夏 その五
また、山が、うっすらと見える。この山もきれいな曲線を描いている。そのわきを高速道路は走っている。
その山の脇を過ぎれば、大きな鉄塔が見えてくる。
橋だ。
海をまたぐ大きな橋がかかっている。背の高い鉄塔で、太いワイヤーで、大きな橋を吊る大きな吊り橋だ。
この橋を、瀬渡内海大橋という。
眼下には海岸線沿いの工業地帯が見える。
大きな工場の広い屋根や造船所の大きな船やクレーンや、背の高い煙突や。
そして黒い海。黒い海に点在する島や船の灯かり。
オレの地元にはない、ここに行かなければ遭遇しえない、ここでしかない景色。非日常の別世界に来たようだった。
黒い海の真ん中まで来たところで、パーキングエリアへと降りる道に入る。ループしてぐるぐる回らされる。
眼下には島のパーキングエリアの広い駐車場や、建物が見えてくる。島は与一島という。
ぐるぐる回って、駐車場に降りて。適当に、空いている駐車場の枠にミライースを停める。
巨大な鉄塔がそびえるのを見上げる。巨大な鉄塔のつるす大きな橋を見上げる。
とことこ歩いて、建物までゆく。駐車場にはほかの車やバイク、トラックがそれなりに多めに泊っている。なんならキャンピングカーもある。ナンバープレートを見れば、かなり遠いところから来たコアなロングドライバーだ。
さすがパーキングエリアは灯かりが灯されて明るい。
建物までくれば。ひっそりだ。人がいない。建物にはレストランや土産物屋もあるんだけど、遅い時間だから閉まっている。
中にはジュースやカップ麺に、何かしらの食べ物を販売してる自動販売機がある。
中に入って自動販売機で缶コーヒーとポテトスティックを買い求める。
缶コーヒーはともかく、ポテトスティックはめったに見ないやつだ。地元では見かけず、ここでしか見かけない。
大型テレビが壁に据え付けられていて、国営放送の番組が流れる。少し離れたところにも大型テレビがあって、それは橋の説明や交通ルールやマナーの啓発ビデオが流されている。
ともに音は小さめで、変に混ざって煩わしい思いをすることはない。それらをBGVに、自動販売機横の横の、机と椅子のところで、ポテトスティックを食す。
時間は深夜12時を過ぎ、日付が変わって月曜の午前になった。
ポテトスティックはやや固めで塩味もかなり効いて味が濃いが。しばらく車を運転してから食うと丁度ではある。ってゆーか、少し前にラーメンも食ったのに。我ながら食い意地の張っていることだ。




