでれですね」
「ちゃうわい!」
セルティは突っ込んできた名織の頭をぽかっとたたくと、不機嫌な足取りでずんずん歩いて大講堂から去っていった。
たぶん、彼女はいい人なのだ。それを素直に表現しないだけで。
「あの、宗次くん、ちょっと」
名織が、セルティに手を振っていた宗次のそばに寄る。無意識に、宗次はそんな名織から一歩離れ、
「……どうして離れるの。このムービー、ちょっと見て」
さらに一歩、宗次に寄った名織はデバイスを展開。
メールボックスを開いた名織は、朝繭ほのりのフォルダを開く。やがてムービーが再生された。
『名織ー、何かあったら私が助けたげるからねー!
あと先輩も、がんばってください~~~わ~~~!』
「……と、いうことで、す」
「そうか」
……反応に困った。おそらくほのりがわざわざムービーを撮って、それを名織に送り宗次にも見せてとお願いされたのか。
「緊張感が……まるでないな」
誰にも聞かれないよう、宗次は再びそう独りごちた。
油断している軍隊は、奇襲されれば壊滅する。
戦闘においても、まったく油断していたときの体の弛緩が、想像以上の手傷を招くことになる。
――そんなことにはならないといいが。
『みなさ~~ん! おっはようございまーーっす!
生徒会長のヴィオン・皐月だよ~~!
イベント開始1分前だけど、みんな準備はいいかな~!?』
……皆の緊張感がない原因はこの生徒会長にもあった。
こんなノリで始まって、みんな油断してくれればライバルは減る――宗次としては嬉しい誤算でもあるのだが。
そしてもうひとつの原因は、敵役であるルスにもあった。
ルスは、折れ曲がった教卓のそばでティアンスの女子生徒らと楽しげに会話している。
人懐こく容姿の美しいルスが、フリであれ“大量虐殺”をこれから敢行しようという雰囲気さえ見受けられない。
ジェノサイドという言葉が、このイベントに全くそぐわない。
「――いや」
違う。そうではない。ジェノサイドはイベントが始まってからの話で、今見えるわけがない……
そんなこと取り留めもないことが、ぐるぐると頭の中を駆けめぐる――
『さあさあ、細かいことは抜きでね。とにかく生き残っていればいいのよ☆
あ、細かい質問が来てたから補足しておくわね。
自分のシールドが破壊されたらその者は失格。バッジを取られた場合、そのペア両名が失格。
つまり、どちらかがそのバッジを持っている状態で十二時間後まで乗り切る――もしくはルス先生のバッジを取るか、戦闘不能にすること。
各々の節度ある活躍を期待しているわ――それじゃ、思いっきりやっちゃって!
イベント・スタート!!』
瞬間、けたたましいファンファーレが鳴り響いた。
それと同時に、前方のひび割れたスクリーンがザザザ……とノイズを走らせる。やがて文字が浮かび上がり 11:59:59、58、57……と、一秒を刻んで減っていく。
参加者各々の体の後ろで、クルクルと回り出す三角錐のシールド。これが回り続ける限り最低限のバリアが体の回りに任意に展開され、致命傷の攻撃は回避することができる。
「はいはーい! みなさんご注目ください~」
ぱんぱんと手をたたき、ルスは明るい笑顔を振りまいた。
「先生のシールドについて説明しますね!
先生にこんなものはいりません!」
ルスは、三角錐のシールドを、朽ちた教卓へと乗せた。
「私の場合は、バリアと実際の攻撃がそれぞれの良さを干渉し合ってしまうのです。
だから、直接攻撃大いに結構! どーんと来てくださいね!」
どんと胸をたたき、調子づいてアピールする。これでは本当に緊張感が――
「……みんな、すぐこの場から逃げてくれ」
「は? 師匠、いきなり何を――」
「鴇弥。ルス先生に追われたら、自分の影に向かってこれを投げつけてくれ」
バロットの言葉を止めた宗次は、名織へと向く。そして彼女に、有無をいわさず黒い液体が入った小ビンを押しつけた。
「え、何、これ――」
「すまない、詳しくはあとで説明する。
とにかくここから一刻も早く離れろ。言いたいことならその後だ」
おそらく、宗次の意図をただひとりくみ取ってくれたイギルは、
「……俺は理解した。だが、お前はどうするんだ」
「後で追います。必ず」
「……わかった。じゃあ二人とも、行くぞ」
「ちょ、ちょいと師匠ーー」
イギルに強引に連れられ、戸惑うバロットと名織の姿も見ることなく、宗次は視線をルスへと注ぐ。
油断を誘うのは、狩りにおいて戦闘において常套手段であり、絶対有利を招く策だ。
狩り場が開けていれば、爆弾一つあれば大量に獲物を狩ることができる。
その爆弾を、おそらく彼女はこれから投下するのだろう。
――ただ、彼女がどんな攻撃をするのか、見ておきたい。
それが宗次のただ一つの思いだった。
「さてみなさん、よろしいですか?
このイベントでは、私が自分なりのルールを決めようと思いまして」
「せんせー! くだらないことは無しにしましょー!」
ティアンスの集団の中で、一つ勢いよく手が挙がる。
金髪の陽気そうな振る舞いの少年だった。細い体躯の彼は、集団から一歩前へ躍り出る。
「ごちゃごちゃしたルールはめんどくさいっすー! どうせ、勝負なんて見えてるんで!」
「……あら、あなたは?」
「一年、純エルフのモリオ・フォーテルッす! 得意技は術を使った近接戦闘っ。
以後――もクソもないと思うんすけど、さっさと先生を倒してこのイベントは終わりにしたいなあってっ」
ふむ、とルスは唇に人差し指を当て、
「そうですね。あなたが早く終わらせてくださるなら私も本望です。
さあどうぞ、私の懐に飛び込んできてください!」
「えっ、いいんですか!? じゃあ、一発で決めちゃいますね!」
モリオは、軽快なステップでルスに近づいていく。
そして、3mまで肉薄したところで、足に突如ブーストがかかる。仕込んでおいた聖術だろう。
その勢いを殺さぬままにルスと接触、勢いよく右手を振りかぶった――
たかと思えば。
モリオはけたたましい音とともに90度の方向を描いて壁を貫通し、吹き飛んでいった。
そのがれきを打ち破った轟音と裏腹に、周囲が一気に静まりかえった。
「さ、続けますね」
大半の生徒がそのルスの声で、我に返った。
何が起こったかわからないのだろう。ルスは肉眼で見る限りは、ノーモーションにしか見えなかったからだ。
皆の視界からモリオが消えてなくなり、周囲がやっとざわめき出す。
そして、そのざわめきを強引に沈めるかのように、名前が連なった立体映像が展開された。
「はいはいみなさん、聞いてくださいね! 参加者名簿から、私は無作為に10名選出していきます。
選出された幸運な方々に攻撃を仕掛けていきます。
私がその方を1分以内に倒せなければ、いったんその人への攻撃を諦めます。おもしろい試みですよね!」
ルスは画面上の赤いボタンをタッチすると、全員白背景の名前欄がランダムで黄色に明滅する。
ピピピピピピピピ――
と最初は勢いよく、明滅。10名のルーレットはやがて勢いを無くしていき、
ピピピ……ピピ……ピ……ピッ
そこで、黄色の明滅は終了を告げた。
「さあ、初選出も終了したところでみなさんにもデータを転送します!
最初の幸運な10人は誰なんでしょう♪」
デバイスがバイブして、起動させればルスからメッセージが来ていた。
名前が10人分のテキストメール。至ってシンプルだ。
――知り合いを含め、該当者無し。
「あ、そうでした!」
突然。
気の利いた提案をするぞとばかりにルスは柏手を打ち、
「みなさんと闘う前に。
先ほどの彼のように、無力で無謀なファイターを絶無するのが最初の礼儀ですね。
いやぁ私ったら、うっかりしていました。
術の名前は、どうしよっかなー……そうですねー。
『いんぱくと・しぇいかー』なんてどうでしょう?」
そう朗らかに笑い、拳を――ルスは本当に何気なく、振り下ろした。
その瞬間。
――来る!!
宗次は懐から刀の柄を取り出し、一気に“黒い刃”を顕現させ、地面に突き立てた。
黒い刃は、ジャムのようにどろどろの黒い瘴気を、爆発するように放出した。
――――――ィイイイイイイイイイイイッ
刀を突き刺すと同時、頭が割れるような高音が高速で空間を伝播する。
まるで飛行機のタービンが、耳の内側に入り込んでくるようだ。
耳を思い切りふさいでも鼓膜に入り込むそれに耐えきれず、宗次はしゃがみ込む。
そして宗次は、目を開けられない衝撃に見回れた。
まるで爆風のような空圧が、体の奥底まで轟音がのたうちまわるような衝撃。
激しく揺れているのは地面だけではない。衝撃波がルスを爆源として、肉体を切り裂き破壊しようとしているのだ。
判断力と認識力を最大限に削った上での、効果的過ぎる攻撃だった。
まるで死人が出るのもいとわない、本物の戦場のような覚悟に満ちた一撃。
……ハラハラと舞い上がる砂塵に、宗次は咳をしながら身を起こした。
圧力の風に耐えきれなかったのか、鼻と耳から血が垂れている。鼻をピッと弾くと、周りに目を遣った。
周囲には、倒れ伏した人たちだらけだった。
体は土埃にまみれ、逃げなかった皆の口から、目から、耳から、血が垂れ流れている。
幸運にも地形・地物が味方し衝撃波を逃れた者、ある程度防御できた者もいる。
静寂の土埃の中、ほとんどが何が起こったかわからないような顔をしていた。
シールドが破壊されて、肉体を傷つけてなお、衝撃波は精神を蹂躙したようだった。残った生徒たちはこの一瞬では、恐慌状態にさえなれないのだ。
そして、ルスは――土に汚れながらも、衣服も体も、傷のある部分は無いようだった。
台風の目にいたように、柔らかな笑みをこぼしながら――こちらを見ている。
フッ
白の背景だった名簿が、黒く暗転した。
それは次第に勢いを増して、名簿から大半の光が失われていく。
きっと、ルスの一撃で戦闘不能になった者だ。
「……何が起こった? 説明してくれ」
宗次のすぐとなりから声が聞こえた。紳士的に見える、大柄のティアンスだ。
「大丈夫か」
「……心配はいらん。何があったか教えてくれればいい」
男はうめきながら、体を起こした。宗次は彼の背中の埃を払ってやる。
「……ルス先生は拳一つで爆発的な力を――自分の中に一瞬にしてため込み、一気に放出したんだろう」
衝撃波に関しては、魔力具現化術ーーオーガのクオリティの一つだ。
その衝撃波は核爆弾のように、真空状態に凝集された衝撃の中心部に吸い寄せられるように、再び中心に向かったに違いない。
遮蔽物が全くないようなところでのこの攻撃は、歩く爆弾と言える。
大柄なティアンスは、血の混じった涎を吐き出す。
「なるほどな。ジェノサイドはすなわち大量殺戮……ならばこれが道理の戦い方だ」
「これはただの格闘喧嘩じゃない。れっきとしたオーガの魔術だ。
術で闘うしか道はない。
俺は今は逃げる。あんたも――」
「いいや、それはだめだ……だって俺は――」
言い掛けたところで、ルスがあっけらかんとした声を上げた。
まるで、この惨状に意識を向けることを忘れたかのように、だ。
「おぉ、私の攻撃に耐えたルーレット選定者がいらっしゃるようですね。すごいですすごいです。
はいそこのキミ、エレウスくん、だったかな? 出てきてくださいな」
宗次の隣にいた男が、机を越え、歩いていく。
ルスの展開した名簿には、一つだけ黄色が残っていた場所があった。
その名は、エレウス・スランバード――彼は逃げられないのだ。
その男、エレウスはルスの前に立つ。しかし立ったきり、動かない。
恐怖や躊躇で思考が固まっているのかもしれない。ルスはそんな彼の心をもてあそぶ。
「暴力や殺人というのは、最初はとても覚悟がいるものです。
しかし慣れてしまえば問題はないんです。心のどこかは壊れちゃうけど、しょうがないんです。
そういう気概を持って私に挑んでくださらないと私だって困ります。
さ、それができないのなら、バッジをくださいな」
「……う……うぁあああああああっ」
顔面に、顔のパーツなど跡形もなく砕くほどの勢いで、エレウスは拳を放つ。
聖術で強化した、勢いも申し分ない破砕撃。コンクリートの壁をも粉々にえぐれるだろう。
だが、
ゴッッッ
それをルスは鼻っ面から喰らってのけぞり、倒れるかというところでエレウスの右手をつかむ。右手を内側に引き込みエレウスごと倒れ、
「――疾ッ!」
「がっーー」
拳による突きを、腹部へ一発。シールドのバリアをえぐり、腹部に達した拳はエレウスのつぶれたような声を絞り出させた。シールドは勢いのついた回転を失い、意識の無くなったエレウスとともに地面に転がった。
前に向き直ったルスの鼻っ面は、相変わらずスッと通った美しい鼻梁を保持していた。
傷一つ、ついてはいない。
「ふー」ルスはため息をつくと、試合が始まるときの明るい調子でぱんぱん、と手をたたく。
さながら、新任の、天使のような教師の笑みで。
「大丈夫ですよみなさん。この術はみなさんの小手調べですから、死ぬ人なんてありません。
今は闘いを楽しまないとですよ。ほーら!」
やがてこの状況が恐怖そのものであると悟り、おびえきっていた生徒たちに、ウェルカム!とばかりに手を広げた。が、
「うぁあああああ殺されるぅうううぅううううう」
「いやあああああああああああ」
「来るな!! 来るなあああああ!!」
生き残った大半の生徒が逃げ出す。その場から動かなかったのは、宗次を含め10人といない。
ルスはきょとんとしながら頬をかいた。
「あちゃー……ちょっとやり過ぎちゃったかな? えへへ」
そこで、緑十字の腕章を付けた救護係の人員が入ってきた。イベントの実行委員だろう。
その者たちは倒れて動かなくなった人々を聖術で浮かせ、手際よく講堂から搬送させていく。
搬送されていく人たちの様子をものともせずに、ルスは再びルーレットのボタンに指をふれた。
「……壊れている」
宗次はそんな言葉を吐かずにいられなかった。
緊急搬送される生徒らに、見向きもせずに楽しそうに鼻歌を歌う。
教師にあるべき冷静さがあり、教師にあってならない狂気まではらんでいる。
人の持つことができる感情をこの人はどこかに置き去りにしてきたのかもしれない。
それほどに彼女は“何か”を経験している。
“何か”を抱き、生きてきた。
絶対に侮ることはできない。侮ってはいけない。
名簿を“死”のルーレットが踊る間、ルスの周りをプロペラのついた球体――高機動監視カメラが飛行しながら取り囲んだ。
教壇のスクリーンが、時計のバックにライブ映像を映す――ルスの前・横・後ろ姿が一度に映し出される。
生徒会は、開始一分でこの教師を“イベント崩壊の驚異”と認識したのだ。これで、ルスのある程度の行動は把握できる――と、よいのだが。
「……決定しましたよ、次にまみえる10人が。データ転送っ。
あとは10分インターバルをおきます。優しいですね~、先生は」
デバイスが、メールの通知を告げる。その選ばれた10人を見る。その名簿の途中には――
コリガ・ドードック・イギル
ザクメニア・ドラリューダ・バロット
両名の名前があった。イギル、そしてバロット。二人がロックオンされた。
宗次はふと視線を感じ、教卓のそばにいたルスと目が合う。
さあ、あなた方はどう闘いますか?
そう言いたげに、余裕に満ちた瞳が宗次を見つめていた。
100組中戦闘不能57組、棄権24組。
残、19組。




