chap5-9-2
「
アンジェはもう一人の私。『始りの前』であることに止めて。踊り続けた私は有り得ないことにこの世界に辿りつけた。けれど。精霊たる『ルール』は『始りの前』たる私に脅威を感じて。私はこの白い部屋に舞い戻ってしまった。その時に種を残した。種はすくすくと育ち。世界に順応し。大人になり。子を育て。連綿と続く適応の末に、私のもとに戻ってきた
」
「
私は私に戻る。逸脱せず。『ルール』に脅かされず。アンジェという世界の枠の中で。生きることが出来る。あの時見た大空の下。草原の中で。風を感じ。降り注ぐ光りを浴びて。踊ることができる
」
「
名も知らない少年さん。
君のその勇気を讃え。
未知に飛び込む。その心を讃え。
己の終わりを省みぬ。その意思を讃え。
『始りの前』は君に力を与えよう
」
「
『始りの前』は契機を根源とし。二つの力を持つ。
一つの力は。この白い部屋を打ち破る。強い気持ちと望む心こそがその力。
始りの力。
二つの力は。終わることを知っていながら。契機の先に何が待ち受けていても。敢然と歩むその心。受け入れ立ち向かう心こそがその力。
終わりを生み出す力
」
「
おや。そうだね。こう言い換えよう。
一つ目の力は。勇者の力。思う気持ちが力となり。願う気持ちが世界を変える。
二つ目の力は。魔王の力。力は終わりを齎し。世界を守り続け見届ける。
どうだろう。わかりやすかったかな
」
「
さて。それでは行こうか。
少年には二つ目の力をあげよう。己の生に執着せず。愉快さを求める君にはぴったりだ。
さぁ。戻ろう。自己紹介だ。少年
」
「
『終焉を知る者』と。呼んでくれてもいいよ
」
―――光りが辺りを包み込み。
アンジェと『始りの前』/『終焉を知る者』は抱き合うように一つになり。
僕が声を出せるようになり、一歩を踏み出すと、そこから白い部屋は崩れ始める。
一方的な会話。思考を挟む余地もない状況。
気付けばそこは薄暗い洞窟の中。
僕はミームに抱きしめられていて。
アンジェの前でセリカが騎士の礼を取り、膝を突いて頭を下げ。
―――間に、合わなかった。
ユーリの呆然とした呟きが、妙に辺りに染み渡った。
なんかもうさっさと終わらせたい。
と、いうわけでこれをもってchap5はほぼ終わりとします。
後は二話くらいつかって後日談にしちゃいます。やることはやりましたしね。
しかし『始りの前』の補足説明とか必要な気がしないでもない。




