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転生ミスで弱小盗賊団の頭になっちゃいました。やり直しは出来ないと言われて頭に来たので地味スキルで生き抜いてやろうと思います。  作者: 駄犬X
第二章

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29 フォロー。

 突然、全身を走る衝撃が脳天から足のつま先まで一気に突き抜けた。瞬間、俺は真っ暗闇の中にいた。


 そして浮遊するような感覚の後、白く眩しい光が拡がっていく。一瞬の後、俺は目を開いた。


 視界が狭い。なんだ、これは?身体が思うように動かない。困惑していると視界の先には白い装飾を施された天井?が見えた。


 ここはどこなんだ?


 すると突然、俺の顔を大きな丸顔のオッサンが上から覗き込んできた。


 …お、ぉっ、お前は誰だっ!?


 そのオッサンの隣から、また違う顔がぬっと現れた。


 品のいい、落ち着いた美人だ。十代後半くらいか?その落ち着いた感じの美人も俺の顔を覗き込んでいる。そしてべろべろバァをするオッサン。美人も頻りに俺を覗き込んでは、いないいないバァをして来る。


 …オイ、俺はもう二十五歳だぞ?赤ん坊じゃあるまいし、そんなので笑ったり、喜ぶわけねーだろっ!!


 俺はグランジ・スクアードだ!!アンタらは一体、誰なんだっ!?


 …しかし、俺の声は届かない。


 俺は一体、どうなっちまったんだ…?ヒュージは?テジーは?スネアは?ガイとラスツはどこにいる?


 …後、ついでにフィネスもどこ行ったんだ?


 みんな俺を置いてどこ行ったんだよ…。


 オッサンと美人は俺が笑わないからなのか、呆れたような顔をしてどこかへと行ってしまった。


 だから俺は二十五歳だからべろべろバァとかいないいないバァしても面白くないんだよっ!!それは赤ん坊にしてやってくれよ…。


 そんな事を考えていると今度は黒服を着た若い男が俺を覗き込んできた。



 男は鋭い細目で俺をじっと見ている。今度は誰なんだよ?今、この状況を誰か説明してくれよぉっ?一体どうなっちゃってんだよ!!


≪…グランジ様ですね?≫


 …おっ!?誰だか知らんが俺の事を知ってるのかっ!?この状況を何とかしてくれっ!!俺にはやらなきゃならん事があるんだっ!!


 村が盗賊に狙われて危険なんだよっ!!


 そんな大事な時にいきなり脳天から衝撃を受けて動けなくなってるんだ!!何とかしてくれっ!!


≪おやおや、可愛いですね。これが人間の赤ん坊ですか?とても可愛らしい≫


 いや、そんな事は良いから…。


 …えっ?今、アンタ、なんて言った?


≪ん?人間の赤ん坊はとても可愛いものだな、と言ったのですよ(笑)?≫


 …お、俺が…ぁ、赤ん坊…だと…!?おいっ、ふざけんなよっ?誰が赤ん坊だったて言うんだ!?俺はグランジだっ!!アンタだってさっき俺の名前呼んでじゃないかっ!?


≪…いや、だからグランジさん、あなたが赤ん坊になっているんですよ?≫


 …は(笑)?何の冗談だ?俺が赤ん坊?いやいや、俺はもう二十五歳の立派な大工だぞ?それをなんだってアンタは俺の事を赤ん坊だなんて言うんだよっ!!


 感情の昂りと共に、俺は力の限り喚き散らした。


≪…おっと、これはいけませんね。王と王妃が戻ってきます。詳しくは今夜、わたくしが再び参りまして事情をご説明しますので…≫


 そう言うと黒服の男は一瞬にして俺の目の前から消えた。


 その後、さっきのオッサンと美人が俺の顔を心配そうに覗き込む。美人が俺を抱き上げて、よしよしと俺をあやす。


 …いや、だから俺は二十五歳の大人なんだってっ!!頼むからっ、誰かこの状況を何とかしてくれェェェッ!!


 俺にはやらなきゃいけない事があるんだよオォォォッ!!



 星歴523年、クリンネス王国に待望の王子が生まれた。この国では何年かに一度、傑物が生まれると言われている。


 それがこの年に当たる。その子は全国民の期待を受けて誕生した。


 庶民出身で掃除好きの王妃の希望もあり、その子はソージと名付けられた。それがソージ・クリンネス王子である。


 生まれた直後から、ソージ王子は特異だった。泣く事もなく、何の反応もなかった。


 王宮ではその特異なさまが傑物の証だと噂されたが、生まれてから何日経っても、全く反応を示さない赤ん坊を誰もが気味悪がった。


 死んでいる訳ではない。生きているのだ。しかし、何の反応も示さない。しかし、ある日の午後。


 赤子の王子は突然、泣き喚き始めた。突然の事に心配する王と王妃。しかし、赤ん坊としての当然の反応に、王と王妃はようやく安心した。


≪…それが夕方の事です。グランジ様…いえ、ソージ王子…えーっと今は魂が入ったばかりの状態ですからグランジ様と呼ばせて頂きます≫


 …あぁ、分かった…って、ちょっと待てっ!!魂が入ったばかり!?どういう事だよッ!?何でアンタは喋れない俺と話しができるっ!?


 何がどうなってるのか早く教えてくれっ!!


≪はい。今、ご説明します。まず私は天界から遣わされました天使でクロニエルという者です。以後お見知り置きを…ちなみにグランジ様とは思念を使って会話をする事が出来るのですよ。これも天使の力です≫


 …天使?何で?何で天使がこんなとこにいるんだ?いや、それよりアンタ、天使だったら俺を元に戻してくれっ!!何で俺はいきなり赤ん坊になってるんだ!?


≪その事に付きましても、今からご説明させて頂きます。まずは非情に言いにくい事なのですが…≫


 …なんだ?早く言ってくれ!!俺に何があった!?


≪…天界での転生ミスにより、本来その赤ん坊に入る予定だった魂が…間違えてグランジ様の身体に入ってしまったのです。そしてグランジさん、アナタの魂は肉体から弾き出され、雷撃の高圧エネルギーによって過去に飛ばされたのです…≫


…それで…俺は…元に戻れるのか…?


≪…いえ、残念ながら開発途中の転生システムであり、元に戻す方法は未だ見つかってはおりません…≫


 …なら俺は…どうすればいいっ!?俺には村を護るという使命があるんだっ!!


≪…解っております。続けて説明を致しますので落ち着いて聞いて下さい。現在は星歴534年になります…≫


 …は?いやいやいやっ!!今は星歴551年のはずだぞっ!?


≪…その反応も当然だと思います。しかし先程、申し上げました通りグランジ様の魂は過去に飛ばされたのです…。この度は天界の失態…転生ミスにより、この様な事になりまして深く、お詫び申し上げます…≫


 いや、お詫びなんかいいからっ!!元に戻してくれっ!!俺にはやらなきゃいけない事があるんだよっ!!


≪…はい。グランジさんの仲間達とリフレ村を救う為にも、これから私が言う事をよく聞いて下さい…。今から17年後、グランジ様がいたリフレ村は壊滅します。それは突発的な出来事であり、防ぐことは…≫


 …出来ないのか?なぁ、天界の失敗なんだろっ!?だったら天使の力…いや神様に頼んでくれっ!!神様の力ならどうにかなるだろっ!?なぁっ!?村が危険なんだよっ!!頼むからっ…!!


≪…防ぐことは出来ます。役割は変わりましたが結果的に、双方の魂が村を救う事になります。しかし…≫


 …なんだよ?何か条件があるのか?


≪…はい、あります。それはグランジ様、あなたがこれからこの国の王子として成長し、能力を身に着けていく事です…≫


 …能力って何だよ?俺には建築とか大工仕事とか力仕事しか出来ねぇんだ。過去に飛ばされて赤ん坊になった俺にはどうしようも出来ねぇ…。


≪…泣かないで下さい。どちらにせよ、魂は入れ替わりましたが本来のあなたの身体に入った方は役割を果たしています。突発的な出来事にも関わらず、アナタの身体に入った方は、身に付けたスキルで仲間と村を護るのですが…≫


 …どうなったんだ?その人は、俺の身体に入った人は死んだのか…?


≪…いえ、護っていたのですが…0.2秒の差でスキルがクールタイムに入ってしまい…≫


 …クールタイム?なんだそれは…?


≪簡単に申し上げますとスキルが強制的に止まり、休養時間に入った、と言う事です。そしてその方と仲間、リフレ村は黒い闇に呑み込まれ、爆発します≫


 …結局、村は護れず、その人も助からなかったのか…。


≪…いえ、本来の時間軸であれば、その方…夏見(なつみ)様と言う方なのですが、夏見様の策とそのスキルで盗賊や街のギャング達を一掃するはずだったのです…≫


 …何か不測の事態が起きたのか?


≪…はい。転生ミスの影響でその辺り一帯に磁場の乱れが生じた為に別の時間軸を引き寄せてしまったのです…≫


 …俺はバカだから、難しい話は分からない…。けど、おかしな事が起こってその人と仲間と村が無くなってしまうって事だけは分かったよ。…それで、俺はこれからどうすればいい?


≪…グランジ様、アナタがソージ王子として魔法能力を身に付けて下さい。それだけで17年後の悲劇を完全に収める事が出来ます。その為にソージ様が持つ魔法『構築』を成長させて下さい。それはグランジさんがグランジさんとして培ってきた能力が、ソージ王子の魔力と合わさって顕現したものです≫


 でも俺は魔法なんて使った事もないし、どうすれば良いのか…。


≪あなたは今、赤ん坊の姿ですが、王子です。王子が望めばこの国の方々は叶えてくれるでしょう。そこを利用しましょう≫


 …分かった。クロニエルさん、これからも何かあった時には相談しても良いかな?


≪えぇ、良いですよ。責任は全てこちらにあります。正確に言うとうちの部署にいるダメ天使がやらかした事なんですけどね(笑)。それでもこれはこちらの責任ですので、お二人が幸せに人生を全う出来るように尽力させて頂きます≫


 …分かったよ。17年後、俺がその人と仲間と村を救えるように頑張る。クロニエルさん、ありがとう。これからよろしく。


≪えぇ、わたしで良ければ共に参りましょう。ソージさん、アナタの魔力はこの世界でも類を見ない程高いです。この原因を作ったバカ天使を叩きのめす為にも、共に頑張りましょう…≫


 その言葉に、俺は決意を固めた。


 俺の身体に入った人はその役割を終えたと言ってた。それでも17年後、良く解らない現象で村は壊滅するのか?


 いや、そんな事はさせない!!今度は俺の番だ!!俺がこの国の王子として、その人と仲間と村を救うんだ!!


 …まだ赤ちゃんだけど…。

 このエピソードから第二章に入ります。どぞ、よろしくです~。 <(_ _)>

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