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スライム転生物語  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
幕間の部 その1

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幕間 誰も知らない目覚めし力

ミナとアリスの話です。

 オズとミラお姉ちゃん達がいなくなった後はまたいつもの生活が戻ってきた。


「うーつまんない」


 家の外に出るのはもう飽きてしまった。


 だから村の外に行きたいけど、前にとっても怒られた時に約束したからそれはダメ。でも村の中だとつまんない。


 最近のアリスお姉ちゃんはお人形遊びしかしてくれなくなった。それも楽しいけど、もっと冒険とかしたい。そっちの方が断然楽しいし面白いのだ。


 でも冒険するためにはオズみたいに強くないといけないはずだから、ミナはその為に頑張る事にした。


「ミナ、木の枝なんて持ってどうしたの?」


 アリスお姉ちゃんがいつの間にか近くにいた。その腕にはこの前お母さんに買ってもらったお人形が抱きかかえられている。


「あのね、絵本の騎士みたいに剣でモンスターをズバーって敵を斬る為の練習なの! じゅぎょう? してるの!」

「それ、授業じゃなくて修行でしょ?」

「そう、それ!」


 やり方なんてよくわからないから好きに木の枝を振り回す。これだけで気分はとっても強い騎士みたい。なんとなく強くなった気がする。


「そうだ! 今度の誕生日は剣が欲しい! こんな木の枝じゃなくて本物の剣でしゅぎょうするの!」

「無駄だと思うけどお母さんに言ってみれば? でも、剣ってとっても重いからミナじゃ持てないよ?」

「それも修行でどうにかするからいいの!」


 そう言いながら木の枝を振る。アリスお姉ちゃんは座ってこっちを見ていた。


 たぶんお母さんにミナがどこかに行かないよう見ているように言われたのだろう。お姉ちゃんだって前の時は一緒に村の外に出たのにこっちばっかり注意されるのはズルいと思う。


「うーん、もう少しで何か出てきそうな気がするんだけどなー」

「はいはい」


 お姉ちゃんはミナの言葉を信じていない。お母さんもそうだし、村の人も同じだ。


「今度はほんとなの! ほんとに何か出そうなの!」


 そう、オズが帰ってきて精霊さんの声をまた聞いた時から体がムズムズする。そしてそのムズムズが今に体の外に飛び出しそうな感じがして、ジッとしていられないのだ。


 なのに誰もそれを信じてくれない。オズとか精霊さんの事は内緒にするって約束してるから上手く説明できてないけど、今度のは嘘じゃないのに。


「もう! 何で出ないの!」


 怒って木の枝を地面に叩き付けるとボキッと折れてしまった。そしてやっぱり何も出てこない。嘘じゃないのに。


「もうそろそろご飯だから戻ろう? また明日も付き合ってあげるから。ね?」

「……ほんと?」

「うん、約束」

「うん! じゃあ戻る!」


 しゅぎょうをしたからお腹もペコペコだ。だから明日も頑張る為にもご飯をいっぱい食べるのだ。


「今日のご飯は何かなー?」

「何かなー」


 お姉ちゃんにおんぶされてまま歌ってもらって気分はルンルン。やっぱりアリスお姉ちゃんは優しいし大好きだ。


「あれ?」

「どうしたの?」

「今ね、持ってた木の枝が消えちゃったの」


 折れちゃったけど、大切にしっかり持っていたはずなのに消えてしまったのだ。目の前でパッと跡形もなく。


(落としちゃったのかな?)


 振り返っても何もない。


(あれあれ?)


 それどころか折れて二つになったはずの木の枝のどっちも無くなってしまっていた。さっきまでは確かにあったはずなのに。


「……ま、いっか!」


 よくわからないけど、今はご飯が先。だってお腹がペコペコだから。


 そうしていつも通りアリスお姉ちゃんと一緒にご飯の良い匂いがする家に戻っていった。

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少し前から『僕は姉の代理で勇者――異世界は半ばゲームと化して――』という新しい作品を出しています。

よろしければそちらも読んで評価や感想をいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

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