秋 その八
見晴らしのいいところで、道広めのところに停まって外に出る。
山の上の空気は季節柄冷たいくらいだ。まだ大げさに寒いまではいかないが。油断すると身体が冷える。
波打つような山々が思い思いにたたずんでいる。
空はやや曇りで、隙間から日の光りが漏れ。ところどころで天使のはしごが見られる。
斜面には霧か雲か白い塊が張り付いている。
空と地面が接しているようだ。
「う、さむ」
長く外にいすぎて身体が冷えてきたので、ミライースの中に戻った。戻ったら戻ったで。
「あつ」
エアコンが効きすぎて暑く、停止させ。窓を空かした。
心地よい涼気が車内に流れ込んでくる。
この季節の体温、温度管理はなかなか難しい。
気を取り直して発進させる。
ミライースはSレンジでとことこ走ってくれる。
ミラーで何か光った。バイクだ。ヘッドライトの光りだ。
バイクに追いつかれて、オレは左ウィンカーを出してから減速し、バイクを先に行かせた。
バイクは左手を挙げて謝意を表し。オレは心の中で、
(いえいえどういたしまして)
と返し。
遠ざかるバイクの背中を見送った。
バイクのすいすいっぷりは、まるで筋斗雲に乗った孫悟空のようだった。
しばらく行くと、ロードバイクが3台走っている。遠ざかるバイクは、気付いたロードバイクに道を譲ってもらい。オレにしたように左手を挙げて謝意を表し。ロードバイク勢も右手を挙げてお返しをした。
いい光景だった。
で、オレのミライースがロードバイク勢に追いつけば。気付いてもらえて、左に寄ってくれた。
オレは少し加速をさせロードバイク勢を追い越し。ハザードを2回点灯させて、謝意を表した。
ミラーを見れば、ロードバイク勢も右手を挙げてお返しのポーズ。
狭いくねくね道。お互い様の気持ちで。
と、こんな調子で尾根のくねくね道をとことこ走る。
見晴らしもよく、多くの人々が憩う。天空の道だ。
オレもミライースも、天空の雲にでもなったかのような気持ちになって。
とことこ、とことこと、道をゆく。
しばらく行けば、天空の道と下界の道をつなぐ境目の駐車場(とオレは勝手に言っている)に戻った。
おでん屋さんに道を譲ったバイクが停まっている。バイカーはおでんに舌鼓を打っているところだろう。
オレは右に出て、くねくねの下り坂をとことこと下ってゆく。
細いくねくね道こそ我が人生の旅路。
などとかっこつけたことを考えたが。
オレの行きたいところはいつも細いくねくね道がある。
車を得て、どのくらい走ってきたか。




