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彼の者の罪  作者: やきとり
一章 未知の言
8/9

八話 赤ずきん



死にたく無い…


嫌だ…何も知らないまま…何も出来ずに…


これじゃ本当に…何の為に生まれてきたのか…










君にはすべき使命があるの。


こんな所で死ぬ器じゃ無い。






結局は…あの子の判断が正しかったということ……


使うのが早すぎて焦ったけど、結果オーライってやつね。



まぁこれも、芸術家の本分ってものでしょう。



さぁティア。


贋作としての旅を続けて。











月は願う。












♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎


×××エルスがティアと別れた頃×××





嘘をついたことをお許しください。ティア様



ティアが視界から離れ、エルスはティアと反対側に進み始めた。



ティア様に迷惑はかけれないですからね。




エルスは再び、煙の壁の前に立った。



盗み取った資料の中に『食罪』の名が出されていた以上、こうするしか道はありません。


ティア様にまだ殺しをさせる訳にはいきませんしね。





もしもの為にあれを使ったとはいえ、痛い思いはしてほしくありませんし。


クロイジアさんやリルリエットさん達が何かしないといいですけど…








ティア様は、最後にトドメを気付かない程度にさせるだけでいい。


エルスがやる…その先に破滅が待っていたとしても…





エルスは知っている…ティア様の運命を。


そして、エルスの運命も。



あの人の思い通りにはさせない……






エルスの影が大きくなる。


世界を喰らう狼のように…












♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎


×××現在×××



「…ビビらせやがって〜まぁ結局は大したこと無かったけどさ〜あ〜まだ目から血が垂れる」



クロイジアはティアの頭を掴む。



「…こんなんになってもまだ生きてんのか〜?だてに魔人じゃねぇってことか〜意識はないっぽいけど〜まぁどうせ、食ってる間に死ぬからいいや」



「んじゃぁ頭から…」




「「いただきます」」





「…おわっ」



刹那、クロイジアが避けた部分の地面が抉れる。



「〜まじで…ついてねぇ〜左目に続いて左半身が無くなるとか…クソッタレ〜」


そう言ったクロイジアの左半身の断面からは血がボタボタと落ちる。


その血にはどこか生気がなかった。




向こうから、少女が近づいてくる。



「…逃げないでよ。餌のくせに。」


「…水色の髪に、六芒星みて〜な模様がある水色の瞳…」



クロイジアは傷を手で押さえながら立ち上がる。


もっとも、傷が酷すぎてまったく意味はないが。



「さっきぶり〜…てほどでもねぇ〜か、『食罪』。成人男性フルコースには満足したか〜?」




「いや…全然。たがらここに来たのに…ほぼお前だけ…つまんないの」


「わり〜。1つ教えてやる。こういうのは先着順だぜ〜ガキンチョ」


「まぁ…ここにくる前にちょっと食べたし…後、お前がいるからいいよ。味は不味くても、お前は死ぬ度に別の人に変装するから」


「変装じゃねぇ〜擬態だ。そこんとこ覚えとけ〜ガキンチョ」



クロイジアに食罪と呼ばれた少女の後ろから2体の巨大な魔獣が現れる。


「お、モテモテじゃ〜ん」


「うえ…虫みたいで気持ち悪い…」



少女が喰う動作をするとともに、2体の巨大な魔獣は血の雨になった。


「やっぱり、魔獣まずい…おえ…」


「あらら〜幼き者への恋はやっぱり実らねぇ〜か」


「…ほんとにお前は馴れ馴れしい…初めて会って2日くらいでしょ?」


「それはガキンチョ、お前もだろ〜それともなんだ?俺に一目惚れでもしたか〜?」


食罪はものすごく顔をしかめた。


「…お前に一目惚れするくらいならまだ、1週間ご飯抜きの方がまし…それにしても…」


「お前、どのくらいその擬態があるの…?」





「へっさあな。俺も知らねぇ〜」





あたり一面はティアがここに来た時の倍は血に塗れていた。


さっきの会話の中でクロイジアはおおよそ30回は死んだということだ。



「かっこいいお兄さんだったり赤ちゃんだったり…もうお前だけで、人間図鑑ができちゃいそう…」


「前の時と合わせて200体くらいは食われてるから流石に無理じゃねぇか〜?お前が吐き出してくれるなら出来るんじゃねぇ〜?」


「ワタシが食べたのはすぐ消化されるから無理」


「…まぁそうだろうなぁ。もっとも、吐き出されてもなんの意味もねぇけど。擬態の死体は食えねぇし〜」



「ふぅ…お腹いっぱいになってきた…もう、最初から貴方がこっちに来てくれたらすぐ満足したのに」


「めんご〜こっちはこっちで色々あったんだよ〜」


「じゃあまた。お腹が減ったら食べにくる」


「…もう懲り懲り〜」


食罪は満腹になったのかその場を立ち去ろうとした。




「あっ忘れてた」


食罪はティアの元に駆け寄る。


「いただきます」


「お〜い!!」


ティアの前で、クロイジアが庇うような体勢で上半身が抉られる。



「あ…その擬態のお顔…ちょっと気に入ってたのに…」



クロイジアはすぐに、擬態して起き上がった。


「うえ〜今度はおじさん…それも臭いし汚い…」


「いや〜意外と強ぇ〜ぞこの擬態。たしか『賢者』って呼ばれてた奴〜」


クロイジアが老人の声で語る。



「……そこまでしてそいつを守る理由は?」


「こいつには痛て〜思いされてさ〜お仕置きしてぇ〜んだよ」


「さっき会った時の傷?あのくらいで痛みなんか感じ無いじゃん」


クロイジアが僅かに眉間にシワを寄せる。



(それは殆ど即死してるからだろうが…ガキンチョ…)



「……食罪、お前こそなんでこいつに執着する〜?死体は食わねぇ〜タチじゃ無かったのか〜?」


「だってそいつから匂いするもん」


「匂いだ〜?俺からすれば女特有の甘い香りしかしねぇ〜けど?」




「…『罪能』の匂い。それも今まで嗅いだ中で1番濃い」



「罪能だ〜?こんなザコが持ってる訳ねぇ〜だろ。頭だけじゃなくて鼻までイカレてんのか〜?」



「さっきも罪能の匂いした魔獣食ったしーたぶん、こいつの匂いが染み付いてたんでしょ。その魔獣は食ってもなにも無かったし」






「…あんな力をどうしてまだ、求めるんだ〜?精神の方が耐えれねぇ〜だろ?」



「…ワタシも前まではその認識だったんだけどさー最近、頭に声が聞こえてきて…」


「声?」


「『他の罪能を食い尽くせ』っての。誰かは知らない。でも、女の人というのは覚えてる」











♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎









もう…ついでに言ったからって言いふらさないでよ。








月は泣く。








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