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彼の者の罪  作者: やきとり
一章 未知の言
3/9

三話 鬼の十八番




「……」


沈黙が続く中で、エルスが苦しみの声を上げる。


「…ティア…ぁ…さま」


顔色が悪い。


早く助けないと。


けど、私にはそんな力は無い。


頼むとしたら彼女になるだろうけど。


背中に大きな荷物を背負っているのを見るに、応急処置程度なら…



大丈夫……きっと助けてくれるはず。


「…あの」「…すまん!」


その声に被せるようにして相手も低い声を上げた。








…気まずい。




彼が再び口を開く。


「まぁ…その……アイツらオレのツレなんだよ。タブン、早とちりでアンタらを襲ったぽい」


「アンタが抱えてる黒狼種にも言っといてくれ」


「黒狼種…エルスのこと?」


彼は少し驚いたような素振りを見せた。


「『エルス』か………まぁ…オレは気にしねぇぞ…」


「…何を?」


「いや!何でもない、それよりもエルスの治療だ。黒狼種だし、大丈夫だとは思うが…アッチにオレらの仮拠点があるからそこに行こう。詫びもしてぇしな」





エルス、貴方は…



「うし!そうと決まればサッサと行くか。」


彼は先程の二人を両脇に抱えた。


「そういや、アンタの名前は?」



この際、エルスが言っていたのを名乗ろう。


「…ティア」


「ティアか…オレはシャクヤ。詳しいことは着いてからで」






体つきは男の子なのに、顔つきは花のように綺麗な女の子の顔つきだった。





♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎




数分歩いた所で、シャクヤ達の仮拠点らしき物が見えて来た。


かなり大きい、テントが二つ備えてあった。


シャクヤは右の赤いテントに入ったので私も着いて行った。


左のテントからはどこか陰湿な印象を感じる。




エルスはすやすやと寝ている。


黒狼種の特性なのか、傷はもう塞がっているみたい。


なんとかなりそうだ。








「いよっ〜す!遅かったなシャクヤちゃ〜ん」


「うっせえ。そんなフウに呼ぶなっていつも言ってんだろ」


私達を迎えたのは、全身が白く黒い丸の目だけ付いている、変な人だった。


「ん?誰だよそのダブル良玉ガ〜ル。シャクヤ、お前〜ナンパでもしたのか?そんなに百合の花を咲かせたかったか?」



「オマエ…いい加減にしろよ」


シャクヤの顔に青筋が浮かんでいる…少し離れておこう。



ススス




「あれ、シャクヤ、お前〜ナンパ相手に引かれてやがんの!おもろ〜」


「フン!」


シャクヤの渾身の右足が、白い変人の股間に入った。


風圧がこっちにまで来た。


痛そう。


「ガっ……」


白い変人はそのまま倒れた。



「フン、いい気味だ。クソイジリ野郎」


「変なあだ名…付けんじゃねぇ〜」




…この変人にはあまり関わらないでおこう。


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